INIはファンと手を取り合い、互いに支え合って駆け上がっていく 初の武道館公演レポート
後半戦のユニットパートでは、木村・後藤・松田迅によるダンスショーケース、池﨑・田島将吾・西によるユニット曲「How are you」、そして尾崎・佐野・許・髙塚・藤牧による「Mirror」と全く異なる世界観を作り上げていく。尾崎は「ユニットステージはもしツアーがあったらまた違った形でやりたいと思ってます。それまで皆さんお楽しみに!」と今後もこのような変幻自在のステージが見られるかもしれないことに言及し、期待を膨らませた。
続けて披露したのは、田島が「等身大の想いをしっかり言葉にできれば」と語り、作詞に参加したアルバム収録曲の「Runaway」。全員で横一列に並んでカウンターチェアに腰掛け、しっとりと語りかけるように歌い上げた。その背景に流れるのは、国内外のMINIから寄せられたたくさんのメッセージ。メンバーの人数にかけた11文字ちょうどで愛を伝えるという企画で募られたもので、「いつもINIの味方だよ」などのメッセージが寄せられていた。曲中に振り返ってモニターを見つめるメンバーの表情も印象的だった。
そんな温かな雰囲気から一変、VCRで映し出されたのは『作戦名「BREAK THE CODE」』の文字。スパイ、スナイパー、戦闘員、ハッカーなどに扮した11人がミッションをこなしていく映像が終わると、観客を待ち受けるのはアップテンポのナンバーだ。中毒性の強いキャッチーさと扉のノック音が特徴的な「Password」の後、プッシュ音が「CALL 119」の合図を知らせると、サビ前に髙塚・尾崎がシャウトする〈119〉がギアを1段階上げていく。勢いそのままに始まる「Shooting Star」では楽曲のリズムとリンクするライティングが観客の鼓動をさらに加速させる。ラストサビでは髙塚のフェイクと共に銀テープが飛び出し、INIの真骨頂とも言える圧巻のパフォーマンスに、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
MCに入り、「暑いですね会場、熱気で」と客席を見渡す許。「Runaway」は追加公演のために用意した曲だと言い、「毎回聴いていて鼻にツンときて泣きそうになる」と表現した。また、モニターに流れた11文字のメッセージについて「本当に感動しました」と語った佐野は、「もらってばかりじゃあれなので、僕たちも11文字で感謝の気持ちを伝えたいと思います」とした上で、「心から大好きだよ」とMINIに愛を伝えた。
「最終公演、心を一つにしましょう」と始まったのは、ペンライトを用いたウェーブ。上手の端まで到達すると“鬼瓦”の変顔をして見せ、「8000人の前で変顔しちゃったー!」と照れる最年少の松田を隣にいた西が抱きしめる場面も。また、下手の端にウェーブが到達すると、向かって左端の後藤が「伸らない、反らない♪」と「Shooting Star」のパートの一部をオマージュすると、いつの間にか下手にメンバー全員集合してしまう珍事件が。メンバー自身も「誰か止めて!」と観客に助けを求める様子が笑いを誘い、全員で列をなして中央に戻るさまを「サザエさんやん」と呟くと、先頭を歩いていた池﨑が『サザエさん』のエンディングを真似て見せるなど、どこまでも笑顔の絶えないライブだ。
ラストスパートにさしかかると、「めちゃくちゃ盛り上がる曲持ってきましたよ!」と、アルバムよりMVが1500万回再生突破した「Dramatic」と「BAD BOYZ」の新曲2曲を披露したメンバー。「BAD BOYZ」では赤紫色のライトにサビで巻き上がる炎の映像が合わさり迫力満点。メリハリのある楽曲が耳を楽しませるのはもちろん、ハイレベルなダンススキルと“BAD BOYZ”の雰囲気を纏う11人のオーラに圧倒され、世界観にどっぷり浸ることができるノンストップのセットリストだ。
「次で最後の曲」との言葉にペンライトを掲げると、アルバムのタイトル曲「SPECTRA」で視線をさらっていく。「Are you ready, 武道館?」の問いかけに応じるように、〈Pop pop! Pop pop!〉のリズムに合わせて上下するペンライトが熱狂の証だ。
オーディションのテーマ曲「Let Me Fly~その未来へ~(INI Ver.)」で再び登場したアンコールでは、メンバー一人ひとりが感謝の気持ちを語った。松田は今日まで支えてくれた両親に感謝を述べて「自慢の息子やろ~!」と堂々とした面持ちでステージから叫ぶ。一方で自分の歩みを振り返り、「みんな覚悟してINIになっています。本気で俺は世界に行きたいです」と目を潤ませて語る西の言葉には確固たる意志が表れていた。続けて「ツアーを通して、支えてくださっているINIのチームでもっともっと上に行きたいと思いました。皆さんもINIチームです」と語ると、それに応えるように「MINIをずっと信じてね」というファンのうちわがモニターに映される粋なスイッチングも。また、中国出身の許は、「数年前に知り合いゼロの状態で日本に来て、言語もたまに通じない時があるし、孤独を感じる時もある」と素直な気持ちを吐露。しかし、「そんな弱かった自分を強くしてくれたのはここにいる皆さん」と話し、「『BREAK THE CODE』は今日で終わりですが、自分たちの道はまだまだこれから。ついて来てください」と今後への展望を語って気持ちを新たにした。
最後には「We Are」で撮影可能とのアナウンスが。「自分たちに少しでも興味がある友達に見せてもらえたら嬉しいです」と伝える許の表情はとても晴れやかだった。「泣いちゃったけど悲しいことじゃないです。また新たなステップの始まりだから」と笑顔で未来を見つめる西の言葉通り、INIの旅路はまだ始まったばかりだ。4月19日には全22曲を収録した本ツアーのBlu-ray&DVDが発売されることがサプライズ発表された。「(私:I)があなた(I)と繋がり合う(Network)」というグループ名の由来のように、ファンと手を取り合い、互いに支え合ってスターへの階段を駆け上がっていく11人から目が離せない。
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