C&K、執念で迎えた横浜アリーナ公演を徹底総括 笑いと涙が混ざり合った“ド派手なお祭り騒ぎ”に

C&K、執念で迎えた横アリを徹底総括

 2022年11月20日、C&Kの『超無謀な挑戦状~炎の15周年目、執念で迎える横浜アリーナ。頼む全員集合~』開演前。“立ちたくないよ席(シート)”“カンガルー芝生公園席”“【汗かき限定】サラサラパウダー席(シート)”などの席種設定に目を細めつつ、きっかり4年前にここで行われた『超無謀な挑戦状〜10周年だョ!全員集合〜 in 横浜アリーナ』を思い出していた。あの日は両足踵を骨折していたCLIEVYをフォローするべく、場内を走り回るためのカートや神輿が登場するといった演出を含めて、ド派手もド派手、まさにお祭り騒ぎの一夜だった。

 4年後のこの日は、オープニングVTRでも触れられていたが、“真剣にふざける”スタイルはそのままに、コロナ禍で敢行したドライブインライブ(車中で鑑賞するライブ)などの経験を経てより明確になった、生のライブへのこだわり――一期一会の時間を共有できる尊さと喜びを、よりシンプルに伝えようとしているように感じた。詳細は映像作品が発売となった際にじっくり観ていただくのが一番と考え、ここではいくつかのテーマに分けてこの日を振り返っていきたい。

C&Kの原点

 結成初期に作られたアカペラを盛り込んだ「C&K XIV」、“クラブイベント育ちのC&K”の所信表明ソングといえる「C&KΦ」のほか、当時のライブ映像をバックに披露したインディーズ時代の名曲「GET@LADY」「交差点」など、ライブ序盤はここ横浜で結成し活動をスタートした彼らの原点を振り返る楽曲が続いた。またゲストとして、C&Kをフィーチャリングした楽曲で彼らが世に出るきっかけを作った盟友・九州男が登場。ハーモニーを含め繊細に聴かせる「1/6000000000 feat.C&K」で会場を沸かせた。またこの日のエンディングに、彼らの初期のマネージャーであるHORITAROを呼び込み「原点中の原点」と紹介していたのも胸熱なエピソードだった。

ダンス愛

 大人の魅力とセクシー感を醸し出す楽曲などでC&Kをサポートした2人組・FKK、コント風パートなどエンタメ感たっぷりな演出もお手のもののチーム・ZEROSEN、「愛を浴びて、僕がいる」には父兄込みで合唱隊としても参加したキッズチーム・ZEROSEN KIDSという大人数のダンサーが入り乱れ、「日本一ノリのいい観客」といっても過言ではない四池さん(C&Kファンの愛称)たちと踊りまくったこの日。ゲストで登場したクランパー・Yusei(KING OF SWAG)が、力強くストレートに“日常の中に当たり前にいてほしい人”について表現した「空気」も胸に染みた。もはやC&Kライブの常連といえる山根和馬(純悪)の「ドラマ」での連続アクロバットとブレイキンも圧巻だった。そして「ガン見しとけ!for DANCER」で登場した世界を股にかけるダンスチーム・GANMIも、C&K楽曲とのシンクロ感の高さで鮮烈なインパクトを残した。同楽曲の〈ヒジヒザマリーミー〉での肘と膝をくっつけるシンプルな振りを、あれだけセクシーに見せられる人たちはなかなかいないのではないだろうか。もちろんC&Kの2人がFKKとユニゾンで踊った「揮発油」、KEENがダンスの原点に思いを馳せオールドスクールなロックを踊った「GENTEN」なども、彼らのダンス愛が伝わる一幕だったと思う。

ユニーク演出の数々

 オープニングでポップアップや特効を交えてヒーローのように登場した2人。しかしその後、80年代風サウンドの人気曲「上を行くメイク」でレオタード姿で踊り、KEENがステージ上にワイヤーで吊られ物理的に上を行ったり、感動的なゴスペルナンバー「愛を浴びて、僕がいる」で『紅白歌合戦』での小林幸子並みにCLIEVYの衣装がどんどん巨大化し、最長6mの高さまで伸びていったのにはさすがに笑ってしまった(ふもとで相方を見守るKEENのなんとも言えない表情込みで)。

 「終わりなき輪舞曲」では、“人は生きている限り悩んで答えを見つけ、それを繰り返す”という詞の世界観を表現するべく、山根とDJ TAKE(序盤からミラーボールのコスプレなど、DJという枠を超えてライブを盛り上げていた)がアリーナの外周をリレーで走り続け、客席から声援を浴びていたのも印象的だった。ちなみに2人がつけていたゼッケンには「四池学園附属」とプリントされていたが、こういった細かなポイントを含め、400名を超えるスタッフが2人のアイデアを実現するべく当日までサポートしていたとのこと。2人と並走するスタッフの熱量にも頭が下がる思いだった。

ふざけた中のシリアスなメッセージ

 MCや曲中の煽り、フリースタイルなど、様々な形でメッセージを発していた2人だが、明らかに4年前とは違う感慨をもたらしたのは「traveling carnival~移動式遊園地のテーマ~」だったと思う。ドライブインライブや移動式遊園地といったライブで使った特注トラックを持ち込み、メインステージとは逆側の席を最前列にして〈音は止めない/何が起こっても揺るがない〉と、ここではおふざけなしでライブへのスタンスを真摯に歌い上げた。また「終わりなき輪舞曲」の途中、客席を見下ろしながらふいに涙をこぼしたCLIEVYが「頑張っているのに結果がなかなか出なかったりして、悲しくなったり辛く感じている人もいるかもしれない。これからも僕たちはその時代の中でふざけたことをやっていくから、そんな時はいつでもC&Kのライブに来てください」と呼び掛けていたのが、後述のエンディングともリンクして鮮やかに印象に残っている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる