C&K、執念で迎えた横浜アリーナ公演を徹底総括 笑いと涙が混ざり合った“ド派手なお祭り騒ぎ”に
歌力とカラフルなサウンド
アリーナクラスの会場では反響もありボーカルが聴き取りにくい場合もあるのだが、“声量オバケ”の2人の喉はこの日も絶好調。「みかんハート」といった一言一言を大切に歌い上げる珠玉のバラードから「幸せのディスタンス」のようなスケール感のあるゴスペルまでをしっかり聴かせていた。
そしてC&Kサウンドの持つ、2つの顔。この日のハイライトの1つといえる1万人のタオル回しではめちゃめちゃに盛り上がった「I.M.A」など、DJ TAKEがリードするクラブ寄り楽曲のブロック。そして「揮発油」「GENTEN」など、ベテランミュージシャンぞろいの“AKB ave.55(Adult Kurimoto Band average 55)バンド”がバックアップするブラックミュージック色の強い楽曲等のブロック(ゲスト参加したガールズブラスユニット・MOSも厚みのあるホーンサウンドで華を添えていた)という、一粒で二度美味しい構成で終始私たち観客を飽きさせなかった。幅広いアプローチでこちらを泣かせたり滾らせる楽曲を繰り出して来るのも、CLIEVYとKEENそれぞれがメロディメーカーであるC&Kの強みといえる。
余談:ドリフオマージュ(?)
最新アルバム『CK OILY』のインタビュー(※1)でも語られていた、ザ・ドリフターズへのリスペクトを込めた「入浴」や「GENTEN」での振付オマージュ。その他にも(こじつけかもしれないが)「愛を浴びて、僕がいる」での聖歌隊風の演出は『8時だョ!全員集合』の「少年少女合唱隊」を、「混浴」「入浴」の銭湯というシチュエーションは『ドリフ大爆笑』での「威勢のいい銭湯」といった名作コントを思い出させる。多彩なゲストたちがパフォーマンスリレーを繰り広げた「精鋭」でC&Kが志村けんの「だっふんだ」の動きを取り入れ踊っていたのも見逃せないシーンだった。そして生演奏と笑いの融合といったポイントに“ドリフ愛”を感じる人も多いのではないだろうか。リアルタイム世代ではない方々にもぜひ、彼らの愛するカルチャーへ思いを馳せてもらえたらと思う。
原点から現点、そして……?
6月に横浜アリーナ敷地内のライブハウス・横浜NEW SIDE BEACH!!からこの日に向けた一連のツアーをスタートさせた2022年。今回の横浜アリーナでは曲ごとにリリース年のボードを掲げたスタッフが登場するなど、自らの原点(ルーツ)と現点(現在地)を繋ぐような演出が見受けられた。それでも、アンコールで50年後の2072年を想定した“じじいコスプレ”のC&Kが、インディーズ時代からのライブの定番曲「to di Bone」を杖をつきながら歌ったのは不意打ちすぎて笑ってしまった。フリースタイルを披露するコーナーで「子どもが好きな歌がヒットするから……」と下ネタをシャウトするCLIEVYとそこにハモってくるKEENにも笑い泣きしたが、その後広いステージ上で寄り添うようにラストの「夜空」を歌う2人の姿には、リアルにちょっと泣けてしまった。
この先の2人の現点(=未来)を見つめ、「50年後もこういうバカげたことをずっとやっていけたらいいなと思います」(CLIEVY)というエンディングの挨拶も、思うようにライブができず悩んだコロナ禍を経て2人が新たにした思いだったのだろう。50年後も2人が全力でふざけながら、お年寄りとは思えないほどの“ええ声”で歌い続けてくれることを願っている。
※1:https://realsound.jp/2022/11/post-1172887.html
C&K、音楽愛もハプニングも詰まった“らしさ”全開のライブ 結成からの歩みを凝縮したツアー『ゲンテン』特別編
会場に入るなり「ヤバい! 近いよ!」と叫ぶ人、くるっとターンして全身で喜びを表す人、タオル回しの素振りを始める人……。“期待の新…
C&K、ユニークなコンセプト尽くしの“贅沢な祭り” TDCホールを満たした怒涛のエンターテインメント
「私たちはなぜ、生ライブを求めるのか?」 コロナ禍でさまざまなライブやフェスが中止・延期になり、なんとなく配信ライブに慣れて…