フィロソフィーのダンス、野音に刻んだ“ベスト・フォー”の集大成 新メンバーもお披露目された『十束おとは卒業コンサート』

フィロのス、十束おとは卒業コンサートレポ

 フィロソフィーのダンス(以下、フィロのス)が、11月19日に東京・日比谷野外大音楽堂にて『十束おとは卒業コンサート〜ベスト・フォー・フォーエバー〜』を行い、本公演をもって十束おとはがグループを卒業。新メンバーとして、木葭ののと香山ななこの2名が加入した。

 十束は今年の3月に、11月をもってグループから卒業することを発表した。4月には、“ベスト・フォー”を自認するオリジナルメンバー4人でのラストアルバムにして、メジャー1stアルバム『愛の哲学』をリリース。時期を同じくして、現メンバーが審査員を務める「中途採用オーディション」をスタートさせ、10月からはYouTubeオフィシャルチャンネルにて、オーディション密着番組を配信。13名が合格した二次審査を経て、最終審査に6名が残り、新メンバーは野音のステージで発表されることがアナウンスされていた。会場には立見も含む満員の観客が詰めかけ、十束のラストライブと新メンバーの初舞台を熱い視線で見守っていた。

 オープニングナンバーは、2015年の結成から約7年間にわたり、一度もメンバーの変更がなかった4人の所信表明にして、テーマソングである「ベスト・フォー」だった。〈best for following〉と一人ずつ歌い継ぎ、4人が向き合ってアカペラで声を重ねた瞬間に早くも涙腺は崩壊。そして、日向ハルが「私たちがベスト・フォーだ!」と叫び、リーダー 奥津マリリの「おとは卒業コンサート! おとはの人生の中で一番最高で幸せな日にしようね!」と呼びかけると、「オプティミスティック・ラブ」「好感度あげたい!」では愛をぶつけ合うように盛大なクラップが鳴り響き、十束のメンバーカラーでもある黄色のペンライトが揺れた。

 最初のMCでは、十束が「みんなの最高を更新しにきました」と宣言。満員の野音を見渡し、「幻なんじゃないかっていうくらい後ろまで人がいて感動してます」と語った後のブロックは、“おとはのターン”となっていた。彼女から歌い始めるファンキーなディスコチューン「イッツ・マイ・ターン」、唯一のリクエストとしてシャボン玉が幻想的に舞ったシティポップ「テレフォニズム」、ガーリィなラップに加え、彼女のボーカルチョップも入った2ステップ「ウォータープルーフ・ナイト」と、十束のスイートなウィスパーボイスの魅力が存分に味わるコーナーとなっていた。

 彼女たちのこれまでの活動を振り返るヒストリーメドレーでは、ファンク、ソウル、ディスコ、R&B、アシッドジャズのグルーヴで観客を踊らせるだけではなく、フィロのス独自のコミカルでユニークなダンスでも魅せ、佐藤まりあが「はすぴょんを明るく送り出すためにこの曲を作りました」と語った4人体制最後となるディスコティークな新曲「フィロソフィア」を披露。出会いの奇跡と喜び、4人の絆を綴った楽曲に会場が多幸感と寂寥感に包み込まれる中で、十束の〈愛してる〉というフレーズに、3人のメンバーも〈愛してる〉と返していく。何度も繰り返すうちに次第に涙声となった十束が、メンバーの顔を見つめながら、〈愛してる〉とか細い声で真っ直ぐに伝えると、3人はステージを走り去っていった。一人だけが残された十束は、ピアノの伴奏に合わせてエモーショナルに舞い踊り、深くお辞儀をして、ステージに別れを告げた。

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