連載「lit!」第27回:Appare!、RYUTist、BiSH、MAPA、フィロソフィーのダンス……冬本番に備えて聴きたい新作

 まもなく本格的に寒くなる時期がやってきますね。とはいえ、日本のガールズグループが冬をテーマにした曲やクリスマスソングを出すのはもう少し先のようで、今のところは「冬本番に備えて身体と心を温めておきましょう!」といった風のナンバーが続々と登場しています。今回はそんな中からお気に入りをいくつかセレクトしました。これらを聴きながら歌ったり踊ったりすれば、免疫力が上がるのは間違いないでしょう。

Appare!『Appare!Future』

 目まぐるしく変化するサウンドとユニークさを前面に出した歌詞。日本のガールズグループが得意とする組み合わせですが、この7人組は他の誰よりもナチュラルにこなしています。3枚目となるアルバムの収録曲はすべてライブ向きで、9月に日比谷野外音楽堂での単独公演を成功裏に終えたグループの勢いと自信が感じられるものばかり。なかでも、でんぱ組.incをはじめとする人気アイドルへの楽曲提供で知られる玉屋2060%(Wienners)が手掛けた「絶対猛信デイドリーマー」や「ぱ ぴ ぷ ぺ POP!」では、オンリーワンの輝きを感じました。他にもファンに向けて固い決意を示した「さんざめく」、さわやかなメロディラインが耳を引く「サビからはじまるyoursong」など聴きどころ満載。大きな玉ねぎ=日本武道館を目指して、迷わずに“さんざめく(にぎやかに騒ぐ)”ことを期待しています。

【MV】『ぱ ぴ ぷ ぺ POP!』/ Appare!

RYUTist『(エン)』

 ある有名な音楽プロデューサーが「アイドルはジャンルの枠にしばられずに自由にやれるからいい」と言っていましたが、新潟在住の4人組・RYUTistが発表したこのニューアルバムにおける取り組みは本当に自由度が高いです。アンビエントミュージックとエレクトロニカの融合と表現したらいいのか、全9曲はそんなサウンドをベースにしながらも、人工的な感じはなく、逆に人肌のぬくもりが伝わってきます。それはひとえにメンバーのピュアで人懐こいボーカル&コーラスのおかげだと確信した次第です。各人の声の魅力を生かしていれば、どんなスタイルの楽曲をやってもOKというグループの在り方は本当に素敵だと思います。個人的にプッシュしたいのは、アバンギャルドなサウンドなのに歌は優しく甘く響く「水硝子」。日本国内はもちろん、海外でも自信を持ってアピールできる音作りではないでしょうか。

RYUTist – 水硝子【Official Video】作詞・作曲・編曲:君島大空

BiSH『脱・既成概念』

 “楽器を持たないパンクバンド”による12カ月連続シングルリリースの第11弾。高い人気と実力を持ちながらも安定に走らず、既成概念を壊してしまおうとするグループの美意識がしみ込んだ新曲です。押しの強いダンスポップにハードなギターを絡めて、今までとはひと味違った音像に。〈ちぐはぐのステップさ デタラメでゆこう〉や〈ラジカルでなきゃ生きられない〉といったフレーズが印象に残ります。R&B風のクールなビートに乗せて、誰もが経験するであろう人生の迷える時期を歌うカップリング曲「I」も、“アイドル”らしからぬムードが濃厚でお薦めです。強力な個性を持ったグループだけに、2023年に解散してしまうのは残念だと思うものの、その潔さもBiSHらしいんですよね。とにかくラストの日まで応援しましょう!

BiSH / 脱・既成概念 [OFFiCiAL ViDEO]

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