BE:FIRST&NiziUはなぜ“家族”で推せるのか 親世代の価値観の変化、SMAPやモー娘。の影響も?

「ビーファ(BE:FIRST)が出てきたら 新聞を見てる手が止まる父親 そっと音量あげる母親 テレビの前で立ち止まる長女 ゴロゴロしてたのに起き上がる次女 あれ?家族でBESTY?」

「NiziUのライブに家族4人で行って来ました」

 SNSでこういった声が投稿されているように家族ぐるみでの応援が目立つ、ボーイズグループ BE:FIRSTとガールズグループ NiziU。アイドル的な人気を誇るグループはかつて、そのハマリ方については親世代と子世代のあいだには温度差が目立っていた。子どもたちだけ、もしくは母子の組み合わせで応援するパターンが多かったが、BE:FIRST、NiziUは父親も含めて“家族ウケ”する傾向が強いように感じる。

 なぜこの2組は親世代も巻き込むことができたのか。それは、現在10代や20代前半の子を持つ親世代(30代後半から50代)にとって、自分たちが若者だったときに触れていた1990年代のポップカルチャーの影響が強いからだと思われる。

BE:FIRST&NiziUの“家族ウケ”の要因は1990年代のカルチャー?

 なかでもSMAPの存在は大きかったのではないか。バラエティ番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)は、毎週月曜22時という家族が揃って観ることができる時間から放送開始。勉強を終えた子ども、仕事から帰ってきて食事や風呂もすませた父親、同じく仕事や家事がひと段落した母親。それぞれが落ち着き始めた時間帯に番組が始まり、コント、歌などで笑わせたり、感動させたりした。SMAPと同番組は、熱狂的なファンだけではなく幅広い世代や層も楽しませた。

 当時はまだまだ、若者に人気のグループに対して親世代(特に父親)は、どうしても抵抗感や凝り固まった考え方を持っていた時代である。しかしSMAPと『スマスマ』は、そんな親世代もついつい観てしまうものだった。さらに同番組は、誰もが忙しい毎日を送るなか、家族団欒のひとときを作ってくれていた。そんな『スマスマ』を当時は子の立場で観ていた世代が、現在は親世代になった。アイドル的人気のグループを家族全員で応援することもごく自然なスタイルなのかもしれない。

 またBE:FIRST、NiziUは、家族が一緒に過ごすことが多い朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)のなかで、オーディションなどの模様が放送された。家族揃ってテレビ鑑賞できる時間帯であるということも、BE:FIRST、NiziUの“家族ウケ”の現象のひとつにつながっているように思える。

 さらに現在の親世代にとっては、モーニング娘。の影響もあるのではないか。1990年代の若者にとって、『ASAYAN』(テレビ東京系)で映し出されていたモー娘。のデビューまでの道のりは、ひとつの大きなムーブメントだった。オーディションやレッスンの合宿などを通して、候補生やメンバー同士が衝突したり、悩みや苦しみを赤裸々にしたりしながら、アイドルとして成長していった。かつてのアイドル像は、「テレビの向こう側にいる、完成されたもの」だった。しかしモー娘。は、人間的な姿をあえてさらけ出すことで視聴者に親近感を沸かせてきたのだ。

 BE:FIRST、NiziUも同じくオーディションでいろんな姿を見せてきた。グループに合格できるか、それとも不合格になるのか。当落線上に置かれた候補者たちの葛藤などにハラハラさせられた。そこでの気持ちのあらわし方やパフォーマンスなどによって、個別にファンも生まれていった。モー娘。の登場以降、日本ではドキュメンタリー性のあるグループが人々の心を掴む傾向が強くなった。そういった風潮に近い部分が、BE:FIRST、NiziU が子世代から親世代まで広く受け入れられている要因ではないか。

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