BE:FIRST、1stアルバムが堂々のチャート首位 SKY-HIとメンバー7人が提示する新たなボーイズグループのあり方
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-09-12/
まずは、少し長めの引用を。今年3月に出版されたジョー横溝の著書『混沌を生き抜く ミュージシャンたちのコロナ禍』のインタビュー発言より。
「整ったインフラって、逆に言うと古い高速道路でもあるので、みんながモフモフ黒い煙を出しながら、オールドクラシックな車を何の悪気もなく走らせている中で『クリーンな電気自動車を作った』っていうのが今の段階です。次はその車で、古い高速道路に乗らなきゃいけない」
「ラッパーやソロアーティストであれば『高速道路は使いません。下道で行きます』でやっていけると思うんです。けれど、ボーイズグループって、大きなメディアと相性はいい。僕は従来のインフラをバカにしているわけでもないし、それを作り上げてきたことに対するリスペクトもある」
発言の主はSKY-HIで、彼が電気自動車になぞらえているのはBE:FIRST。整ったインフラの喩えは、音楽業界の構造やビジネスシステムを指しており、テレビ露出を増やして話題を作りチャート1位を目指す考え方も含めるなら、ここで参照にするオリコンチャートの存在も入ってくるのかもしれません。そこまで書いたうえで、今週のランキング。1位に輝いたのはBE:FIRSTの『BE:1』、セールスはなんと16.1万枚。初のアルバムにして、電気自動車、ものすごい快挙!
SKY-HIが設立したマネジメント/レーベル BMSGからデビューしたBE:FIRST。オーディション番組自体が話題となり、デビュー曲「Gifted.」は一瞬でストリーミング、MVともに再生回数1000万回を突破。YouTubeやTikTokでも毎回凄まじい数字を叩き出している一方で、メンバーはそれぞれワイドショーやラジオ番組、大型イベントなどに積極的に出演しています。新メディアを自覚的に使いながら、同時に従来型メディアでも活躍。ものすごく多忙だったはずですが、これは両方の可能性を知っているSKY-HIの頭脳と、彼に全幅の信頼を寄せる7人の精神力の賜物でしょう。結果的にファンを獲得し、最初のアルバムからこのセールスがついてくるのだから、大成功と言っていいと思います。
ただ、フィジカルは16万枚ですが、この作品、世界で何千万……いや、億の単位で聴かれるものになる気がします。電気自動車の比喩は、単にプロモーションメディアの話にあらず。肝心なのはサウンドとメッセージ、そしてダンスのクオリティ。BE:FIRSTのそれは、日本初のスーパーカーと言いたくなるくらい、世界基準のポップミュージックをジャンルレスに鳴らしています。追いかけるのではなく、余裕で鳴らす。完璧に乗りこなしている感じが超クールです。