VALIS、全編オリジンの姿で立った本当の意味での“出発”のステージ 2次元と3次元を横断するグループの特異性

VALIS、2ndワンマンレポ

 CHINO (チノ)、MYU (ミュー)、NEFFY (ネフィ)、NINA (ニナ)、RARA (ララ)、VITTE (ヴィッテ)によるSINSEKAI STUDIO所属の6人組バーチャルサーカス団・VALIS。自身初となる全編“オリジン”の姿で行なわれる2ndライブ『転生デパーチャー』が7月30日、ヒューリックホール東京で開催された。

 2020年3月にデビューしたVALISは、バーチャルシーンではまだ珍しい2次元(アバター)の姿と3次元(オリジン)の姿の両方で活動をしているグループ。当初はアバターの姿のみで活動をはじめ、豪華作家陣が提供したクオリティの高い楽曲や、『えるすりー(Life Like a Live!)』への出演、花譜との共演、ミニライブ『感情プレステージ』などで話題になると、2021年11月の1st ONE-MAN LIVE『拡張メタモルフォーゼ』のアンコールで現実世界での姿=“オリジン”を初公開し、2つの姿で次元を行き来する活動をスタートさせた。

 今回の『転生デパーチャー』は、6人が初めて全編をオリジンの姿で行なう2nd ONEーMAN LIVE。昨今、バーチャルとリアルを行き来して活動するアーティストは徐々に増えつつあるが、全編オリジンの姿でのライブは異例の出来事となる。当初は2月予定だったものの、メンバーの新型コロナウイルス感染などを受けて延期となり、満を持しての開催となった。

 ヒューリックホール東京はコンサートホール式の会場で、ライブハウスよりもややフォーマルな雰囲気がサーカス劇場のようでもある。この日のライブは2部構成に分かれていて、第1幕では“アバター”の姿で出演するOPムービーを経て“オリジン”の6人が登場し、「残響ヴァンデラー」や「真夜中コンツェルト」といった人気曲で序盤からダンスを揃えたり、それぞれの動きが連動したりするフォーメーションダンスを披露。楽曲によっては背後のスクリーンにアバターの姿が映され、オリジンの姿と綺麗にシンクロする瞬間もあった。

 とはいえ何より印象的だったのは、アバターの姿とも引けを取らない6人の華やかさやスタイルのよさ、アバターの姿がそのまま現実にやってきたかのような衣装のクオリティ、そしてこれまで以上に細かな手足の所作で魅せる圧巻のライブパフォーマンス。高いダンススキルや激しく踊ってもブレない歌声の魅力がダイレクトに伝わってくるステージだった。

 また、VALISのライブは楽曲のアレンジが変更されるのも特徴で、この日もかいりきベア、syudou、Ayase、カンザキイオリ、DECO*27、TeddyLoid & Gigaといった様々なクリエイターが提供した楽曲を、「天命系メルト」などを手掛けた安宅秀紀がリアレンジ。そのうえでDJ的に全曲を繋げることで、6人のパフォーマンスが次々に楽しめる構成になっていた。

 一度メンバー紹介を挟み、当日を迎えた今の気持ちを伝えると、続く「道化師ブランケット」では観客から手拍子が生まれ、ド派手な EDM風にアレンジが変わった「開幕ゼノパレード」では、まるでクラブ系の大型フェスのようにカラフルなレーザーが会場を覆っていく。

 続けて「錯綜リフレクション」を披露した後、「目の前にヴァンデラーのみんながいる景色、最高じゃない?」「やっと会えたじゃん!」とふたたび観客に気持ちを伝えると、「再構成ウィーバー」では背景のセットが一気にメリーゴーランドに変化。そのまま「相反ヴァラエティ」を経て、「新世界ピグマリオン」ではスクリーンのアバターの姿とオリジンの姿のダンスがふたたびシンクロ。そして「物換星移カタルシス」では無数のレーザーが会場を包み、大きな拍手の中、第1幕が終了した。

 一旦休憩に入り、スクリーンでは彼女たちがこの日のライブに向けた思いを語るインタビュー映像「Road to 転生デパーチャー」が放映され、前回の『拡張メタモルフォーゼ』から『転生デパーチャー』までの間の気持ちの変化や、今回の公演に向けて努力してきたこと、VALISとして活動するうえでの気持ちなどが、冗談も交えつつ6人自身の口で語られた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる