幸祜、純粋な思いが純度の高い音楽へ 規格外のパワーで圧倒した1stライブ『PLAYER』レポ

幸祜、1stライブレポ

 <KAMITSUBAKI STUDIO>所属のバーチャルロックシンガー・幸祜の1stライブ『PLAYER』が、2021年12月29日にヒューリックホール東京で行われた。

 花譜らと共にV.W.Pとしても活動し、動画再生数も上昇中の実力派アーティストの初ワンマンライブということで、多くのファンから注目を集め、チケットはソールドアウト。会場に来られないファンのために配信も行われた。

幸祜
幸祜

 ステージには薄いスクリーンが張られ、そのスクリーン奥にバンドセットが設置されていた。OP映像に続き、Twitterで募集された“幸祜”を一言で表す言葉が次々と映し出され、幸祜によって読み上げられた。ライブタイトルがコールされると、バンドメンバーに続いて幸祜がステージに登場。

 1曲目は初めて投稿されたオリジナル楽曲である「harmony」。曲中「ここにいる皆さんも、画面の向こうで配信を見てくださっている皆さんも盛り上がっていきましょう」と少し緊張した様子で呼びかけつつ、圧倒的な歌唱力で会場の温度を徐々に上げていく。続く「この世界に口づけを」では客席を見渡しながら体を大きく使い、ロングトーンやフェイクを駆使したライブならではのボーカルを聴かせる。パワフルなパフォーマンスとは打って変わって、MCでは初々しくキュートな表情を見せながら「今夜限りのかっこいいアレンジで、バンドメンバーの皆さんと一緒に精一杯の歌とパフォーマンスをお届けできたらなと思っています!」と語った。

 次に「ASH」「強欲」「Dear」と続けて披露された3曲は、ゲーム『モナーク/Monark』の挿入歌。「どの曲も世界観が素敵な楽曲でテンションが上がってしまいました」とチャーミングな表情を見せる。「ゲームをプレイしてる中で自分の歌が流れるなんて、夢の夢のまた夢の、さらに夢のよう」と喜びを語り、ゲームテーマに沿った楽曲の魅力を語った。

 新曲「レイヴン・フリージア」は、伸びやかな高音を活かしたサビと共に、低音の魅力も開花させたエモーショナルな一曲。ステージを左右に行き来し、振り付けを含め体を大きく揺らしながら楽曲の世界を体現する様は、バーチャルを感じさせないほどにリアルなボーカリストな姿だった。さらに、同じく香椎モイミの提供楽曲「瞑目」が披露された。MCでは、「瞑目」のMV企画で「自分が辛いと感じたこと」を書いた手書き文字を募集したこと、企画に幸祜自身も「周りが音楽から離れていったこと」という言葉で参加していたことに触れ、「みんながたくさんの想いをぶつけてきてくれて、私自身も吐き出すことへの勇気をすごくもらいました」と語った。

 12月25日にMVが公開されたダンサブルでスタイリッシュな「LIT」、新曲「花と蜜」は実はデビュー前に大沼パセリによって作られた曲だと告白。「艶っぽくて色のある曲だから、当時は上手く歌えるか不安だった。今こうして活動を経て少しは成長できたかな?と思います」と語る通り、甘さと色っぽさに加え、幸祜らしいスパイシーなテイストを含ませ、ムードたっぷりのパフォーマンスで会場を魅了した。MCでは「ライブはやっぱり楽しいですね。ところで晩ごはんはもう食べましたか?」と客席に問いかける茶目っ気たっぷりな場面も。「V.W.Pで集まる時に『ご飯食べた?』っていうのが毎度の挨拶になっているんですよ。せっかくなので皆さんに聞いてみました」と笑いながら客席とコミュニケーションをとった。

 新曲「錘」、バンド紹介に続き「次の曲が最後の曲です」と始まったのは「the last bullet」。疾走感溢れる、ロックシンガーとしての矜持を示すようなボーカルでその実力を見せつけ、第一部が終了。「ありがとう!」とシャウトし、姿がスクリーンから消えると、客席からは間髪入れずにアンコールの拍手が起こる。

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