VALIS、全編オリジンの姿で立った本当の意味での“出発”のステージ 2次元と3次元を横断するグループの特異性
そして第2幕は、彼女たちの過去の一部が明かされる今回のクライマックス。まずはみきとP提供の新曲「偶像ナイトメア」が初披露され、6人が所属するSINSEKAI STUDIOの舞台「深脊界市」の雰囲気に合うチャイナドレス風のアクティブな新衣装で観客を魅了した。
続いて各メンバーのソロ曲のパートがはじまり、VITTEの「ピカピカキャンディラブイズム」、MYUの「渇愛論」、NINAの「わたしマニュアル」、CHINOの「I.C.E」、RARAの「禁断果実」、NEFFYの「猫好的トリックスター」をメドレー形式で披露。楽曲の後半に次曲の担当メンバーが登場してリレー的にバトンを繋ぐ形式で、キュートさやセクシーさ、クールさ、ダンスのキレ、歌唱力、観客の盛り上げ方など、メンバーそれぞれの魅力を全開にした。
終盤はEDM的にアレンジされた「境界線マクガフィン」を経て、VALISのはじまりの楽曲「革命バーチャルリアリティ」を披露。ここでメンバーにもサプライズで2023年2月に3rd ONE-MAN LIVE『必然的レゾンデートル』の開催が発表されて会場が盛り上がった。
そしていよいよ、VALISのメンバーの過去の一端が明かされる終盤へ。まずは「私たちの過去にとって重要な楽曲を歌います」と伝えて未公開の楽曲「乙女的サイコパシー」を披露すると、続くMCではVALISとしてデビューする前のことを回想。実はVALISのデビュー以前にも、6人でステージに立ってこの曲を歌った経験があること。しかし、そのプロジェクトは頓挫して、ファンに別れを告げる機会もなく消えざるをえなかったこと。その後、デビューの可能性がない中でも6人でレッスンを続けたこと。そして、VALISとしてふたたびステージに立って歌いはじめたことーー。
そのひとつひとつを自分たちの言葉で伝えた後、「(これまでの経験は)この日のためにあったんだな、と思います」「本当にありがとう」と観客に告げると、会場が温かい拍手で包まれ、第2幕の冒頭で披露した「偶像ナイトメア」の〈この場所で/もう一度だけ/踊りなおさせて/輪舞曲(ロンド)〉というフレーズや、〈ダンスフロアに/涙のワルツ/忘れないからね/ずっと〉というフレーズが実体験であったことや、そのうえで「ステージを続ける」という6人の思いが伝わることとなった。
最後は「みんな、いこっか?」と言いながら6人が互いに顔を見合わせた後、過去から転生してきたもうひとつの楽曲「奪還シンデレラ」をパフォーマンス。エンドロールが終わるまで鳴りやまない拍手を受けながらライブを終えた。
バーチャルアーティスト/タレントの世界には「転生」という言葉があり、これは「ある姿で活動していた人が、別の自我を持って再び活動をはじめる」という、バーチャルエンターテインメントの可能性を指す言葉として知られている。一度はステージに立てなくなった6人が、新たな姿でふたたび過去に向き合い、会場いっぱいの観客を魅了した『転生デパーチャー』は、VALISにとって本当の意味での「出発」にあたる舞台だったのだろう。3rd ONE-MAN LIVE『必然的レゾンデートル』に向けて、6人の勢いはますます加速していきそうだ。
■ライブ情報
2nd ONE-MAN LIVE『転生デパーチャー』アーカイブ公開中!
2022年8月14日(日)23:59まで
https://www.zan-live.com/live/detail/10156