ドミコ、ストイックな演奏が生む高い熱量 ライブバンドの真骨頂を見せたツアーセミファイナル東京公演
ドミコが『血を嫌い肉を好むTOUR』の続編として、『続・血を嫌い肉を好むTOUR』を開催した。東京公演は7月10日、渋谷Spotify O-EASTでセミファイナルとして実施。チケットはすぐさまソールドアウトし、会場にはドミコのライブパフォーマンスを見るべく、多くのファンが駆けつけた。
真っ赤なライトに照らされたステージに、長谷川啓太(Dr/Cho)とさかしたひかる(Vo/Gt)が姿を現す。まずは挨拶代わりのセッションがスタート。開演前には本ツアーの京都公演と大阪公演にゲスト出演していた鋭児がパフォーマンスしたことも相まって、1曲目「解毒して」が始まる頃にはリスナーの身体もだいぶ温まっていた様子。開演早々、フロアが揺れていたのが印象的だった。「こんなのおかしくない?」の緩急あるリズムでさらにリスナーを揺さぶった後は、ロックナンバー「猿犬蛙馬」へ。曲中に披露されたセッションパートは、「本当にツーピースバンドなのか?」と疑いたくなるほどの迫力。音数の多さや重厚さにも圧倒され、目が離せなくなる。
その後もルーパーによって繰り返されるメロディが癖になる「問題発生です」を赤と青のライトに照らされながら奏でたり、ドラムセットにタンバリンを取り入れた「HAVE A NICE SUMMER」を披露したりして、ライブが進行していく。彼らはフロアへの声かけをほぼしないし、わざわざ盛り上げるような煽りや素振りもしない。言ってしまえば、ドミコのライブはただただストイックに演奏し続けるだけだ。しかし、その姿こそがリスナーを高揚させ、会場がさらに熱を帯びていく様を肌で感じられた。
ライブも中盤に差し掛かり、「ロースト・ビーチ・ベイベー」「くじらの巣」「マイララバイ」「あたしぐらいは」といったミドルナンバーで湿度のある歌や抜けの良い繊細なドラムの一面も見せる。中でも心を掴まれたのは、「くじらの巣」のファルセットパート。前後の気だるさを含む歌声を聴くと、その一瞬のパートが夢なのではないかと思わせるほど神秘的な歌声だった。「深海旅行にて」では長谷川とさかしたが向き合ってセッションするシーンもあり、オーディエンスたちはその場で鳴らされる音楽に聴き入って、酔いしれていた。
後半には、アルバム『血を嫌い肉を好む』でも連続して収録されているサイケなインストナンバー「ばける」と、恐ろしさの中に妖艶さを垣間見せる「化けよ」を続けてドロップ。その後は「びりびりしびれる」でテンポアップし、いよいよクライマックスへ。力強くも安定感抜群で心地よく刻まれるドラムビートに身体を預けていると、あっという間にラストナンバー「ペーパーロールスター」の時間が訪れる。リスナーも夢中で手を挙げ、会場内のボルテージは最高潮になっていた。さかしたは頭上でギターを弾いたり、ドラムセットのバスドラムの上にギターを立ててかき鳴らしたりと、持っているものを全部出し切ってやると言わんばかりのパフォーマンスを見せつけた。