早見沙織、意識の変化がもたらした新たな表現との出会い TK(凛として時雨)参加の新曲「Awake」制作秘話

早見沙織、新たな表現との出会い

 早見沙織が、新曲「Awake」を先行配信リリースした。同曲は作詞を早見沙織、作曲・編曲にTK(凛として時雨)が担当。暗闇と光、静と動を感じさせるエモーショナルで壮大なロックバラードとなっており、7月からスタートしたテレビアニメ『RWBY 氷雪帝国』エンディング主題歌として現在オンエアされている。

早見沙織「Awake」MV

 早見は、2021年から「孤独や生きづらさを感じる人の心に寄り添い、光となる音楽を届ける」というテーマを掲げて音楽活動を展開。人気声優としての多くの仕事をこなしながら、これまでもコンスタントに音楽作品をリリースし、多くのリスナーを魅了してきた早見だが、2020年のデビュー5周年やコロナ禍を経て音楽と向き合い、アーティストとして新たなフェーズへと突入した印象も受ける。本インタビューでは、先にあげたテーマを掲げるに至った背景をはじめ、TKと共に生み出した「Awake」の制作秘話、そしてこれからの音楽との向き合い方について話を聞いた。(編集部)【最終ページに読者プレゼント&コメント動画あり】

コロナ禍の空白の期間に訪れた転機

早見沙織
早見沙織

ーー早見さんは2021年以降の音楽活動において「孤独や生きづらさを感じる人の心に寄り添い、光となる音楽を届ける」というテーマを掲げてきました。『GARDEN』リリース時のインタビューでも「自分の音楽は誰かの救いだったり、癒しになれば嬉しい」というお話をされていたりと、それ以前からも同じような思いを抱いていたとは思うのですが、改めて言語化してテーマに掲げた理由を伺いたいです。

早見:『GARDEN』をリリースした2020年は、コロナ禍が始まったタイミングで、怒涛のように世界が変化していく環境のなか、私自身も完全にお仕事がストップした時期があって。何もすることがない空白の期間に『GARDEN』の制作を行いながら「これから先に音楽を通してどういうことを表現していこうか」と立ち止まってゆっくり考える機会にもなったんです。その時に改めて自分自身の音楽体験を振り返ったとき、思春期や人間関係に悩んだ時期に、自分自身が音楽によっていろいろなものを消化してもらって救ってもらったんだと思い出したので、コロナ禍などで現在そういう状況になっていたり、そういう気持ちを抱えている人たちに、自分が作って発信する音楽を届けて行けたらいいなと思うようになり、テーマを決めて活動をすることになりました。

ーーそうしてテーマとして言語化してみると、見える景色も変わってくると思います。

早見:そうですね。軸が通ったからこそ様々なことの捉え方が変わりましたし、制作のうえでも、ジャンルに囚わなくてもテーマが一貫していれば成立するので、『GARDEN』も「透明シンガー」も「Guide」もこの先の作品も、すごく幅広いチャレンジができるようになりました。

ーー様々なジャンルに挑戦していますが、歌詞についてはテーマに沿っているからこそ、一貫したブレないものが感じられます。

早見:「Awake」を含むアニメタイアップの楽曲に関しても、作品の中での通っているテーマに対して、自分が共感したり寄り添ったりしながら歌詞を書かせていただくことがすごく多かったんですけど、それでも掲げたテーマと繋がる部分はありました。そのうえで個人的な感覚なんですが、以前よりも届ける先の相手がイメージできるようになったというか。内側も省みつつ出したものが、それを手に取って聴いてくださる方にしっかり届くように、気持ちを明確にイメージしながら言葉を乗せていく制作期間でもありました。

ーーアニメのストーリーや自身の思い、テーマなどを複合的にとらえながら高いクオリティの詞をアウトプットするところに、作詞家・早見沙織の洗練を見ました。もう一つお伺いしたかったのは、音楽好きな早見さんのことですから、テーマを掲げて活動したことで、インプットするジャンルや楽曲の方向性なども変わってきたのかどうかがすごく気になっています。

早見:なるほど。大きな変化としては、新しいアーティストさんの曲をたくさん聴くようになったかもしれません。もともと探したり見つけたりする作業が好きではあって、いつもは関連アーティストを掘っていくのですが、最近は関連にも出てこないアーティストを探したり、誰かからオススメしてもらったものをどんどん聴くようになりました。あとは若い世代が聴いているような、チャートにランクインする音楽を聴くようになったり、『Memories&Discoveries』(JFN)という朝の音楽番組を担当させていただくようになってから、1930年代のような昔の音楽から今年の音楽まで、世代も国籍も問わない楽曲を聴くことで、出会いが大きく増えましたね。

ーーチャートに入るような楽曲を聴くようになったというのは、意外な変化ですね。

早見:だからこそ面白いんですよ。そうやって自分の間口を広げたからこそ、音楽に造詣が深い周りの方々もすごくいろいろなことを教えてくださって。色んな方々に、景色をいろいろ分けていただいて、少しずつ自分自身の音楽活動にフィードバックするための原石をかき集めた1年となりました。

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