YOASOBIからONE OK ROCKまで、2022年の夏フェス注目アクト 世代とジャンルが混ざり合うからこその見どころとは?

 一方、2010年代のロックフェスシーンの隆盛に貢献してきたバンドたちも、引き続き各フェスのメインステージを担う。一例を挙げると、THE ORAL CIGARETTES、新体制のMrs. GREEN APPLE、WANIMAは、『SUMMER SONIC 2022』(東京)のメインステージへの出演が決まっている。次々と新しいバンドが登場するロックシーンにおいても、彼らの存在感は依然として不変、むしろ、これまでのステージでの経験を糧にして一回りも二回りも大きく成長していると言える。

 その他にも、[Alexandros]、UVERworld、SUPER BEAVER、sumika、フレデリック、04 Limited Sazabys、My Hair is Bad、MAN WITH A MISSIONなど、ライブハウスに限らず大規模なアリーナでワンマンライブを行うクラスのロックバンドも多く、今年の夏フェスにおいても、彼らが重要なハイライトを担っていくのは間違いないだろう。また、2010年代のロックシーンにおける最重要バンド ONE OK ROCKが、久々に夏フェスへ出演することも今年の大きなトピックの一つだ。コロナ禍において、アコースティック体制のライブや配信ライブは開催されたが、通常のバンド編成で、かつ有観客のライブは約2年半ぶりとなる。今の4人が、日本のリスナーにいったいどのようなロック観を提示してくれるのか。期待が高まる。

 そしてもちろん、2000年代から日本におけるフェスシーンの礎を築いてきたバンドたちも健在だ。ACIDMAN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、サンボマスター、ストレイテナー、10-FEET、東京スカパラダイスオーケストラ、Dragon Ash、フジファブリック、マキシマム ザ ホルモン、MONGOL800など、名前を挙げていくとキリがないが、この夏フェスのステージで、こうしたバンドたちと初めて出会う10代、20代のリスナーも多いのではないかと思う。また、BUMP OF CHICKENの『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022』への出演は、SNSを中心に特に大きな話題を呼んでおり、初めて彼らのステージを観ることを心待ちにしている若い世代のリスナーが非常に多いことが伝わってくる。フェスならではのかけがえのない出会いに満ちた、感動的なステージになる予感がする。

 今回は、ロックバンドを中心に要注目アクトを挙げていったが、フェスは多様な音楽性を持つアーティストが数多く集結する場である。バンド形態でありながら、あくまでもアイドルとしての矜持を持って『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022』のステージに挑む関ジャニ∞や、BE:FIRSTなどのボーイズグループ、Creepy Nuts、Awichといったヒップホップ勢など、ここでは、その全てを説明し切ることは難しく、そもそも既存のジャンルには当てはまらない表現に挑むアーティストも増えている。今まで聴いたことのなかった音楽との思わぬ幸福な出会いが起きるのがフェスの面白さであり、参加者の数だけフェスの楽しみ方がある。この夏、そうしたフェスの楽しさを共に味わう人が、一人でも増えたら嬉しい。

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