YOASOBIからONE OK ROCKまで、2022年の夏フェス注目アクト 世代とジャンルが混ざり合うからこその見どころとは?

 いよいよ、2022年の夏フェスシーンの全容が明らかになってきた。先日、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022』のタイムテーブルが発表されたことも記憶に新しいが、この数週間で、7月〜9月に開催予定の数々の夏フェスのラインナップが続々とアナウンスされており、日を重ねるごとに、「今年もこの季節がやってきた」という実感が強くなっていく。

 「今年も」と書いたが、このコロナ禍においては、数々のフェスが開催中止/延期(もしくは、大幅な規模縮小)となった経緯を踏まえると、やはり今年は、例年以上に特別な夏になるのだと思う。過去2回の開催中止を経て、悲願の3年ぶりの開催となる夏フェスも非常に多く、それぞれのフェスの主催者やスタッフ、アーティストたちが今回の夏に懸ける想いを想像するだけで、すでに胸がいっぱいになる。今回は、複数の夏フェスのラインナップを俯瞰しながら、文字量の許す限り一つでも多くの要注目アクトを紹介していきたい。

 まず、何よりも特筆すべきは、YOASOBIの夏フェス進出だ。現時点で、『FUJI ROCK FESTIVAL '22』『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022』『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2022 in EZO』『SUMMER SONIC 2022』『SWEET LOVE SHOWER 2022』への出演が決定しており、つまり、7月末から8月にかけて毎週各地のフェスに出演するスケジュールになる。本来YOASOBIは、昨年の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021』において、初の有観客ライブを行う予定だった。残念ながら同フェスの開催中止に伴い叶わなかったが、昨年末の日本武道館公演を経て、ついに今年、満を持して夏フェスシーンへ初参戦する形となる。夏フェスの景色が一気に塗り変わる予感がする。

 また、今年の夏フェスシーンにおけるKing Gnuの存在感も圧倒的だ。昨年、『FUJI ROCK FESTIVAL '21』2日目のヘッドライナーとして、生配信の視聴者を含めた無数の音楽リスナーに絶大なインパクトを与えた彼らは、今年は、現時点で4つの夏フェスへ出演することが発表されている。今やKing Gnuは、ロックシーンにおける新たな王者としての覇気を放っており、この1年を通してその存在感はさらに強まっていると言える。そして、11月に2日間の東京ドーム公演を控えていることが最も象徴的であるが、今のKing Gnuは2020年代の音楽シーンにおいて、ロックの可能性とロックバンドのロマンを、破格のスケール感をもって体現する非常に稀有な存在である。だからこそ、彼らのアクトに期待するロックリスナーは多いはずだ。

 続いて紹介するのは、コロナ禍の約2年半の間に、一気に武道館クラスへと成長したアーティストたちだ。瞬く間にロックシーンの最前線へと躍り出たSaucy Dog、Novelbright、マカロニえんぴつは、今年の春フェスにおいても大きな存在感を放っていたし、9月に日本武道館公演を控えたVaundyと緑黄色社会も、すでに令和の音楽シーンを牽引する重要アーティストとなっている。それぞれ音楽性や形態は異なるが、どのアーティストもJ-POPシーンのど真ん中へと躍進するポテンシャルを秘めており、彼ら/彼女らがメインステージのスロットを担う夏フェスの風景は、きっと2010年代までとは大きく違ったものになると思う。また、すでに2日間のさいたまスーパーアリーナ公演を成功させているずっと真夜中でいいのに。も見逃せない。これまで主にワンマンライブや屋内フェスにおいて極めて密室性の高いパフォーマンスで観客を魅了してきたずとまよが、野外のステージでどのようなステージを展開するのか。要注目だ。

 上述のアーティストに加えて、秋山黄色、Kroi、NEE、羊文学をはじめ、熱心な音楽リスナーから非常に熱い支持を集めているアーティストも、続々と各フェスへ出演する。また、Chilli Beans.、PEOPLE 1、Mr.ふぉるてをはじめ、このコロナ禍において、ライブやフェスの場を通して音楽リスナーへ向けて自身をプレゼンテーションする機会を奪われてしまった若手バンドたちも非常に多く、そうした新世代のアーティストたちが今回の夏フェスに懸ける想いは、きっと強いはずだ。参加者にとっても、今年の夏フェスは、新しいアーティストとの出会いが生まれる場になると思う。そして、それこそがフェスの大きな醍醐味の一つだ。

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