Little Black Dress、『怪盗クイーン』劇場アニメ主題歌への思い入れ 幅広い交友関係が結実した楽曲に
Little Black Dressの新曲「逆転のレジーナ」は、作詞・及川眠子、作曲・林哲司、編曲・本間昭光というJ-POPシーンの重鎮が集結。実は個々に交流があったという。また同曲が主題歌になっている劇場アニメ『怪盗クイーンはサーカスがお好き』は、はやみねかおるの児童文学が原作で、小学生時代に読んでいた思い出深い作品とのこと。Little Black Dressの幅広い交友関係と思いが一つに結実した楽曲となった。(榑林史章)
Little Black Dressの美学は嘘をつかないこと
ーー「逆転のレジーナ」は劇場アニメ『怪盗クイーンはサーカスがお好き』主題歌で、原作小説を読まれていたそうですね。
Little Black Dress:はい。小学校の図書室に「青い鳥文庫」のコーナーがあって、そこから本を選んで感想文を書くという課題で読みました。もともと読書が好きで、『怪盗クイーン』シリーズも好きだったんです。主題歌のお話を聞いた時は、まさか自分が子供の頃に読んでいた作品だとは気づかなくて。でも聞いたことのある題名だし表紙にも見覚えがあるなと思って。実家に連絡したら「あったよ」って当時読んでいたものを送ってくれて、「やっぱり読んだことがあった!」と、ある種運命的なものを感じました。
ーー当時は他にどんな本を読んでいたんですか?
Little Black Dress:『かいけつゾロリ』とか、『ミッケ!』という『ウォーリーをさがせ!』のような絵の中からある物を探す絵本とか。『名探偵コナン』などの謎解き系も好きでしたね。大人になってからも、ミステリー小説はよく読みます。
ーーミステリーって読み出すと止まらなくなりますよね。
Little Black Dress:いろんなことを忘れて、没頭できる良さがあります。
ーー『怪盗クイーン』を読みましたが、若い刑事がアルマーニのスーツを着ていたり、高級なワインの銘柄が出てきたり、児童文学にしては大人っぽくてスタイリッシュだなと思いました。
Little Black Dress:そうなんです。主人公のクイーンも年齢や性別が不詳で、多様化の今という時代に合っていると思うし、世界観もとてもオシャレです。今回の映画は、『怪盗クイーン』シリーズの20周年記念作品なんですけど、そんなに前からあるとは思えないくらい、今読んでもオシャレだなと思います。
ーー子供の頃はクイーンに憧れましたか?
Little Black Dress:私、宝塚の男役になりたかったんです。もしかするとクイーンがきっかけだったのかもしれません。
ーークイーン役の声優も、元宝塚の大和悠河さんですね。
Little Black Dress:映画を観た時は、クイーンが実際にしゃべったら、まさしくこういう感じなんだろうなという声で、目の前で動いているというのが感動でした。原作を読んでいたからこそのよろこびがありましたね。自分の中でイメージしていたものが、そのままアニメになった印象です。
ーー原作ファンとして、どんなところが見どころですか?
Little Black Dress:小さい頃はクイーンとサーカス団の戦いとか、宝物を探す冒険やサーカス団員のキャラクターを純粋に楽しみ、夢や希望に対して憧れを抱いていたと思います。大人になって改めて観ると、今の世代に対するメッセージも感じられました。例えばサーカス団がクイーンに決闘を申し込むきっかけとなる、“少女に笑顔になってほしい”という思いや、悲しみが変えてしまった世界の向こう側に何を見いだせるのかなど、いろいろ考えさせられる部分があります。
ーー小説の冒頭で、戦争孤児の少女の話が出てきます。
Little Black Dress:このアニメの制作が決まった時は、まだウクライナのことが起きる前だったと思うのですが、そういう部分でも今という時代に投げかけるメッセージがたくさん詰まっています。大人が観ても楽しめる内容なので、ぜひ親子で観てほしい映画です。
ーー以前のインタビューで、将来は子供のためになることをやりたいと話していました。今作は児童文学が原作のアニメ映画の主題歌ということで、その夢に一歩近づいた感じがありますね。
Little Black Dress:そう思います。だからこそすごくうれしかったです。身近にいる子供たちみんなに観てほしいです。その子たちから話を聞くと、子供なりにコロナ禍ですごく苦労していると感じました。映画を観て、夢とか未来というもの=不安なものという価値観にならないように、大人たちがしっかり導いていけたらと思います。映画や曲が、そのきっかけになったらうれしいです。
ーーちなみにクイーンはいろいろな美学を持っていますけど、何か影響を受けた部分はありますか?
Little Black Dress:クイーンの美学の一つに、周りの意見に流されないことがあると思っていて。信念を貫くみたいな。自分のことが好きで愛しているからこそ、自分以外の者のことも愛することができる。きっと愛が深い人なんだろうなと、小説を読むたびに感じました。自分の声に耳を傾けて、それを信じることが、クイーンにとっての美学なのかと。
ーー時にはその美学が理解されず、相棒のジョーカーやRDにポカンとされますよね。
Little Black Dress:でも、結局2人とも戻ってくるじゃないですか。「しょうがないなあ~」っていう感じで。それは愛されているからこそで、自分もそういう人になりたいって思いますね。
ーーLittle Black Dressとしての美学はありますか?
Little Black Dress:嘘をつかないこと。そもそも顔にすぐ出ちゃうから、つけないんですけど(笑)。だからこそ何かを発信する時は、自分の中で納得するまで考えます。
ーーちなみにサーカスは、観たことありますか?
Little Black Dress:私の地元は岡山県なんですけど、岡山には世界三大サーカスのひとつである木下大サーカスの本社があって。祖母がサーカス好きで、幼少期から毎年のように観に行っていましたし、学校の社会科見学でも行ったことがあります。だから、木下大サーカスを観て育ったようなものなんですよ! それで今回『怪盗クイーンはサーカスがお好き』だし、地元の繋がりというのもあって、木下大サーカスさんとのコラボでMVの撮影させていただいたんです。
ーーもしかして空中ブランコをやったとか?
Little Black Dress:やったんですよ! と言いたいところですけど、そのシーンは残念ながらありません(笑)。バイクが走り回る鉄の玉の中で、ギターを弾くシーンを撮ったりしました。