Little Black Dress、スタイリッシュで遊び心溢れる大人の夜を再び 山下達郎楽曲メドレーも披露した『CITY POP NIGHT』レポ

Little Black Dress『CITY POP NIGHT』レポ

「皆さんこんばんは。ようこそ『CITY POP NIGHT』へ。それでは、早速音楽の扉を開けていきましょう!」

 Little Black Dressがシティポップの名曲をカバーするイベント『CITY POP NIGHT』。2月18日ブルーノート東京公演のオープニングを飾ったのは、今ではシティポップの代名詞になった松原みきの「真夜中のドア~stay with me」。待ってましたとばかり手拍子が広がった場内。スタイリッシュで遊び心溢れる、大人の夜が“再び”始まった。

Little Black Dress(撮影=Santin Aki)

 序盤の目玉は、「TATSURO’S Medley」と題した山下達郎楽曲のメドレー。EPOのカバーも有名な「DOWN TOWN」、明るいムードから一転、椅子に座ってシェイカーを振りながらムーディーに歌い上げた「プラスティック・ラブ」、そして情感たっぷりに歌った「あまく危険な香り」。80年代のきらびやかな街のネオン、高速道路をすり抜ける車のテールランプが頭に浮かび、儚くも華やいでいた時代へと気持ちをタイムトリップさせた。

 歌詞の主人公を演じるように、身振り手振りを交えて歌った寺尾聰の「ルビーの指環」は、イントロのキメからグッと心を掴まれる。曲中で年月を経ていく歌詞は、作詞家・松本隆の真骨頂だ。そして稲垣潤一の「ドラマティック・レイン」は、心地よいサビの転調が筒美京平節。タイトルの通りドラマティックな展開が、何度も押し寄せてきた。

 この『CITY POP NIGHT』は、単にシティポップをカバーするだけに止まらない。当時のレコーディングに参加したミュージシャンが演奏に参加し、楽曲にまつわるエピソードを明かすなどのトークも見どころの一つ。この夜も「当時の洋楽のオマージュでありながら、歌謡曲のエッセンスが詰まっていて……」と、Little Black Dressのシティポップ考察が始まった。昨年彼女が出演したイベント『ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート』や『風街オデッセイ2021』にまで話が及び、同イベントでも演奏を担当したドラムスの山木秀夫、オルガン&コーラスの佐々木久美を巻き込み、トークが弾んで止まらない。少年隊の「君だけに」のレコーディングに山木が参加した話も飛び出し、フィンガースナップの音は山木が担当しているといった秘話も明かされた。

 角松敏生の「After 5 Crash」に乗せて行われたメンバー紹介。吉田サトシ(Gt)、休日課長(Ba)、山木秀夫、デビン木下(Key)、佐々木久美、鈴木明男(Sax)。Little Black Dressは、メンバーのことが大好きでたまらないといった様子で、各自の近況やエピソードを織り交ぜながら紹介した。

 八神純子の「みずいろの雨」は、「小さい頃はテレビという箱の中で歌うことが夢だった」という、彼女の夢を叶えたNHK『うたコン』でも披露されたもの。カラオケの十八番で、テレビで歌謡曲のカバーを歌ったのも初めてだったという。この日はガットギターによるボサノヴァ調のアレンジも実に新鮮だった。

 後半「City Pop Girls Medley」と題したコーナーでは、女性ボーカルのナンバーをメドレーで披露した。ミステリアスな雰囲気がぴったりハマった杏里の「CAT'S EYE」。跳ねたビートに冒頭から繰り出されるハイトーンがガツンとくる、泰葉の「フライディ・チャイナタウン」。独特なイントロはもちろん爽快なサウンドが秀逸な、大橋純子「シンプル・ラブ」。そして松任谷由実「BLIZZARD」では、手を挙げて揺らして会場が一つになった。

Little Black Dress(撮影=Santin Aki)

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