Little Black Dress、シティポップへの深いリスペクト 鈴木明男も登場したブルーノート東京公演

Little Black Dress『CITY POP NIGHT』レポ

 Little Black Dressが10月5日、Blue Note Tokyoで『CITY POP NIGHT @Blue Note Tokyo』を開催。世代を超えて人気を集めているシティポップをテーマにしたライブで、数多くのシティポップでサックスをプレイしてきた鈴木明男をゲストに迎え、竹内まりや「プラスティック・ラブ」、松原みき「真夜中のドア~stay with me」などの名曲をカバー。アンコールでは川谷絵音プロデュースによるメジャーデビュー曲「夏だらけのグライダー」、最新シングル表題曲「雨と恋心」が披露され、会場に集まったファンと懐かしさと新鮮さを共有した。

人気シティポップをLittle Black Dress流に

 「今宵は、心の中で一緒に歌ってください」。冒頭そう語ったLittle Black Dressは、ホワイトに輝くレースのスーツを着こなす。これまでの黒の印象とは違い実にきらびやかな出で立ちで、彼女が真ん中に立つだけでステージが華やいだ。

 まずは“季節のシティポップメドレー”と題した2曲を披露した。凍てつく大地をズンズン突き進むかのような原曲の魅力はそのままに、どこか軽やかに聴かせた「さらばシベリア鉄道」。Little Black Dressはアコースティックギターを弾きながら、嬉しそうに会場を見渡し歌い上げた。エレキギターに持ち替え、サングラス姿で寺尾聰になりきった「ルビーの指環」。Blue Note Tokyoのステージが、まるで『ザ・ベストテン』のスタジオになったかのような感覚を得た。

Little Black Dress

 MCでは「物語を感じさせてくれる。語感で刺激する」と、両曲の作詞を手がけた作詞家の松本隆の魅力に触れ、松本が作詞を手がけた松田聖子の曲を口ずさみながら、シティポップ愛を語ったLittle Black Dress。観客は彼女の思いに共鳴し、大きくうなずきながら話に耳を傾けた。

 続いては、“70年代のシティポップメドレー”。軽快にタンバリンを叩きながら歌ったのは、シュガー・ベイブの「DOWNTOWN」。時々シャウトするような、オリジナルの歌い回しを聴かせ、最後はクインシー・ジョーンズのような終わり方で締めた。荒井由実の「中央フリーウェイ」では、しっとりとした憂いを感じさせる溜めた歌い方。尾崎亜美の「マイ・ピュア・レディ」は、心地良いオルガンの音色が印象的。可愛らしい表情で恋するピュアな想いを歌い上げた。そして、大貫妙子の「4:00A.M.」は、リズミカルなサウンドに合わせて体を揺らしてリズムを取りながら、スタンドマイクに手を掛けてパワフルにロングトーンを響かせた。

 これまで“歌謡曲”を標榜して活動を続けてきたLittle Black Dress。彼女の中には、歌謡曲とシティポップの線引きは無い。いい曲かどうかが、唯一の物差しだ。時折目を閉じて、心地良さそうに歌う彼女の表情がそれを物語った。

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