『パリピ孔明』×mihimaru GT、『D4DJ』×H Jungle with t……今、人気アニメで蘇る平成のヒット曲
90年代後半から2000年代序盤にかけてのJ-POPシーンは、安室奈美恵、宇多田ヒカル、倖田來未、湘南乃風、ケツメイシ、ORANGE RANGE、GReeeeNなど、クラブミュージックをルーツに持つアーティストや、それらを取り入れたバンドやアーティストが人気を集めた。背景には、バブル崩壊による景気低迷など様々な不安もありながら、2000年代という新しい時代を迎えることへの喜びや、その先に待ち受けている未来への希望があった。そうした当時の機運を表した曲として、モーニング娘。の「LOVEマシーン」(1999年)は有名だ。軽快なディスコビートに乗せて、様々な憂いを振り払って、「明るく前向きに恋をしようじゃないか」とユーモアたっぷりに歌った、底抜けに明るい平成を代表するヒットナンバー。この曲が当時の社会に与えた“明るさ”は、計り知れないものがあった。
また「気分上々↑↑」の歌詞には〈こんな時代に分かち合う MUSIC〉というフレーズが出てくる。様々な問題や不安を抱えながら、それでも前に進まなければならない。今という時代は、どこか2000年前後の時代と似た状況にあるようにも感じるが、現代においても、無条件で希望を映し出してくれる音楽が必要とされ、それを人と分かち合いたいという気持ちがこれらのリバイバルヒットに反映されているのかもしれない。
そして、アニメ視聴者の年代が20代後半~30代中心と考えた時、ちょうど彼らが中高生くらいの時代にヒットしたのが「気分上々↑↑」であり、友達とカラオケで熱唱したという思い出も多いだろう。「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」は、彼らの親世代の曲として、家族で行ったカラオケや車中で聴いた覚えがある人も多いと想像する。今の流行とは少し違うが、懐かしく、どこかで聴いたことがあるという既視感を与えてくれるのもポイントだろう。アニメ『からかい上手の高木さん』シリーズのエンディングテーマとして高木さん(CV:高橋李依)が歌うJ-POPカバーもまた、まさしくそうした“ちょっとだけの懐かしさ”があり、視聴者の青春時代の思いを引き出してくれる効果がある。
今という時代の機運の高まりを象徴しているのが、こうしたJ-POPのリバイバル。逆説的に言えば、「気分上々↑↑」や「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」のような、前向きなパワーとエネルギーに溢れた楽曲の登場が待ち望まれているということでもあるのだろう。