優里やAdoの人気が物語るカラオケ文化の変化 令和における“歌いたくなる曲”の共通点を探る
今年のDAM年間カラオケランキングが発表された(※1)。主なランキング結果は以下。
【楽曲別】
1. 優里「ドライフラワー」
2. DISH//「猫」
3. Ado「うっせぇわ」
4. LiSA「炎」
5. YOASOBI「夜に駆ける」
【歌手別】
1. 優里
2. Official髭男dism
3. back number
4. あいみょん
5. YOASOBI
【今年発売楽曲】
1. YOASOBI「怪物」
2. Official髭男dism「Cry Baby」
3. Ado「ギラギラ」
4. Ado「踊」
5. Awesome City Club「勿忘」
やはり目立つのは優里である。優里は【楽曲別】と【歌手別】に加え、【おうちカラオケ】部門でも1位を記録し、Official髭男dismやあいみょんといった人気アーティストを抑えて三冠を獲得。名実ともに今年の顔の一人となった。
カラオケで選曲されるということは、単純に流行していただけでなく、人々に“歌いたい”と思わせられる作品だったことを示している。それは曲そのもののメロディの良さであったり、歌詞の共感しやすさや、歌って楽しいかどうかといった要素が関係してくる。つまり今年のDAMランキングは、いかに「ドライフラワー」が“歌いたい”と思える楽曲だったかを証明する結果だったと言えるだろう。加えて、カラオケというエンターテインメントの特徴がよく出たランキングだとも捉えられる。
「ドライフラワー」は、シンガーとしての優里の優れた能力を表す楽曲でもある。この曲における優里の歌声の細かな技術や、歌詞の世界を伝える表現力、多彩な歌唱法は、多くのボイストレーナーが指摘するところだ。たとえば、サビでの〈嫌いじゃないの〉における地声から裏声へのスムーズな変化。そしてそこから、力強く歌い上げる〈ドライフラワーみたいに〉でのパワフルなボーカルワークは、“挑戦したくなる”要素が詰まっている。それでいて、完コピさえ目指さなければ素人が歌えないほどではない絶妙な難易度なのがポイントだ。程よくスキルが必要とされ、歌った後は誰でも十分スカッと気持ち良くなれる楽曲だと感じる。