TAEYO×starRo対談、アルバム『Pale Blue Dot』とはどんな作品だったのか? コラボ曲秘話からアーティスト哲学まで語り合う

TAEYO×starRo対談

 今年9月にメジャー1stフルアルバム『Pale Blue Dot』をリリースしたTAEYOが、自身のYouTubeチャンネルに音楽プロデューサーstarRoを迎え、その対談の模様を配信した。

 2015年にTaeyoung Boy名義で音楽活動をスタートしたTAEYOは、モデルやアパレルブランドとのコラボなどファッション方面でも注目を集め、2019年に1stアルバム『HOWL OF YOUNGTIMZ』をリリースする。翌年5月にはTAEYOに名義変更しメジャーデビュー。EP『ORANGE』を経ての本作『Pale Blue Dot』には、『HOWL OF YOUNGTIMZ』に引き続き盟友DroittteやCELSIOR COUPEやstarRoが参加した。中でもstarRoとは合計4曲でコラボレーションを行うなど、その親交の深さは作品からも伺える。

starRo×TAEYO(写真=西村満)

 この日の対談は、都心から少し離れた某所にて秋晴れの気持ち良い午後に行われた。『Pale Blue Dot』をリリースしてから1カ月が経ち、その手応えや周囲の反響をどう受け止めているのか率直な心境を述べるTAEYOに対し、自身の経験などを踏まえながらstarRoが助言をする一幕もあった。気心の知れた2人の話題は音楽にとどまらず、哲学や精神世界など多岐にわたりながら、いよいよ最新作の制作エピソードへ。ラッパーのRyugo Ishidaをフィーチャーした「ATTACK!」は、元々はstarRoが自身のDJ用に制作していたトラックがベースになっているという。

TAEYO(写真=西村満)
TAEYO

 「starRoさんと数曲一緒に作ることになって、何かビートのあるトラックをストックしていないか尋ねたところ、たまたまDJ用に作っていたトラックを聞かせてくれたんです。ちょうどその頃僕は『TENET』にハマっていて、このトラックもあの映画がキーワードになっていると聞いてめちゃくちゃテンション上がったんですよ」とTAEYOが「ATTACK!」の原型となったデモを、初めて聞いた時のことを振り返る。

 基本的に、他アーティストとのコラボレーションは「ゼロ」からスタートすることがほとんどだというstarRo。今回のように、既製のトラックに歌を乗せる方法は彼にとって極めてイレギュラーだった。「面白かったのは、このトラックを作るときに俺は音楽で『全員ぶっ殺してやる!』みたいな気持ちだったんだけど(笑)、そのことを知らないはずのTAEYOも、めちゃめちゃ攻撃的なリリックを付けてくれたことなんだよね」。そう述懐するstarRoに、「聴いたときにマジでこれは爆弾だなと思ったんです」とTAEYOが返す。「とんでもない破壊力だなと。それですぐレコーディングスタジオにデータを持って行って、そこでラップを入れることにしました。真っ暗なブースの中でありとあらゆるフロウや変な声を出しまくり(笑)、それをエンジニアさんと一緒に後からパズルみたいに紡いで完成させました」

starRo(写真=西村満)
starRo

 結果的に新たな試みとなった「ATTACK!」でのコラボレーションは、starRo自身の新たな扉を開けるきっかけにもなった。「これまで僕は、ゼロから一緒に作ってこそ有機的な作品が生まれるとずっと思っていた。けど今回は、僕とTAEYOの気持ちが100パーセントのパワーでぶつかり合った。すごく勉強になったし、『こういう作り方もあるのか!』と思ったよ」と、楽しそうに振り返っていた。

TAEYO / ATTACK! feat. Ryugo Ishida (Official Music Video)

 「続く『LET’S GET IT!!』も、俺が一度やってみたかった方法で作った曲でした」とTAEYO。「最初starRoさんに、『こういうリズムの曲が作りたい』と言ってキックだけ持っていき、そこにいろいろ足していった。自分の中にあるイメージをブラッシュアップしてもらって、それが自分の想像以上の作品に仕上がるというのが一番気持ちいいかもしれないです」と、コラボレーションの意義について熱く語る姿も印象的だった。

LET’S GET IT!!

 アルバム『Pale Blue Dot』には、TAEYOのペンによるたくさんのリリックが所狭しと並んでいる。が、彼にとって「言葉」よりも、サウンドから湧き上がってくるイメージをそのまま受け止めてもらうことこそが、今回もっとも求めていたことだったという。「だからこそ英語詞を選んだのかもしれないし、曲によっては楽曲を邪魔したくないからあまり言葉を入れたくなかった」と当時のこだわりを明かすTAEYOに、「確かに今作は、抽象的なイメージをそのまま受け取ってほしいというアルバムだったよね」とstarRoも同意する。「曲によってはほとんどインストで、時折TAEYOのシャウトが入っているだけのようなものもあったし(笑)。それこそ僕はずっとインスト音楽を手掛けてきた。抽象的な楽曲を出してきているから、言葉では言い表せない想いに関しては同意しかないよ」と笑う。

starRo×TAEYO(写真=西村満)

 「なんか、そっちの方が感覚的には本質のような気がしていて」と、話はさらに展開していく。「説明的なアート作品は、そもそも『アート』だと思えなくなってしまうというか、押し付けがましく感じてしまうんです。もっと、本当のことはリリックやフロウじゃないところにあるんじゃないかと思っていて」とTAEYOが心の内を明かすと、「言葉にはすごい力があるから、だからこそ中途半端に扱うと真実が曲げられたり、切り取られたりしてしまうからね」とstarRoも肯く。「人が手掛けているインスト曲の部分も含めて『これが俺の楽曲です』と表明できるのは、ある意味で『脱皮しているな』と思ったよ」との見解に対しTAEYOは、「でも、まだそこの精度が自分でも迷いながらやっていたのもあるし、そこの質感だけ突き詰めたいという気持ちは今すごくあります。量とか数とか言葉とかではなく質で勝負していきたい」などと、今後の展望について語っていた。

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