『バンドリ!』大迫力のライブ映像を実現する制作の裏側 梅津朋美監督×3DCG 森田紘吏インタビュー

『バンドリ!』梅津監督×森田紘吏インタビュー

『BanG Dream!』作品に携わるクリエイターの醍醐味

――リアルライブでの公演を行なわないバンドについては、どんなふうにキャラクターたちの動きを考えていったのでしょう?

森田:たとえばAfterglowなら、ゲームのストーリーの中でキャラクターの個性を把握して、その要素を入れることが多いですね。リアルライブをしていないバンドはアニメでも出てくるシーンはそれほど多くないので、ゲームのストーリーに影響を受けることが多いです。

梅津:制作チームはみんな『BanG Dream!』のキャラクターとの付き合いが長いこともあって、「これは全然違うな」というものは上がってこないんです。むしろ「そうそう、彼女たちはきっとこんなふうにライブをするだろうな」と想像できるものが上がってくるような形でした。その最高潮のものを、たくさん上げてもらったような感覚です。

――ハロー、ハッピーワールド!のステージなどでは、リアルライブでは実現不可能な、アニメーションならではの演出も目を引きました。

梅津:そうですね。『BanG Dream!』シリーズのバンドたちはあくまで「バンド」なので、アイドルと違ってそこまで踊ったり、自由自在に動いたりはできません。ですから、演奏シーンに関しても、音を自分たちで生み出しているクリエイターとしてのクールさやストイックさを崩しすぎないようにしたいと思っていて。そう考えると、バンドフォーメーションで見せられる画というのは限られてくるのですが、その境目を攻められるのがハロハピ(ハロー、ハッピーワールド!)のようなバンドなのかな、と思っています。また、音楽面では様々な会場で行なわれたリアルライブでの実際の音源を演奏パートに使用していて、都田和志さんをはじめとする音楽チームのみなさんがいい形にしてくださいました。基本的には、最近の公演の音源が使われていることが多いかと思いますね。こちらからは、MCについては「この公演のこの部分を使ってください」とお願いをしたりしています。

――リアルライブの思い出も楽しめるようなものになっていますね。

梅津:どの公演の音源が使われているかを当てていただくことも可能だと思います。「このMCはあのときの公演のものだな」というところがヒントになるかもしれません。

森田:リアルライブの音源は、CD音源とはアレンジが違っていたりするので、そこは3DCGチームでも工夫をしていきました。音合わせを慎重にしていきましたよね。

梅津:合わせましたねえ……。できる限り合わせられるように頑張っていった部分です。

―-完成した作品を観られての感想はいかがでしたか?

梅津:単純に「すごいな」と思いました(笑)。いいものができたな、と思っています。

森田:飽きずに観られるかな、と思います。曲ごとに絵コンテの担当者が違うことも、バリエーションが生まれる理由になっているように思います。

梅津:全部をひとりで描いてしまうと、どうしても引き出しが限られてしまいますからね。今回、絵コンテをすごくやる気のある方たちにやっていただいて、その方たちの引き出しがさく裂しているような感覚があります。

――おふたりが思う個人的な注目ポイントや、作品中のライブの中でのベストパフォーマンスのようなものがあれば教えてください。

梅津:私はアンコールパート全部ですね(笑)。

森田:私は曲中の楽器のソロパートですね。今回は、曲中の演奏シーンで、かなり手元を見せていたりするんです。これまでは「時間がかかるから省きましょう」となっていたところも、今回は楽器の演奏をしっかり見せているので。

梅津:「Hey-day狂騒曲」の(青葉)モカのギターソロや、Pastel*Palettesの(氷川)日菜のギターソロもゴージャスに映っていると思います。バストアップではなく、しっかり手元まで彼女たちが演奏する姿を見せることで、よりライブ感を出したいと思っていました。

――おふたりがクリエイターとして『BanG Dream!』にかかわる面白さといいますと?

梅津:ずっと付き合いが長い作品なので、その中でキャラクターが成長していったり、優しくなったり、絆が深まったり――。そういうことを、演奏の中でも表現できたりすることがすごく面白いな、と思います。キャラクターたちの表情や、それぞれの関係性のようなものを通して、ドラマパートだけではなく、演奏部分でもその成長を描けることは魅力的です。

森田:個人的に、モーションキャプチャーというものを『BanG Dream!』シリーズで初めて扱ったので、「こうすればよく見えるのか」というリアルさとアニメ表現のバランスのようなものを、『BanG Dream!』シリーズで学びました。

梅津:『BanG Dream!』シリーズの映像作品では、「音が鳴っているときは絶対に演奏している」というように、バンドものとしての一定のルールが存在しています。可愛いガールズバンドであるだけではない、自分たちが音を発現しているからこそできるかっこよさや、アイドルとはまた違った存在としての魅力を、色々な方に楽しんでいただければ嬉しいです。

■公開情報
『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』
(読み:バンドリ! フィルムライブ セカンドステージ)
公開日:2021年8月20日(金)
上映時間:本編84分
レーティング:G
製作:2021年
配給:ブシロード

監督:梅津朋美(エディッツ)
脚本:柿本広大

キャスト(声の出演):
愛美
佐倉綾音
前島亜美
相羽あいな
伊藤美来
進藤あまね
Raychell
ほか

アニメーション制作:サンジゲン

メインスタッフ
原作:ブシロード
製作総指揮:木谷高明
企画プロデューサー:松浦裕暁
ストーリー原案:中村 航
監督:梅津朋美(エディッツ)
脚本:柿本広大
キャラクター原案:ひと和、Craft Egg
アニメーションキャラクターデザイン:植田和幸
サブキャラクターデザイン:八森優香
CGスーパーバイザー:森田紘吏
CGディレクター:林 謙吾
モデリングディレクター:岩市 渉、原岡大輔、長谷井麻衣、山田多樹、武内泰久、榊原大成
リギングディレクター:柏木 亨、矢代奈津子、山下瑠里
色彩設計:北川順子
撮影監督:井上麻梨
美術監督:牧野裕樹(KUSANAGI)
美術設定:真村 躍
音響監督:飯田里樹
音楽プロデューサー:上松範康(Elements Garden)、藤田淳平(Elements Garden)
アニメーション制作:サンジゲン
製作:BanG Dream! FILM LIVE Project
配給:ブシロード

キャッチ:最高の音楽(ルビ:ユメ)の、その先へ!

あらすじ:バンドリ!劇場ライブアニメーション「BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage」開催決定!「Poppin’Party」「Afterglow」「Pastel*Palettes」「Roselia」「ハロー、ハッピーワールド!」のおなじみのバンドメンバーに加えて幻想的な世界を奏でる「Morfonica」
最強を掲げるロックバンド「RAISE A SUILEN」も出演決定!7つのバンドが目指す、「2nd Stage(ルビ:次のステージ)」は……?
©BDP ©BDFLP

『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』公式サイト

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