『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』に凝縮された『バンドリ!』シリーズの挑戦 楽しむための“3つのポイント”を徹底解説

『バンドリ!』FILM LIVE第二弾の楽しみ方

 次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』の最新ライブアニメーション作品劇場版『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』が8月20日から劇場公開される。本作は2019年9月に上演された劇場版『BanG Dream! FILM LIVE』に続くアニメーションライブ作品第2弾で、アニメ『BanG Dream! 3rd Season』(TOKYO MXほか)やスマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』に登場する7バンド(Poppin’Party・Afterglow、Pastel*Palettes・Roselia・ハロー、ハッピーワールド!・Morfonica・RAISE A SUILEN)が集結。前作には参加していなかったMorfonicaとRAISE A SUILENも一堂に会するその様相は、さながら“バンドリ!フェス”と呼ぶにふさわしく、8月3日に行われた先行上映会でひと足先に拝見した筆者にとって終始興奮の内容だった。

 なぜここまで興奮したのか……それは単に7バンドが勢揃いしたことだけではなく、1作目以上に“リアルライブ”と重なる仕上がりだったことが大きい。現在7バンド中4バンド(Poppin’Party、Roselia、Morfonica、RAISE A SUILEN)がリアルバンドとしても活動中の『バンドリ!』だが、前作はアニメシリーズの延長線上という印象が強く、アニメやゲームの世界では描ききれなかったライブシーンを思う存分堪能できる“アニメ作品のひとつ”というイメージだったのかもしれない。しかし、今作においてはアニメシリーズやゲームの“その先”であると同時に、バンドリーマー(※『バンドリ!』ファンの総称)たちがライブ会場で体感してきたリアルバンドたちのパフォーマンスを疑似体験しているような感覚を味わうことができるのだ。

 本稿では、その要因となる3つのポイントについて触れながら、『劇場版「BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage」』の魅力に迫っていく。

①リアルバンドの過去のライブ音源を使用

 前作劇場版『BanG Dream! FILM LIVE』では、各バンドのパフォーマンス場面に使用する音源はスタジオテイクをそのまま流用していたが、今作ではリアルバンドたちが過去に行なってきたさまざまなライブから、選りすぐりのライブテイクを採用。これにより、実際のライブを体感しているかのような生々しさを劇場にて追体験することができる。

 こちらに関しては、先行上映会終了後のトークセッションにてライブ音源のミックスを担当する都田和志が「ライブ現場で収録した膨大な音源データを、約1年の期間をかけてミックスした」と語っており、その出来に対して「前作と比べても迫力が全然違う」と太鼓判。この点は前作との比較において非常に大きな変化であり、作品鑑賞中の没入感もより深く堪能することができた。どの曲にどの時期のライブテイクが採用されたかは明言されていないが、曲中のちょっとしたフェイクや煽り、演奏のニュアンスの違いなどから、バンドリーマーたちは「これはあのときの音源?」などと探るのも楽しみ方のひとつかもしれない。

 なお、リアルバンドの存在しない3組(Afterglow・Pastel*Palettes・ハロー、ハッピーワールド!)のパフォーマンス音源に関しても同様な生々しさを味わうことができたが、こちらの使用音源に関しては企業秘密とのこと。詳細も気になるが、まずはリアリティの強いバンドサウンドを劇場ならではの大迫力で楽しんでもらいたい。

 ②5.1chサラウンドでライブの臨場感を追体験

劇場版「BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage」ロングPV

 そのライブサウンドを鳴らす/届けるシステムにも、今回はかなりのこだわりが垣間見える。通常の映画館でのライブビューイングではLRミックスが一般的となっているが、本作では各バンドの音源を5.1chサラウンドでミックス。ライブ会場さながらのサウンドを再現しつつ、さらに劇場特有の音響設備で鳴らすことによって、ライブ会場以上のダイナミックな音像を追求している。おそらく、過去に『バンドリ!』関連のライブビューイングに劇場にて参加した経験を持つバンドリーマーでも、今回はその“鳴り”の違いに心底驚くはずだ。

 また、実際のライブと同様にメンバーのポジションでスピーカーから出る音を振り分けているので、劇場の席によって聴こえてくる音、重点が置かれるサウンドに違いが生じる。例えば、注目したいメンバーが上手側(ステージ/スクリーンに向かって右側)に立つ場合、それに合わせて上手寄りの座席で映画を観れば、そのメンバーが奏でる楽器の音を楽しむことができるだろう。それ以外にも、最前列に構えることでウーハーによる低音を体感することもできるし、全体の音をバランスよく楽しみたければ劇場の真ん中あたりに座ればいい。座席の位置により、それぞれ異なる臨場感を楽しめるというのも実際のライブと共通するものがあるので、可能であれば座席位置を変えつつ複数回鑑賞し、その違いを体感してもらいたい。

 さらに、観客の声援も非常にリアルに感じられるのも本作の特徴のひとつだろう。昨今、ライブ会場で観客が声を上げることができず、生の歓声を耳にしなくなって久しいが、5.1chサラウンド環境下で味わう歓声は我々が忘れかけていた懐かしい感覚を呼び覚ましてくれることだろう。残念ながら劇場でも声を上げて鑑賞することは難しいが、この歓声があるだけでもどこか救われた気持ちになるはずだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる