2ndアルバム『ハピアー・ザン・エヴァー』リリース記念連載
ビリー・アイリッシュの5年間を辿る【前編】 “最も共感出来るアーティスト”の誕生から、ポップシーンの頂点に立つまで
そして、2019年3月29日、ついに1stアルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』がリリースされる。彼女の作品を渇望していた人々が一斉にアルバムの再生ボタンをタッチし、同作は全米チャート初登場1位を達成した。これは21世紀に生まれたアーティストとして初の快挙でもある。リードシングル「bad guy」は「bury a friend」の音楽性を引き継ぎつつも、踊りたくなってしまうキャッチーでユーモアに満ちた今までにないポップソングであり、自身初の全米シングルチャート1位を獲得し、同年を代表する大ヒット曲となる(日本国内においても、海外アーティストとしては異例とも言えるほどのヒットを実現した)。同作は売上だけではなく批評的にも優れた評価を獲得し、『The New York Times』や『NME』といった大手メディアにおける年間ベストアルバム1位に選出され、さらに翌年のグラミー賞では史上最年少となる18歳で主要4部門を独占するという前代未聞の快挙も成し遂げてしまった。
映画『ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている』に収められているように、本作の楽曲の多くはフィニアスとビリーの2人だけで、マイクとラップトップを抱えて自宅の部屋で制作されたものであり、やはりその在り方は「Ocean Eyes」の頃から変わっていない。そして、そのスタイルのままポップシーンの頂点に立ってしまったのである。
だが、本当に衝撃的だったのはアルバムリリース直後のタイミングで実現した『コーチェラ・フェスティバル』でのパフォーマンスだったのではないだろうか。筆者もYouTubeの中継を通して参加していたが、そこに映っていたのは会場中を埋め尽くすオーディエンスによる、絶叫にも近い歓声と、本人の歌声を覆い隠すほどのボリュームで歌詞の一言一句を全て合唱し、盛り上がる会場の光景だ。「bad guy」では会場が破裂しそうなほどの熱狂を見せ、「when the party’s over」では会場中が丁寧に歌い上げる姿を真剣に見つめ、彼女が何か言葉を発すれば熱の込もった凄まじいリアクションが返ってくる。
そう、これまでのポップアーティストとの比較や独特な音楽性を語るのはそもそも野暮な話であり、美しい歌声で自身の感情を(不安や憂鬱といったネガティブな側面も隠すことなく)丁寧に表現し、SNSなどを通してファンダムと積極的にコミュニケーションを育み、あくまで自身の手によって楽曲やMVの制作に取り組むビリー・アイリッシュの姿は、同世代を中心とした彼女のファンにとって徹底的にリアルで、最も共感出来るアーティストなのである。若手にも関わらず、異常な盛り上がりを見せた『コーチェラ』でのパフォーマンスは、その事実を完璧に証明しており、彼女の存在を単なる「新たなポップアーティスト」として捉えていた(筆者を含む)多くの人々に、本当の意味での衝撃を与えたのだ。そして、ビリー・アイリッシュという存在の登場により、さらなる新しい文化が生まれていくことになる。
<後編に続く>
※1:https://www.teenvogue.com/story/how-billie-eilishs-ocean-eyes-turned-her-into-an-overnight-sensation
※2:https://www.vogue.com/article/billie-eilish-pops-next-it-girl
■リリース情報
ビリー・アイリッシュ
2ndアルバム『ハピアー・ザン・エヴァー』
発売中
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【通常盤】
UICS-1374/¥2,750(税込)
CD歌詞・対訳・解説付
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【デラックス・エディション】
UICS-9172/¥3,630(税込)
CD 歌詞・対訳・解説付
日本限定キーホルダー
ポスター封入 (B3サイズ予定)
ステッカー 7cm x 5cm(全4種類のうち1枚をランダム封入)
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<トラックリスト>
1. Getting Older / ゲッティング・オールダー
2. I Didn’t Change My Number / アイ・ディドゥント・チェンジ・マイ・ナンバー
3. Billie Bossa Nova / ビリー・ボサノヴァ
4. my future / マイ・フューチャー
5. Oxytocin / オキシトシン
6. GOLDWING / ゴールドウィング
7. Lost Cause / ロスト・コーズ
8. Halley’s Comet / ハレーズ・コメット
9. Not My Responsibility / ノット・マイ・レスポンシビリティ
10. OverHeated / オーヴァーヒーテッド
11. Everybody Dies / エヴリバディ・ダイ
12. Your Power / ユア・パワー
13. NDA / NDA
14. Therefore I Am / ゼアフォー・アイ・アム
15. Happier Than Ever / ハピアー・ザン・エヴァー
16. Male Fantasy / メール・ファンタジー
■関連リンク
ビリー・アイリッシュ日本特設サイト:https://sp.universal-music.co.jp/billie-eilish/
ビリー・アイリッシュLINE公式アカウント:https://line.me/R/ti/p/@071dgcvi?from=page
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