Rin音、藤井 風、ずとまよ、yama……2021年期待のアーティストランキングから“ヒットの新潮流”を紐解く
ブレイクの鍵は”Mステ”と”THE FIRST TAKE”?
このように上位3組はいずれも男性ソロ。ジャンルは様々だが、現代的なセンスを持っていたり、幅広い才能を発揮しているアーティストが並んでいる。以降のリストを見渡すと、4位にマカロニえんぴつや6位にNEEといったロックバンドもランクイン。なかでも9位に付けた男女混成4人組バンドの緑黄色社会は、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)の「ひとつになろう!ダンスONEプロジェクト」課題曲となった「Mela!」が大反響。確かなポップセンスと抜群の歌唱力を武器に、今年さらなる飛躍を見せそうだ。
また、彼女たちの人気に火が付くきっかけの一つとなったのが、昨年初出演を果たした『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)や、一発撮りの映像を配信する人気YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でのパフォーマンスだ。ライブ映えする彼女たちの魅力を映像メディアが存分に引き出していた。そして、その「THE FIRST TAKE」で再生数が記事執筆時点で1,400万回を超えているのが、目下「ドライフラワー」がヒット中のシンガーソングライターの優里である。ランキングで7位に付けた優里は、今月Mステ初出演予定。放送を機に“ドライフラワー旋風”はさらに加速するだろう。
期待される”ポストYOASOBI”
最後に、5位のずっと真夜中でいいのに。、8位のyama、10位の空白ごっこといった“覆面系”アーティストの台頭も見逃せない。昨今歌い手の素性が明かされておらず、謎めいたユニットがチャート上位によく現れるようになった。情報が少ないからこそ「見たい・知りたい・聴きたい」というリスナーの思いを喚起するのかもしれない。裏を返せば、容姿や肩書き、出自関係なく純粋に楽曲や歌声が評価されているとも言えよう。
こうしたユニットの作品を支えているのがボカロ由来のクリエイターたち。そこで思い出すのが、昨年「夜に駆ける」で一躍ブレイクを果たしたYOASOBIの存在である。コンポーザーを務めるAyaseはボーカロイドプロデューサーだ。近年活況を見せるボカロシーンから、次に輩出される“ポストYOASOBI”の登場にも期待したい。
■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
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