『20×20』インタビュー
JUNNAが語る、20歳を迎えた心境と『20×20』での新たな挑戦 「“ここで歌うんだ”という意志を強く表現したい」
JUNNAが20歳を迎えてから初のオリジナルアルバム『20×20』をリリースした。“2020年の今のJUNNA”を切り取った歌詞も多く見られ、持ち前のパワフルな歌い回しを見せているとともに、今までにない多彩な楽曲バリエーションにも挑戦している。「アルバムで一番好きな曲」だと語る「波打ち際」はその最たるものだろう。自身で初めて作曲したという「いま」も収録されており、人生の一つの節目を迎えたことで、“新しいJUNNAの魅力”が大きく花開いた作品だ。ソロシンガーとして充実のキャリアを歩むJUNNAに、今の心境を聞いた。(編集部)
「ステージ上では最強でありたい」
ーーJUNNAさんは11月2日に20歳を迎えられましたが、何か特別な感慨はありますか?
JUNNA:誰にとっても大切な年齢になれたのは嬉しいですけど、複雑な気持ちもあります。10歳ぐらいの頃までは「早く20歳になりたい!」と思っていましたけど、17〜19歳ぐらいになってくると、だんだんカウントダウンされているような気がしてきて(笑)。みんなとお酒が飲めるようになったのはいいなと思いつつ、私は10代でデビューしたので、「もう20歳なんだ」と思われる悲しさもあるので。
ーー思い描いていた20歳の自分になれていますか?
JUNNA:昔はもっと大人になっていると思っていました。特に精神的な面で、もう少し自立しているのかなと思っていたんですけど……。
ーー地元から上京して5年、学業と両立しながらアーティスト活動を行っているので、自立しているイメージが強いのですが。
JUNNA:でも、表面的な部分だけだと思います(笑)。家族で上京してきたので、家事も何もかも、母に頼りっぱなしなんです。たぶん家族は「全然大人じゃない」と思っているはずですし、最近は周りの人たちにサポートしてもらわないと生きられない人間ということを余計に感じます。
ーーニューアルバム『20×20』は、2020年に20歳を迎えたJUNNAさんを象徴するようなタイトルになりました。どんなコンセプトで制作を進めましたか?
JUNNA:20歳になって最初のアルバムなので、その記念の年に今の私を切り取ったような曲が歌えたらと考えていました。私はロックが好きなので、ロックな曲を歌いたい気持ちが最初にあって。その上で、アルバムでは毎回、今までに歌ったことないタイプの曲にも挑戦したいので、ダンスナンバーの「La Vie en rose」だったり、ジャンル的に新しい曲にも取り組みました。
ーーここからはアルバム初出の新曲を中心にお話を伺います。リード曲の「我は小説よりも奇なり」は、タイトルからして鮮烈な印象のシンセロックチューン。
JUNNA:この曲と「Sleepless」は、たくさんの楽曲の中から、今までに挑戦したことのないタイプの曲ということで、私が選んだ曲なんです。
ーー音に対するメロディの乗せ方が独特で、歌うのが難しそうですが、いかかでしたか?
JUNNA:私の曲はレコーディングしてみると「あれ?」となることが多くて、「我は小説よりも奇なり」も特にDメロは言葉がたくさん詰まってて難しいんです。配信ライブで歌ったときも、バンドの皆さんから「あそこはどうやって歌ってるの?」と言われるぐらいで。私は感覚で歌っている部分が多いので、「どう?」と聞かれてもあまりわからなくて。
ーーこの曲と同じく白戸佑輔さんが作曲・編曲した1stシングル曲「Here」も、変拍子を多用した難曲ですが、それも感覚的に歌えたと以前のインタビューでおっしゃっていましたね。
JUNNA:そうなんです。白戸さんの曲は感覚的に歌うのが大切なんです。逆に音楽知識がたくさんあると、拍子の変化とかを気にしすぎてしまうかもしれないです。自分の感覚的に掴んだリズムで歌うと、自分の好きなように歌えるのかなと思っています。
ーーこの表現が適当かはわからないですが、JUNNAさんはライブでもちょっと動物的というか、感覚重視でパフォーマンスしている印象があります。
JUNNA:そうですね(笑)。あまりとらわれず、自由に歌うようにしています。
ーーそのJUNNAさんらしい魅力が特に表れているのが、この曲のラスサビ前にある雄叫びかなと。
JUNNA:あれは最初はなかったんです。白戸さんたちが「ライブでもっと盛り上がる曲にしよう」と話していて、アイディアの中で、感情を爆発させるように叫んだらいいんじゃないかという話になって。「叫ぶってなんですか?」と思ったんですけど(笑)、これがあることで、歌うたびに長さや次への繋げ方が変わって、どのライブでも違う味が出ると思いますし、面白さが出る曲になったと思います。私はDメロの最後の〈風を起こすこの手で〉というフレーズが好きで、歌いながら「私の歌で今を変えていくんだ!」と決意表明している気持ちになります。それとサビの最後の〈我が魂よ 最強になれ〉は、ステージ上では最強でありたい私の気持ちとも重なって、心を掻き立てられます。
ーー〈我が魂よ〉で思い出しましたが、JUNNAさんは「魂ちゃん」というオリジナルキャラクターをよく描いてますよね。
JUNNA:そうなんです(笑)。ワルキューレのキャラクターにはそれぞれ「歌は〇〇!」という決め台詞があるんですけど、番組でそれを自分に置き換えて「歌は魂」と書いたら、みんなからキャラクターを描くように言われて生まれたキャラクターなんです。私にとっては「歌は魂」なので、その気持ちも込められる歌詞だと思います。
ーー〈我が魂よ〉は「我が歌よ」にも置き換えられるわけですね。曲名の「我は小説よりも奇なり」も、JUNNAさん自身の無限の可能性を表現しているようで、素敵な言葉だと思います。
JUNNA:この「我は小説よりも奇なり」というのは、作詞をしていただいた石川智晶さんがご自身のライブのタイトルに使われていた大切な言葉で、それを私の曲に付けてくださったので、石川さんから「頑張れよ」と言われている気がして、気持ちが引き締まりました。
ーー2曲目の「FREEDOM 〜Never End〜」は、FUZZY CONTROLのJUONさん提供によるダイナミックなギターロックです。
JUNNA:この曲がさっきお話したロック曲で、すごく歌いやすかったです(笑)。Aメロの音はすごく低くて不安や不満を表していると思うんですけど、サビでどんどん走り出して、音が高いところに行くとスパーンと抜ける感じがするので、いつもの歌い方よりもクセを付けず、よりストレートに伝わるように歌いました。
ーー終盤の〈この先何が待ち受けていても/繋いだ手は離さないでいてね〉という歌詞も、グッとくるポイントだと思います。
JUNNA:私も語尾の“ね”の部分がすごくいいなと思っていて。それまでは〈愛しちまえ〉とか結構男っぽいことを言っているのに、ここで急に女の子っぽくなるので、歌詞をいただいたときに「ここ、めっちゃ好き!」ってなりました(笑)。しかもこの落ちサビの部分はちょっと語りかけるように歌っているので、ライブでもいい味になると思います。