北野創の新譜キュレーション 第4回
新田目翔、ハヤシケイ、タナカ零、sajou no hana…2018年夏クール注目のアニソン作家4名
2018年夏クール放送の新作アニメが一通り出揃い、音楽的にも「ミュージカル×アニメーションで紡ぐ二層展開式少女歌劇」を謳う『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』、『ストリートファイターII』をはじめ作中に登場するゲームの音楽を実際に手がけた下村陽子を劇伴に起用して作品との親和性を図った『ハイスコアガール』など、この夏も注目作が目白押しのアニソン/アニメ音楽界隈。その中で今回は「個人的に注目している作家」を切り口に、いま聴いておきたい新作を紹介します。
最初に取り上げるのは、昨年から目覚ましい活躍をしているドリームモンスター所属の若手作家・新田目翔。1992年生まれで現在25歳の彼は、水瀬いのりの1stアルバム『Innocent flower』(2017年)に収録されている「旅の途中」が作家としての作詞/作曲デビュー作とのことなので、活動キャリアはまだ2年未満なのですが、その間にも小倉唯が歌う必殺級のバラード「Dear」や、アプリゲーム『アイドルマスター ミリオンライブ!シアターデイズ』よりプリンセススターズ「Princess Be Ambitious!!」(作曲)、4Luxury「花ざかりWeekend✿」(作曲/編曲)というハロプロチックな和製ディスコなど、良作を連発。ジャクソン5「I Want You Back」を確信犯的に引用した亜咲花のソウルポップ「SHINY DAYS」(作曲)でその名前を記憶した人も多いことでしょう。
そんな彼の最新のワークスが、弱冠17歳の歌姫JUNNAによるニューシングル『紅く、絶望の花。』のカップリング曲「赤い果実」(作曲/編曲)。これまたホーンとストリングスを豪勢に使ったディスコティークなナンバーで、JUNNAの重厚な歌声と生音主体のゴージャスなアレンジメントが往年の歌謡曲にも似た匂いを感じさせる、グルーヴィーかつパンチの効いた名品です。なお、新田目は今期のTVアニメ『ロード オブ ヴァーミリオン 紅蓮の王』(TOKYO MXほか)で劇伴音楽も担当しており、さらに他方面で才能を発揮中。ちなみに彼の双子の兄弟だという新田目駿も作家活動をしており、前期のTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』のオープニング(OP)主題歌「Make debut!」で本格デビューしたばかり。同アニメの第12話では新田目翔がエンディング(ED)テーマ「Find My Only Way」(作曲)を手がけ、兄弟でOPとEDを担当する快挙を成し遂げました。