ずっと真夜中でいいのに。が“アート的な遊び心”で示す、配信ライブの新たな可能性

ずとまよ、配信ライブで見せた“アート的な遊び心”

 ずっと真夜中でいいのに。が8月6日、『オンラインライブ NIWA TO NIRA(有料)』を開催した。

 ライブでは、8月5日にリリースされた3rdミニアルバム『朗らかな皮膚とて不服』の楽曲も披露。演奏、演出、映像、パフォーマンスを含め、“ずとまよ”の新たな進化と配信ライブの新たな可能性を示す内容となった。

 まず特筆すべきは、シアトリカルな要素を取り入れた映像。これまでのライブでも、調理器具や家具をステージに置くなど、楽曲の世界観ともつながる意匠を施してきたが、今回の生配信ライブでは、その側面をさらに押し進めていたのだ。たとえばオープニングでは、野菜を包丁で切る女性の手元を映し出し、包丁とまな板の音と打ち込みのビートを重ねていた。どこか演劇的な演出は、すでにずとまよの個性と言っていいだろう。こんなことが可能なのはもちろん、その楽曲のなかに豊かな“物語”が含まれているからだ。

 ライブは、ステージとプールのあるデッキを行き来しながら進行。バーベキューをする場面、水面の揺らぎなどを映し出す映像とともに、現実と非現実が溶け合うような空間を作り出していた。パフォーミングアート、インスタレーションの要素を効果的に取り入れた構成からは、配信ライブというプラットフォームの大きな可能性を感じ取ることができた。

 またOpen Reel Ensemble(和田永、吉田悠、吉田匡によるオープンリール式テープレコーダーとコンピュータを融合させ“楽器”として演奏するグループ)が参加していることも、ずとまよのライブの可能性を拡大していた。ブラウン管打楽器”が使用されたり、扇風機型の楽器やテープを叩くパフォーマンスも取り入れられた。アナログとテクノロジーを融合させたステージングは、ずとまよのコンセプトと重なりつつ、際立った個性につながっていたと思う。既存のライブのフォーマットに捉われず、“アート的な遊び心”をふんだんに取り入れるセンスもまた、ずとまよの魅力だ。

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