2ndシングル 『君を求めて』インタビュー
新浜レオンが振り返る、馬飼野康二や長戸大幸との制作秘話 レジェンド作家に学んだ“自分らしい歌の届け方”
昨年「離さない 離さない」でデビュー、昨年末「第61回 日本レコード大賞 新人賞」、今年に入り「第34回日本ゴールドディスク大賞 ベスト・演歌/歌謡曲・ニュー・アーティスト」を受賞した新浜レオンが、待望の2ndシングル『君を求めて』をリリース。表題曲は新浜憧れの西城秀樹の楽曲を数多く手がけた馬飼野康二が作曲・編曲を手がけ、カップリング曲「佐原の町並み」はB’zやZARDなどを手がけた長戸大幸が作詞・作曲を担当。新浜にとって思い入れのある人物とタッグを組んだ、歌謡曲の枠を超えてグリーンの旋風を巻き起こすだろう1枚になった。今作の制作の裏側と、自粛期間を経た今の熱い思いを聞いた。(榑林史章)
「自分の魅力を発信」。馬飼野康二の言葉に開眼
ーー「君を求めて」は、馬飼野康二さんの作曲・編曲です。
新浜レオン(以下、新浜):僕の憧れのひとりは西城秀樹さんで、馬飼野先生と言えば西城さんの楽曲を数多く手がけてきた方なので、その馬飼野先生に曲を書いていただいたということが本当に嬉しくて、夢のひとつが叶いました!
ーー馬飼野さんとは、どんなお話をされたのですか?
新浜:曲ができる前にお話をさせていただく機会があって、僕がどんな人間なのか知ってもらうために、野球をやっていたことなどいろいろお話をさせていただいたのですが、西城さんのエピソードが本当に興味深かったです。「秀樹はね……」って、西城さんを「秀樹」と呼んでいることに感動してしまって!
お話だけでなくその場でデビュー曲「離さない 離さない」も聴いていただいたんですけど、「どちらかと言うと野口五郎よりも、秀樹のほうの声だね」と言ってくださって。その後、演歌の曲を歌ったものや西城さんの「ブルースカイ ブルー」を歌った音源を送って聴いていただいた上で、僕の声や音域に合った曲ということで曲を作ってくださって。馬飼野先生が、どういう曲なら僕の魅力をより引き出すことができるか、本当にすごく考えて作ってくださったんです。
ーーそれだけに、やはり歌いやすかったですか?
新浜:とても歌いやすかったです。スタジオでも実際に僕が歌ってみながら、途中でメロディを変えてくださって。「ここの三連は一個遅らせて、こうしよう」とか。馬飼野先生のようなお方は新人のために完成されたメロディを変えたりすることはないというイメージだったのですが、実際は真逆で、僕に合わせてくださって。でも、おかげですごく歌いやすかったです。それに新人の僕にも丁寧で、何ならみんなが乗るまでエレベーターの扉を押さえて待っていてくださっていたりして。そういう人柄も含めて本当に尊敬します。
ーー馬飼野さんと言うと、西城秀樹さんの他にもジャニーズのアイドル曲も多く作曲しています。馬飼野さんの楽曲には、どんな魅力を感じますか?
新浜:まずキャッチーなところですね。子どものころはアニメ『忍たま乱太郎』が大好きで、光GENJIさんやHey! Say! JUMPさんなどが歌った主題歌の「勇気100%」を、小学校の朝の会にみんなで歌ったこともあって。大好きだった「勇気100%」も、馬飼野先生の作曲だったと知って驚いたことがあります。他にも和田アキ子さんの「古い日記」、松崎しげるさんの「愛のメモリー」、西城秀樹さんだと編曲も含めて「情熱の嵐」や「ちぎれた愛」など、どれもインパクトがあって耳に残るキャッチーさがあって。さらに華やかさやダイナミックさがあるところも、馬飼野先生の楽曲の魅力だと思いますね。
ーー実際に歌って、何か新しい発見はありましたか?
新浜:今まで僕は、演歌の絞り出すような歌い方が気持ちいいと思っていたんですけど、馬飼野先生は、「抑えて歌っているところに優しさが溢れていて、そこがレオンくんの魅力だ」と言ってくださって。
ーー西城秀樹さんは絶唱と呼ばれる激しさが魅力で、それに新浜さんは憧れていたわけですが、それとは違う自分の魅力に気づかされたということですね。
新浜:はい。馬飼野先生の前で「ブルースカイ ブルー」を聴いてもらったときも、「秀樹は秀樹だから」と言われて。西城さんは憧れなので、どうしても歌い方をマネしている部分があったんですけど、それがやはり伝わってしまっていて。「マネしなくても自分の魅力があるんだから、自分の魅力を発信していけばいい」と言ってくださって、すごく自信が沸きました。西城さんの絶唱やセクシーさが魅力で憧れなので、いずれそういう曲にもチャレンジしてみたいですけど、今は僕だけの魅力をどんどん発信していこうと、改めて思いました。
ーー歌について、本番のレコーディングで馬飼野さんから何か具体的なアドバイスはもらいましたか?
新浜:僕自身もどんなアドバイスをいただけるのか楽しみにしていたのですが、細かい指摘はなくて。「もっと爽やかに」とか「もっとレオンくんらしく肩の力を抜いて」といった、すごく広く捉えられるものばかりでした。それこそ先ほど話したように、僕が少し歌いにくそうにしていたら、その場でメロディを変えてくださったくらいですから。
ーー作詞のセリザワケイコさんは、元アーバンギャルドのメンバーで、ジャニーズJr.の作詞などもされている方です。
新浜:セリザワ先生には、僕もまだ直接お会いしたことはなくて。実は、馬飼野先生の曲は決まっていたんですけど、歌詞は紆余曲折を経て最終的に今の歌詞に決まったんです。だから今の歌詞に決まるまで何パターンも歌いました。曲は同じでも詞が違うだけで、自分の感情も変わるし歌い方も変わるので、自分のなかでは面白い経験でした。
「離さない 離さない」やカバー曲は、もともとある曲の世界観を、何度も歌って徐々に自分のものにしていくという感覚でした。今回は自分で世界観を作り、それをみなさんに届けるという感覚だったので、同じ曲でいろいろな世界感を経験できたのは貴重でした。それによって、歌手としての引き出しも増えたと思います。