BTS、『MAP OF THE SOUL : 7』で辿り着いたグローバルポップスターとしての境地 キーワードは“多彩”と“進化”
また『MAP OF THE SOUL : 7』では先述の“多彩”、“進化”というキーワードが、彼らのシグネチャーサウンドのヒップホップ系楽曲にも反映されていることに注目したい。まず多彩という面では、一口にヒップホップといっても、Beastie Boys風のギターリフが鳴り響く90’sヒップホップスタイルの「Intro: Persona」、アンセミックなフェスティバルトラップの「ON」、『BTS WORLD OST』でコラボしたJuice WRLDらにも通じるエモトラップの「Black Swan」が収録されるなどその幅も広く、実にバラエティに富んでいる。
一方、進化という面で筆者が特に注目したのは、ラッパーメンバーのユニット曲「UGH!」だ。同曲はシカゴ発祥のアンダーグラウンドなヒップホップのサブジャンルである“ドリル”風の楽曲になっているのだが、K-POP界隈で、“ドリル”が取り入れられることは非常に珍しい。グループ結成前からすでに韓国のアンダーグラウンドヒップホップシーンで知られた存在で、ヒップホップIQも高いラッパーメンバーのRMやSUGAがかかわる曲であるのでこのアプローチにも納得がいくが、これはK-POPシーンにおいても先鋭的な試みである。サウンドの可能性を広げるという意味でこのスタイルを取り入れたのは、BTS、K-POPの進化の扉を開いたに違いない。
さらにバイリンガルリリックというベーシックな部分は保ちつつ、あくまでサウンドの可能性を拡張してみたこともBTSの進化を感じる部分であり、彼らが現在、ポップスの新らたな境地に辿り着いたことを示す証拠になるはずだ。
■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
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