DEAN FUJIOKA×SKY-HIが語り合う、音楽と言語の関係性 スペースシャワーTV対談収録現場に潜入

DEAN FUJIOKA×SKY-HI、対談収録に潜入

 12月11日に新EP『Shelly』のリリースを控えたDEAN FUJIOKAが、スペースシャワーTVプラスにて12月9日オンエアとなる『DEAN FUJIOKA「Shelly」Special―Music Talk Session―』の収録を行なった。

 対談ゲストはAAAの日高光啓としても活躍しているラッパーのSKY-HI。新曲「Shelly」で新たにトライしたことやこだわり、そしてミュージシャン同士ならではのリリックに関する想いなど、さまざまな音楽談義が行なわれた。今回、リアルサウンドではその収録現場に潜入。本記事では、その一部模様をレポートしたい。

DEANが歌に正面から向き合った「Shelly」

 まずは「お久しぶりです」と和やかな雰囲気で挨拶を交わす二人。落ち着いた大人の雰囲気を醸し出すDEANと笑顔が爽やかなSKY-HIは、過去にテレビやラジオでも共演経験があり、まるで仲の良い兄弟のようだ。早速EP『Shelly』の話を始めると、SKY-HIは表題曲の「Shelly」を大絶賛。「とにかく歌がいい」「DEANさんの声の表情や、艶っぽさが洗練されている」と興奮した様子で感想を伝えた。SKY-HIのその言葉を噛みしめるように胸に手を当てたDEANは、実は自分の歌に経験の足りなさを感じていたという意外な心境を告白。だからこそ、本作品では「歌にちゃんと向き合わなきゃだめだと思っていた」と語った。シンガーとしてのステップアップにチャレンジしたDEANの熱い想いが垣間見える場面であった。

DEAN FUJIOKA - “Shelly” Music Video

 二人の背後に設置されたスクリーンモニターに流れる「Shelly」のMVについてSKY-HIは、本作品の監督である東市篤憲ならではの色味が魅力だと語る。「チェスで遊ぶシーンで、背景の色味がちょっと変わるところがいい」と、ディテールにもこだわった本作品のクオリティの高さを評価した。また、中国のラッパー・GONGとのコラボ曲「Send It Away(feat.GONG)」は、ほぼ中国語のリリックで構成されているが、ラストのラップ部分に〈さようなら〉という日本語が使われている。DEANはこれを「お互いの文化交流」と表現し、中国のリスナーにも日本の言葉や文化に興味を持ってもらいたいという気持ちで制作したという。また、日本語ラップの部分を「あの切れ方はかっこいい」とSKY-HIに絶賛され、SKY-HIを“ラップの先生”と呼ぶDEANが、「あざっす!」と照れ笑いを見せる場面も見られた。

“マルチリンガル”ならではのDEANの苦悩

 「Shelly」のリリックは、日本語、英語、中国語とDEANが操る三言語が入り混じったものになっている。そこに何かこだわりがあるのかと問われたDEANは、「むしろコンプレックスみたいなところに起源がある」と語り始めた。中華圏やインドネシアなどを飛び回っていたミュージシャンとしての活動初期、複数の言語が入り混じったリリックを自然に作っていたというDEANは、自身のリリックを中途半端だと感じ、当時は前向きに考えられなかったと言う。さらにその葛藤はリリックだけに留まらず、社会生活においても「どこの国に行っても馴染めない」「ずっと外国人だった」と、過去の苦悩を吐露する場面も。しかしさまざまな経験を経て、「Shelly」の作詞の際は「メロディが呼んでいる言葉を探ると、ここは中国語、ここは英語、ここは日本語といったように、リズムやフローでこっちの言語の方がハマると自然な形で出てきたものだから、肯定的にとらえた方がいいと思った」と、心境の変化を語った。

クリエイター同士ならではの濃い“言語トーク”も

 さらに話題は広がり、“言語そのものが持つイメージ“という深い話題へと進んでいく。「日本語は母性の強いイメージ」「柔らかさがある」とDEANが感覚的なものを言語化すると、SKY-HIも「わかる!」と同調。「日本語は周りを塗りつぶして言いたいことを浮かび上がらせていくけど、英語は言いたいことをどういう色で塗るか、どういう太さで書くかという感じ」と、さらに細かなたとえを提示し、トークを盛り上げた。また、“音楽と言語の相性“という少しマニアックな話題に触れる場面も。DEANが「言語が持つDNAと特定の音楽の持つジャンルの相性って必ずあると思う」と提示すると、ラッパーであるSKY-HIは、「トラップは“タカタ タカタ タカタ”という粒が大事だから、日本語と四川の中国語との相性がいい」と語った。ここでは、ミュージシャンでありクリエイターである二人ならではの密度の濃いトークが聞けた。

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