DEAN FUJIOKA『シャーロック』OP曲の“心地よいスリル” サウンド面の聴きどころを解説
俳優と歌手、それぞれの立場で着実に地位を築きつつあるDEAN FUJIOKA。現在放送中の月9ドラマ『シャーロック』(フジテレビ系)では、謎めいた犯罪コンサルタント・誉獅子雄=シャーロック役で主演を務めており、何をしでかすか分からない豪胆さと鋭い推理力を合わせ持つ役柄を好演している。
そんな『シャーロック』のオープニング曲に起用されているのが、DEAN FUJIOKA自らが歌う「Searching For The Ghost」。劇中、DEANの“描く”アクションでもってドラマタイトルが映し出されたのち、〈君の名はmystery〉という印象的なフレーズを我々視聴者に浴びせてくるあの楽曲だ。エンディングを飾る主題歌「Shelly」と共に12月発売のEP『Shelly』に収録されることがすでにアナウンスされているが、それに先駆けて配信でのリリースが決定。全貌解禁を待ちわびていたファンにとってはこれ以上ない福音となった。
ちなみに筆者は先日、「Shelly」とR&Bの因果性を探る記事を執筆した際にも僅かながらこの「Searching For The Ghost」に言及したのだが、まず特筆すべきはやはり、怪しさ満点の歌詞だろう。「Searching For The Ghost」は、本稿執筆段階で主だった解説や情報が公開されていない。よって、まさしくドラマの内容よろしくミステリアスな状態にあるのだが、あえて推察をメインに話すとすると、それは劇中で起こる陰惨な事件と獅子雄の対峙そのものを表しているように感じる。次から次に舞い込んでは真実を隠してしまう謎に翻弄される宿命を背負った獅子雄。その破滅的な構図をまるで冷笑するように、はたまた執拗に追い込むかのように“張り詰めた独白”は加速していく。〈もう逃げ場はない〉〈祈りも呪いも意味ない〉といった絶望すら想起させるフレーズも楽曲の緊張感をいっそう高め、聴き手に心地よいスリルを運んでくれる。
また、こうしたトーンは、獅子雄自身が内面で密かに抱える罪への興味・関心をも華麗に示唆してみせる。事件の解決のみならずバイオリンやボクシングまで抜群なセンスでこなし、誰がどう見ても万能なキャラクターである獅子雄だが、天才であるがゆえの“危うさ”はすでに劇中でも顔を覗かせ始めている。今後の放送では彼のパーソナリティにも焦点が当たっていくはずなので、「Searching For The Ghost」の詞世界が放つ不穏な空気が生々しさを帯びて迫ってくるとしたら、おそらくその時だろう。