Reol、“天下無敵”なモードで見せた攻めの姿勢 『侵攻アップグレード』ツアーファイナルを見て

Reol『侵攻アップグレード』ファイナル公演を見て

 ライブ本編のラスト、彼女がステージに旗を揚げる姿を見て、ウジェーヌ・ドラクロワの絵画『民衆を導く自由の女神』を思い出した。10月19日、新木場STUDIO COASTで東名阪ツアーファイナルを迎えた『Reol Oneman Live 2019 侵攻アップグレード』。そのタイトルが示すように、今回のツアーはReolが発表した、2020年1月にリリースとなる2ndフルアルバム『金字塔』、そして同年2月からスタートする全国7都市を巡る『Reol Japan Tour 2020』へとトランジットするための“経由地”。“天下無敵”なモードにある彼女と、熱狂に包まれたフロアを見て、2020年、Reolの本格的な攻めが凄まじい勢いで広がっていくのだと確信した。

 2017年10月、3人組ユニット・REOLの“発展的解散”から、2018年にReolとしてソロ活動をスタート。ソロとして初のワンマンとなった東京、大阪でのライブ『刮目相待』、日本を飛び出し韓国、中国でも開催したツアー『MADE IN FACTION』、2019年はライブ『文明ココロミー』、そして今回の『侵攻アップグレード』を展開してきた。『刮目相待』から一貫して表現されているのは、シンガーソングライターであり、マルチ・クリエイターを肩書きにする、Reolの圧倒的な世界観。作詞、作曲、ステージ衣装、ライブ演出、グッズデザインを自ら手がける、Reol。カルト的で、先鋭的で、センセーショナルなクリエイティブの数々は、ライブにて膨大な情報量とともに届けられる。

 『侵攻アップグレード』のテーマは「宇宙」。ステージ前の紗幕が落とされ始まったトラップミュージックを基調とした「ウテナ」、3曲目にして会場に大量のシャボンを飛ばしスペーシーな空間を作ったダブステップの「シンカロン」と、『文明EP』から宇宙をイメージとした楽曲を披露していく。れをる名義での「ミッドナイトストロウラ」、REOLの「Lunatic」も、この宇宙のブロックを構築する重要なピースだ。Reolを語る上で欠かすことのできないのが、ギガ、お菊の存在。REOLとしてユニットをともにしていた2人は、今もギガがサウンドプロデュース、お菊は映像演出として、Reolの作品、ライブに携わっている。特にライブにおいて、お菊による映像はReolの世界観をダイレクトに伝える大きな要。アーティストの歌唱に合わせてスクリーンにリリックを映し出すライブ演出は、昨今、珍しくはなくなった。言わば、生半可なタイポグラフィでは陳腐に見えてしまう時代。そんな中、お菊は全22曲の内、15曲と途中の演出映像を手がけ、Reolの創造する世界観を視覚化している。エキゾチックで、ドラマティックで。同じユニットとして活動していたからこその信頼関係がそこからは見えてくる。

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