チャートを賑わす新しい才能Reol、メインストリームへと照準を合わせた1stアルバムに込めたもの

チャートを賑わす新しい才能Reol、メインストリームへと照準を合わせた1stアルバムに込めたもの

 ティーンや早耳音楽ファンの間で話題沸騰のシンガーソングライター、Reolをご存知だろうか? 先週10月17日にリリースされた1stフルアルバム『事実上』がiTunes Storeリアルタイムランキング初登場1位(週間チャート3位)、オリコン週間デジタルアルバムランキング2位を記録するなど「あの、赤いガールクラッシュなシンガーがエモい!」と、世代を超えて話題となっている。

“進化し続ける王道J-POPとは?”への回答

 ある人は彼女のサウンドを聴いて、“椎名林檎?”と聞き返し、ある人は“米津玄師や浜崎あゆみ”に例える。“ReolはReolでしょ”と断言する人も大勢いる。ロックでありJ-POPながらも米ビルボードTOP100を思わせる旬な洋楽センスを醸し出し、情報量の詰まったエモいラップ表現を多用する絶妙なる“いま”感。“進化し続ける王道J-POPとは?”という問いを回答へと導く逸材だ。

[MV]Reol – サイサキ / Saisaki Music Video

 前作ミニアルバム『虚構集』と対となる作品だというフルアルバム『事実上』。オープニング「幽居のワルツ」は、一人二役の対話方式でおとぎ話のような雰囲気を描く“認知症”を物語のテーマとしたナンバーから幕をあげる。注目は、先行配信された専門学校HALとのタイアップがきっかけで誕生したポップチューン「サイサキ」や、NHK Eテレで放送された人気アニメ『メジャーセカンド』エンディングテーマ「SAIREN」だ。さらに最新リード曲として90年代センスを感じる突き抜けたフックが最強なアッパーチューン「激白」や、オリジナリティーに富んだ多種多様なアルバム収録曲など、時代の鏡となる良質なポップソングが続く。

Reol 1st album”事実上” XFDMovie

 人によっては、その“映えるヴィジュアル”と“アンドロイドのような佇まい”から謎に包まれたアーティストのように思うかもしれない。しかし、Reolの肩書きはシンガーソングライター。自身のアーティスト活動全般をセルフプロデュースするマルチクリエイターであり、楽曲や映像、パッケージ、デザイン、グッズ製作など様々な作品に目を配りこだわりをみせる熱い心を持った表現者なのだ。

神様という存在にたどり着いた

 1993年生まれ、身長145cmと小柄な彼女は、2012年にネットシーンで突出した才能“れをる”名義で世に知られることとなった。いわゆる驚異的なボーカリゼーションで評価を得た“歌い手”としての出自を持つ。ニコニコ動画やYouTubeなど動画メディアにて、再生回数やコメントで対象であるユーザーに揉まれてきたネット世代を代表する表現者だ。ティーンが羨む実績を重ねる彼女だが、そのことが表現者としての葛藤を生んだことも事実だという。

「私は出自がネット系なので、いわゆるサブカルチャーな存在と思われていると思うんです。でも、そんなシーンで活動していくなかでズレというか、自分の理想と求められてることのズレを感じていて。ふと『私は、サブカルチャーではないんじゃないかな』って思ったんです。自分がやりたいことはサブカルではなかった。メインストリームを意識して間口を広げるためのアルバムを作りたかったんです」

 今回、アルバム『事実上』のアートワークは強烈だ。ある種、神のようなパワーを感じさせる。そもそも、ポップミュージックではアーティストとファンが宗教的な関係性に例えられることがある。しかし、昨今の“お客様重視のエンタメ民主化”の結果、その関係性はSNSというオープンな監視機能によって壊されようとしている。そんな時代に、Reolは楽曲やアートワークという武器でエンタメにおける“神”を表現することにどんな意味を見出しているのだろうか?

「みんなが信じられるものって必要ですよね? たとえ幻想であっても“これさえあれば”っていう支えって。アルバム作品を作るにあたって、というか『虚構集』のときからなんですけど、神様とかそういう存在にすごい興味があって。日本人だったら神道とか仏教の世界観なんだと思うんですけど。それってすごいふわっとしてるなと思って。たとえば『バチがあたるから、ご飯粒を残しちゃいけないよ』とか。でも、人ってみんな死に向かって生きている存在じゃないですか?だとしたら、生きている間に何ができるかってことを考えてしまって。生き物の持つ感情の生々しさとか、そんな要素を作品で体現したいと思ったんです。それを視覚化したらたどり着いたのが神様という存在でした。アートワークは、木村豊さん(※日本を代表するアート・ディレクター)にそんな想いを伝えていくなかで完成したもので。」

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