Reol、“天下無敵”なモードで見せた攻めの姿勢 『侵攻アップグレード』ツアーファイナルを見て

Reol『侵攻アップグレード』ファイナル公演を見て

 バックバンドを従えていた昨年のツアー『MADE IN FACTION』と比べ、今回の『侵攻アップグレード』では『文明ココロミー』に続きダンサーの藤井舞香、阿部真理亜の2名がステージに華を添えた。Reolも彼女たちとともに歌い踊るわけだが、歌唱力、リズム感が全く乱れないことに驚いた。ソロ活動スタート後、初めてリリースしたミニアルバム『虚構集』が表すように、Reolのルーツにはロックサウンドがある。そこから、リリースを重ねる毎に、ジャズやEDM、トラップといった幅広いサウンド楽曲が増えていった。妖艶な雰囲気の中で披露された「極彩色」「失楽園」「真空オールドローズ」が聞かせるブロックだとすれば、本編ラストの「たい」「劣等上等」「サイサキ」はフロアに熱狂の渦を生み出しシンガロングを巻き起こしたクライマックス。中でも『文明EP』収録の「たい」は、「煩悩遊戯」や「十中八九」といったトラップビート楽曲に続く、会場が縦に揺れるほどのアッパーなキラーチューンと化している。続く、マジカルミライ『鏡音リン・レン10th Anniversary』テーマソング「劣等上等」で、会場はダンスフロアに。本編ラスト、学校法人・専門学校HALのCMソング「サイサキ」では、大サビ前の〈泣いても変えられないとしても/それでも変えたいと願うから〉で会場にシンガロングを巻き起こした。

 この日、来年リリースとなる『金字塔』から、新曲「HYPE MODE」がいち早く披露された。「HYPE」は若者のスラング言葉で「ヤバい」を指し、「HYPE MODE」で「天下無敵」。Reolがこの曲に込めた思いは、「天下無敵じゃないといけない」というReolとしての宣言だ。

 「何もないところに新しい文明をつくる」をコンセプトに制作した『文明EP』から、“試験版”の『文明ココロミー』、『侵攻アップグレード』を経由し、“その先の物語”が描かれる『金字塔』へと向かうReol。ファンの前で弱さをさらけ出しながらも、気高く、凛とした姿で〈怖いことなどない/何一つないよ〉と旗を揚げる姿は『民衆を導く自由の女神』に見えた。

(ライブ写真=六波羅龍)

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

Reol オフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる