Reolが『文明EP』の世界観で表現したポップカルチャーの進化 渋谷ストリームホールレポート

Reolが表現したポップカルチャーの進

 今年3月に4曲入りの『文明EP』をリリースした、ネット発シンガーソングライターのReol。彼女の新章スタートを予感させる『Reol Secret Live 2019 文明ココロミー』7月13日渋谷ストリームホール公演を目撃した。“シークレット”の名の通りコアファンが集結した即完公演。レアなナンバーを楽しめるプレミアムなライブとなった。

 会場に到着し、耳をすませるとReolによる宇宙船への搭乗案内のようなアナウンスが流れ、宇宙船のエアポートさながらの雰囲気が作り出されている。フロア前方に広がる無数の星が浮かび上がる宇宙空間。タイトルでありライブのテーマである『文明ココロミー』の通り、Reolが『文明EP』によって急速な文明開化を遂げ、宇宙旅行が当たり前の時代へと進化したかのようなイントロダクションだ。各種映像を手がける盟友、お菊による「スマートフォンのご使用は航空法で禁止されています。当機はまもなく離陸します」というアナウンス後、定刻通りに本編がスタート。

 ステージを覆い尽くす紗幕(透過スクリーン)に映し出された文明にまつわるアイコンたち。スペースシャトル発進を思わせるアニメーション。アイコン化されたReolの映像が投影されながら紗幕が透過し、SFライクなハイテクファッションのReol本人が登場した。

 1曲目は、3人組REOL時代のアグレッシブな攻めのポップチューン「ギミアブレスタッナウ」。続けて「DetaramE KiddinG」をキュートな振りで披露。ステージにはReolひとり。前回のツアーとは異なり、ステージ空間をReolひとりが存分に支配していく。

 フックの強いサビのパワーワード〈煩悩あそばせLet's get it on〉が印象的な「煩悩遊戯」では、フロアのオーディエンスがこれでもかと決めポイントでシャウト。一体感に包み込まれる会場。みな、Reol楽曲を聴き込んでいる要素が瞬時にして伝わってきた。

 「シンカロン」では「Reolです。今日はよろしく! Let’s go to space!!!」のメッセージとともに一気に宇宙空間へタイムトリップした没入感高い映像美へ。透過スクリーンに溶け合うスペーシーな遺伝子構造&宇宙服アイコン。この世を司る、進化の果てのメッセージ。続けて最新作より「失楽園」を披露。『文明EP』収録曲を聴いて思うのが、人類の進化とは突然変異が起こすもの。Reolは文明の誕生から繁栄、そして衰退という人の未熟さを問いかけるかのように歌う。目の前で繰り広げられる、文字を本物の木で作られたというリリックビデオによるせつなき楽曲イメージが、映像演出として頭の中に複雑なノイズを醸し出す。そして、ノスタルジックなメロディが心を揺らす「ミラージュ」では、紗幕に映し出された雫が印象的であり、映像とReol本人がシンクロ=一体化する演出に、オーディエンスは圧倒されていく。

 途中、アグレッシブかつダンサブルなインストナンバー「-BWW SCREAM-」を挟み、TeddyLoidの楽曲にフィーチャリング参加した「Winners feat. Reol & Giga」では、フロア最後方のPA卓前にReolが瞬時にテレポーテーションしたかのような演出に驚かされた。思わぬサプライズにオーディエンスが沸きに沸いた。

 勝利宣言のようなナンバーを経て、Reolはメインステージへ再びワープ。ポップな歌メロが脳内に刻まれるGiga作曲による懐かしのナンバー「テトロドトキサイザ2号」で会場中が至福のミストに包まれていく。心に残るライブとは刹那的なものではなく、永遠を感じられるような空気感を体験できるもの。まさにReolは自由自在にリスナーの想いや感動をコントロールしていく。

 「楽しい土曜日ですね! こんばんは!」と始められた長めのMCで、もともと本公演はファンクラブイベントのつもりで会場を抑えていたことを述べた。そして、日替わり選曲ということで東京公演では「ここはどこですか?」と問いかけ、オーディエンスからの返答を受けて「ニュータイプトーキョー」が繰り広げられていく。さらに、Reol流のサマーソング「サマーホラーパーティ」など、これでもかとアッパーに盛りあげ、今日はスペシャルに電波少女の楽曲に客演した「21世紀難民」を披露し楽しませてくれた。音楽とはすべてのカルチャーに溶け合える存在であり、カナリアのようにいち早く世の憂いを受け止める存在だ。僕らにとっての神、カリスマReolによる予言めいたメッセージが心に染み渡っていく。

 「今日は、どこまでReolの曲を聴いているのか? 試すようなセットリストだよね」と、オーディエンスへおどけるReol。そして、最新曲「ゆーれいずみー」を初披露。同曲は、幽霊は自分という“幽霊 is me”と“You raise me”のダブルミーニングを持つ夏向けダンサブルなポップチューンだ。

 続けざまに各種ストリーミングサービスでも人気な「十中八九」、「平面鏡」を歌い、本編ラストを迎えた。

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