中村航が語る、Poppin’Partyの歌詞に刻まれた“成長の足跡”「十年、二十年と走り切ってほしい」

中村航、歌詞に刻んだ“ポピパ”の成長

みんなで作り上げる“ポピパらしさ”と『バンドリ!』の未来

ーーアニメの第1シーズンが終わって以降、ディスク2に収録された楽曲はどうですか?

中村:それ以降は、リアルライブでの規模もより大きくなって、日本武道館に向けた楽曲の歌詞を作ることになったり、ゲーム用の楽曲の歌詞を作ることになったり。新しいプロジェクトが立ち上がると、どうしても最初は混乱しますよね(笑)。『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』の立ち上げ当初は、ふたたび「どうする?」と模索していた部分もあったと思います。OVAの楽曲になった「八月のif」にも、『BanG Dream!』の第2章がはじまったのを感じた部分もあったかもしれないです。ちなみにこの曲は、めちゃめちゃ好きです。

ーーこの頃になると、Poppin’Partyにも歴史が生まれていったことによって、初期では表現できなかった要素が歌詞で表現できるようになった部分もあったんじゃないでしょうか。

中村:そうかもしれないですね。「Time Lapse」も初期の頃なら今のような歌詞にはなっていないと思います。この曲はタイトルからして、それまでのポピパの世界観には持ち込んでなかったものです。“日本武道館で初披露する曲”というオーダーを受けて、最初はライブで曲と共に流す映像をイメージして、歌詞を膨らませていきました。タイムラプスの映像が流れるなか、ポピパが武道館で歌う。「CiRCLING」だと、メンバー同士の絆だけではなくて、(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』に登場するライブハウスの)「CiRCLE」のことや、リアルライブでのファンの方々のことにもテーマが広がっています。自分の中では、「CiRCLING」と「二重の虹(ダブル レインボウ)」、そして(『BanG Dream! 2nd Season』のオープニング曲)「キズナミュージック♪」は3部作のように連動しているイメージなんですよ。どれも新たな代表曲になるイメージで作っていて、“仲間”の存在を歌っている曲ですね。

ーーなるほど、確かにそうですね。「キズナミュージック♪」はリアルライブで演奏を聴かせていただいても、Poppin’Partyの絆が感じられる、とてもいい曲だと思いました。

中村:両国のライブで披露された「キズナミュージック♪」、すごくよかったですね! あのとき、「ど真ん中の曲がようやくできたんじゃないか」と感じました。Poppin’Partyの楽曲には、今は色んな種類のものが増えていますが、その真ん中にあるものを表現できた曲になったと思いました。これは「キズナミュージック」に限らずですが、Poppin’Partyの楽曲は、どの曲もリアルライブで演奏することをかなり意識して歌詞を書いています。キャストのみなさんがライブで歌っている姿や、アニメのライブシーンを思い浮かべながら歌詞を書いていて。でも、実際にライブを観ると、自分が考えていたイメージを上書きしてくれるというか、自分の想像の上をいってくれるようなことがあるんです。「Time Lapse」や「STAR BEAT!」や「キズナミュージック♪」は、特にその印象が強かったです。

【試聴動画】Poppin'Party 12th Single「キズナミュージック♪」(12/12発売!!)

ーー『BanG Dream!』にはリアルライブという現場があることで、そこでお客さんとともに作りだすストーリーも生まれているような印象があります。たとえば、「CiRCLING」はライブで観させていただいて、まさにそういう楽曲のように感じました。

中村:いや、ほんとそうですよ。なので、こちらは当然、毎回気は抜けないですし、がっかりさせられないな、と思います。『BanG Dream!』シリーズは開始当初から全力で飛ばしていて、「もうこのまま行くしかない」、「全力で走り続けるしかない」と思ってます。自分で言うとあれですけど、全曲、タイトルからして、一切の出し惜しみなし、です。ポピパの歌詞は基本的に香澄が作っていることを、本当にちゃんと意識しているんですが、あの人、天才ですね。普通じゃない(笑)。そしてどんどん「ポピパらしい」という概念ができてきたようにも思います。基本的に同じメンバー、同じキャストで作品を作り続けてきたことで、僕だけでなく色々な方も含めて、このシリーズの中心になるような魅力が明確になってきたんだと思います。僕の場合は10代から20代終盤にかけてバンドをやってきて、けれどもどこにもいけなかった経験の中で蓄積されたものが、まだまだたくさんあるんです。ですから、マンネリを感じることはないですし、出来ることはまだまだありますよ。

ーーなるほど、それは今後もますます楽しみです。

中村:もともと小説を書きはじめたときも、それまで作詞作曲しかやってこなかった人間が、どうやって小説を書くのか、ということを一生懸命やってきた、という感覚なんですよ。だから、“『BanG Dream!』シリーズで小説家が詞を書いている”というよりも、“作詞家が小説を書いている”というほうが近いんじゃないかと思うこともあります(笑)。『BanG Dream!』シリーズにかかわれていることは、自分にとっても、マイルストーンのようなものですね。

ーーこれからどんな歌詞を歌ってもらいたい、書いてみたいということはありますか?

中村:ひとつあるのは、“世の中の歌にはラブソングが多い”ですよね。でも、Poppin’Partyの楽曲では、まだそのカードを直接的には切っていないんです。もちろん、ラブソングには恋愛だけではなく、親子の愛や、世界への大きな愛も含めて、色々な種類のものがあると思うので、これからそういうことを歌っていく可能性だってあるかもしれませんよね。

【試聴動画】Poppin'Party 13th Single「Jumpin'」(2/20発売!!)

ーー最新曲では、2月20日にリリースされる「Jumpin'」と「What's the POPIPA!?」が一部公開されています。この2曲の作詞についてはどんなことを意識されましたか?

中村:まず、「What's the POPIPA!?」は楽しい曲ですね。戦隊ヒーローもののようなイメージで、戦いに向かっていくポピパの詞を、楽しみながら考えていきました。そのうえで、ポピパの紹介にもなっているので、アニメ『BanG Dream! 2nd Season』で初めて知った人にも興味を持ってもらえればと。

 一方で「Jumpin'」は、かなりシンプルでストレートな曲で。『BanG Dream! 2nd Season』のエンディングテーマとして作らせていただきつつ、ライブでの風景を想像して、みんなでジャンプできるような歌詞を考えていきました。あとは……、「リンダリンダ」(THE BLUE HEARTS)とか、忌野清志郎さんの「JUMP」もちょっと意識してみたりと、結構遊びの要素も入ってます。この後、まだみなさんが聴いていないアニメ2期の曲や『ガルパ!』のイベント曲でも、色々な曲が出来ているので楽しみにしていてください。僕としては物語に合わせて歌詞が書けるというのはとても贅沢なことだな、と改めて思っているところです。

【試聴動画】Poppin'Party 13th Single カップリング曲「What's the POPIPA!?」(2/20発売!!)

ーーでは最後に、中村さんから見て、Poppin’Partyのみなさんのこれまでの歩みについては、どんな風に感じられているのかを教えていただけると嬉しいです。

中村:苦労もあったでしょうし、本当に頭が下がる思いですね。あとは純粋に「すごいな」と思います。そしていろいろひっくるめるとやっぱり、楽しい、嬉しい、音楽大好き、で、走り続けくれてありがとう、という気持ちです。このまま十年、二十年、と走り切ってほしいな、と思うんです。今までもずっとそう思ってたんですけど、最近、走りきって、それからまた十年後くらいに再結成してほしい、ってことまで考えるようになりました(笑)。実は三日位前に、昔大好きだったバンドの、元メンバーと会ったんですよ。めちゃめちゃ興奮しちゃって……。そのバンドはもうずーっと昔に解散したんですけど、その人たち元メンバー同士で、今はときどき会って飲んでるらしいんですよね。世間的にはあり得ないと思われているけど、こりゃ何かあったら再結成あるかもな、と思って……。だからポピパで言えば、例えば、僕が死んだら再結成するとか(笑)。いや、それじゃあ僕が見られないから……、木谷(高明)さんが亡くなったら、とか。

ーーちょっと、何をおっしゃいますか!(笑)。

中村:もちろん冗談ですけど(笑)、Poppin’Partyは、それぐらいの存在になってほしいですよね。僕は見守ってるだけですが、バンドは僕が想像していなかったところまで楽曲を連れていってくれています。こちらも負けないように、今後も頑張りたいです。

(取材・文=杉山仁)

■リリース情報
Poppin'Party
1stアルバム『Poppin'on!』
発売中
Blu-ray付生産限定盤:¥9,000+税
通常盤:¥5,000+税

13thシングル『Jumpin'』
2019年02月20日 (水)
Blu-ray付生産限定盤:¥6,300+税
通常盤:¥1,300+税

『BanG Dream!』公式サイト
『BanG Dream!』公式Twitter
『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』公式Twitter
Elements Garden公式サイト
Elements Garden公式Twitter

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