>  > 中村航、歌詞に刻んだ“ポピパ”の成長

中村航が語る、Poppin’Partyの歌詞に刻まれた“成長の足跡”「十年、二十年と走り切ってほしい」

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 アニメ/ゲーム作品の声優陣が実際にバンドを組んで行なわれるリアルライブなどで話題を呼んできたメディアミックス作品『BanG Dream!』シリーズの顔役として、初期からシリーズを引っ張ってきた5人組ガールズバンド、Poppin’Party。彼女たちの1stアルバム『Poppin’on!』が遂に完成した。

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 2枚組の大ボリュームとなる同作には、彼女たちの始まりである1stシングル『Yes! BanG_Dream!』から、2018年10月にリリースされた11thシングル『ガールズコード』までの代表曲を収録。同時に人気曲のアコースティックVer.も新たに収録され、アニメ『BanG Dream! 2nd Season』の放送が始まった現在までのPoppin’Partyの歩みが、改めて伝わるようなものになっている。

 そこで今回は、『BanG Dream!』のシリーズ原案となった同名小説の作者であり、Poppin’Partyの楽曲のほぼすべての歌詞を手掛けてきた小説家・中村航氏に、言葉の面から『BanG Dream!』やPoppin’Partyの魅力を振り返ってもらった。(杉山仁)【『BanG Dream!(バンドリ!)』特集はこちら

実体験から生まれたPoppin’Partyの物語

『BanG Dream! 2nd Season』場面写真

ーーシリーズがはじまる際、中村さんはどんなことを考えてストーリー原案となった小説を執筆していったのでしょうか?

中村航(以下、中村):“ガールズバンドもので、リアルライブと連動して曲を作っていく”というところから、本当に自由にやらせてもらったと思います。最初はやっぱり“バンドもの”という意味での先行作品が数ある中で、“これまでになかったものにしたい”という思いは強かったです。それで、そういうオリジナリティとか、またリアリティを追求するときっていうのは、案外、自分の体験が手がかりになるんです。今年の1月10日に原案となった小説の文庫版が出て、そのあとがきにも書いたんですが、実は自分のバンド経験から、着想をはじめた部分はありました。

 たとえば、『BanG Dream!』の最初のエピソード、“女子高生になったばかりの主人公がギターと出会って、仲間と出会っていく”という流れ。実際、自分の体験にかなり近いんですよ。高校に入学した当日に、たまたま「バンドをやりたい」という人に会って、翌日から一人ずつ声かけながら、何カ月かかけてバンドができていった。すごく田舎のほうに住んでいる人とか、全く楽器触ったことない人とか、ライトハンドができるという噂の人(笑)とか、おれはバイクを買うからバンドはできない、って言っている人とか。メンバーのギタリストが質屋でギターを買ったり(作品内で主人公・戸山香澄が質屋でランダムスターを見つけるように)、蔵みたいなところでバンド練をしたり、といったことも実際にあったことで……、普段書いている小説も同じなんですけど、自分の経験を別の状況にスライドさせて、そこから物語を広げていくことってよくあるんです。ただ普段の小説とは違って、『BanG Dream!』はメディアミックスプロジェクトですから、各所と連携しながらみんなで進めていく作業でしたね。

ーーとはいえ、ガールズバンドを描く物語となると、中村さんが経験されたバンド活動とは、少し勝手が違ってくる部分もあったんじゃないでしょうか?

中村:そりゃそうですよ(笑)。でも、だからこそ経験をスライドさせたときに、面白さが出ると思ったんです。そもそも僕がバンドをやっていた頃は、バンドというと“不良がやるもの”という感覚もまだあって、「ギター弾きに貸す部屋はねえ!」とか(笑)。そもそもそういう前提が違うなかでのスライドだから、オリジナリティの芽になり得る、っていう感じでしょうか。だって現代でバンドものやるととなったとき、普通、ランダムスターは使わないですよ。そういう面白さですよね。この作品は、カウンターカルチャーをことさら押し出していなくて、“努力すること”や“仲間との絆/友情”を描く、という普遍的なテーマが強いです。だけど、それだけじゃないよ、ってしたかった。

ーー『BanG Dream!』はキャストのみなさんが実際にバンドを組んでリアルライブで演奏するプロジェクトでもあるわけなので、そうした“リアルなバンド感”が加わったことで、初期のシリーズの魅力が形になっていったのかもしれませんね。

中村:そうだといいな、と思います。軽音楽部に入ってすぐにメンバーが集まるというものとも、何かの問題を解決するためにバンドを組むというものとも違う視点から話をはじめて、リアルさを大事に、味付けのようにファンタジーも取り入れて、という感じでしょうか。

ーーバンド以外の要素が物語を動かしていくというよりも、“バンドを組む”ということ自体が物語を動かしていく構成になっていると言いますか。

中村:序盤の展開はまさにそうで、リアルライブでのキャストさんの稼働とも合わせて、最初からそういう想定で、始まりました。僕としては“求心力”と“遠心力”の両方を意識していて、“求心力”というのは、バンド作品として嘘がないように、例えばバンド経験者が見てもリアリティが感じられるようにしたいということ。一方で、“遠心力”というのは、誰が見ても楽しめるように、一般性を加えていくということで。つまり、アニメカルチャーの文脈にも当てはめつつ、同時に普段アニメを観ないような人が観ても成立するような、物語や歌詞を書こうと思っていたんです。それはもちろん今も大切にしていることです。

ーーそのために、歌詞で使う言葉も選んでいくということですね。

中村:深夜アニメ帯だけではなくて、ゴールデンタイムとか、ロックフェスに出てもイケるようにしよう、ということはずっと考えています。そもそも、その“求心力”と“遠心力”のバランスを取ることが、一般文芸の小説家として僕に求められているのかな、とも最初思ったんですよ。一般文芸だろうがライトノベルだろうが同じ小説なんですけど、ジャンル特有の文脈や、好まれる展開のようなものってありますよね。その両者のバランスを取るということを、求められているのかな、と。

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