BABYMETAL、相次ぐ海外バンドとの共演 メタル界の“閉塞感”を打ち破る特異性を解説

異質なパフォーマンスが海外バンドの心を惹き付けた

 じつは、先述の共演歴はごく一部である。海外バンドのインスタグラムなどを見ると、フェスで共演した際に舞台裏で撮影した彼女たちとの写真も多く見受けられる。一体なぜ、彼女たちはこれほどまでに愛されるのか。その背景を探るにあたり、ハードロック/ヘヴィメタルを取り扱う音楽専門誌『BURRN!』(2018年3月号)に掲載された、ロブ・ハルフォードのコメントを取り上げてみたい。

 ロブは同誌で、2016年の『AP Music Awards』での共演を振り返りながら「彼らは革命的なバンドだと本当に思うし、彼らが次に何をやるのか、早く知りたくてうずうずしている」と証言。さらに、その存在について「今では誰もが、ロック・ミュージックに夢中になっている全員が、日本出身のBABYMETALを知ってるよ!」と称賛していた。

 彼女たちのパフォーマンスは、ヘヴィメタル界に流れていたある種の“閉塞感”を打ち破ったと評価される機会も少なくない。諸説あるが、1960年代にイギリスで発祥したとされるヘヴィメタルはかつて、攻撃性のある歌詞に重厚なサウンド、ハイトーンなボーカルを取り入れたジャンルの一つであると捉える向きが強かった。

 しかし、BABYMETALが分水嶺となりえたのは、パフォーマンス自体がある種“異質”だったことにほかならないのではないか。日本語のままで歌詞を口ずさみ、ヘヴィメタルならではの重厚な音圧に耐えられるSU-METALの歌唱力と、グループの両翼として位置するYUIMETALやMOAMETALと共に織り成すダンス。また、一部からは「バンドなのに曲を弾いていない」という批判もみられたが、実力ある神バンドのパフォーマンスを重なり合わせることで、音楽性という面でも盤石の体制を築いた。

 こうした実績を地道に積み重ねてきた彼女たちの活躍が、海外バンドの支持を獲得してきた背景にある。さらに、先述の「革命的なバンド」と評価したロブの声や、2017年に行われた『SUMMER SONIC 2017』で対面したFoo Fightersのデイヴ・グロールがテレビ番組で「あんなバンドは世界中どこを探しても他にいない」と言及したことなどをみると、彼女たちへ対する期待も大きい。

 時折、日本では“Kawaii”の代表格としても取り上げられるBABYMETAL。しかし、目を奪われがちなビジュアルだけではなく、真髄にあるのは、日本語の通じない場所で海外バンドや観衆を惹きつけてきたパフォーマンスそのものである。だからこそ、この先も言語や国境を超えた活躍を続けていって欲しい。

■カネコシュウヘイ
編集者/ライター/デザイナー。アイドルをはじめ、エンタメ分野での取材や原稿執筆を中心に活動。ライブなどの現場が好きで、月に約数万円はアイドルへ主に費やしている。単著に『BABYMETAL 追っかけ日記』。執筆媒体はWeb『ダ・ヴィンチニュース』『クランクイン!』『ウレぴあ総研』、雑誌『日経エンタテインメント!』など。

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