KinKi Kids、GLAY、UVERworld……新作で自らのイメージをどう超えていく?

 ブレイクを果たし、一度ピークを迎えたアーティストには、“自らのイメージを超えなくてはいけない”という勝負が待っている。ひとつのスタイルを維持しながら活動を続けるケースもあるだろうが、たとえばMr.Childrenやスピッツがそうであるようにパブリックイメージを引き受けつつも常に新しい表現にトライすることが、息の長いアーティストになる秘訣なのだ。そこで今回は“アーティストのイメージの更新を促す新作”を紹介したいと思う。

 CDデビュー20周年を迎えるKinKi Kidsのニューシングル『The Red Light』表題曲は“作詞:久保田利伸、森大輔/作曲:久保田利伸/編曲:森大輔”によるブラックミュージック濃度高めのミディアムチューン。最新鋭のR&Bトラックとギターサウンドが絡み合うサウンドのなかで久保田節としか言いようがないメロディがうねりを上げているのだが、この難易度高めの楽曲をKinKi Kidsのふたりは、きわめてナチュラルに歌いこなしている。ジャストのタイミングでビートを捉え、正確にピッチを刻む堂本光一、ややレイドバック気味のボーカルで楽曲の表情を与える堂本剛、そして、ふたつの声が重なったときの心地よさ。ふたりのシンガーとしての個性の違い、男性デュオとしての機能性の高さが際立っていることも、この曲の魅力だろう。

GLAY『SUMMERDELICS』

 JR北海道・北海道新幹線開業イメージソング「Supernova Express 2016」、TVアニメ『ダイヤのA-SECOND SEASON-』(テレビ東京系)オープニングテーマ「HEROES」など14曲中11曲にタイアップが付いたGLAYのニューアルバム『SUMMERDELICS』。4人のメンバーの楽曲が均等に収録されたシングル『G4』シリーズの拡大版とも言える作品だが、もっとも強いインパクトを放っているのはHISASHIの楽曲。なかでもオープニングを飾る「シン・ゾンビ」(アーケードゲーム「太鼓の達人」タイアップソング)はアニメ、ゲームとの親和性が高いHISASHIの個性が爆発した、まさにGLAYのイメージを刷新するパワーを持ったナンバーだ。この楽曲をアルバムの1曲目に推したのはリーダーのTAKURO。“HISASHIのセンスを活かすことでGLAYの新しい魅力を生み出すはず”というジャッジは大正解だと思う。

「SUMMERDELICS」SPOT Album ver.
UVERworld『DECIDED』

 「映画『銀魂』の主題歌はUVERworld」と発表されると同時にすさまじい注目を集めてきたニューシングル『DECIDED』表題曲は爆発的なスピード感と圧倒的なヘビィネスをたたえたバンドサウンドのなかで“自分のやりたいことを貫け”というメッセ—ジを放つロックチューン。特に<自分に何ができるか?じゃなく/自分に何が合うか?じゃなく/本当に心が一番選びたいものを選んで行け!>という歌詞には、老若男女を問わず、すべてのリスナーに“あなたの生き方どうですか”と問い質しているようなパワーが宿っている。メンバー全員の決意を描いたMVも印象的。常に有言実行であり続けてきたTAKUYA∞(Vo)を筆頭に、6人の言行一致ぶりが、この曲の説得力につながっているのは間違いない。8月2日にリリースされる3年ぶりのオリジナルアルバム『TYCOON』への期待も高まる。

UVERworld 『DECIDED』Short Ver.

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