「Salyu Live 2015 IN TAIWAN」レポート
Salyu、初の台湾公演で大喝采浴びるーーリリイ・シュシュ曲も披露し、10年の活動を総括する内容に
6月19日に全国ツアーのファイナルを終えたばかりのSalyuが、初の台湾公演「Salyu Live 2015 IN TAIWAN」を開催した。東京NHKホールでのツアーファイナルでは、最新アルバム『Android & Human Being』を収録曲順に完全再現するライブを展開したが、本公演はより生々しく、ストレートにボーカリストSalyuの原点を感じさせるものだった。
いまやおなじみとなった「SCAT」「共鳴」で幕を開けたライブ。ブレスひとつ聴き逃すまいと観客が耳を澄ませる、緊張感のある立ち上がりだったが、その直後、「Salyuです。ニーハオ!」とのMCに、会場は大きな拍手と歓声に包まれる。プロデュースワークのみならず、ピアニストとしてもSalyuの歌を支え、台湾でもリスペクトされている小林武史が紹介されると、さらに大きな拍手が送られた。
観客の多くは、Salyuと小林の出会いの作品となった、映画『リリイ・シュシュのすべて』をよく知っているようだ。同作の制作に参加していた小林が、オーディションで出会ったSalyuを物語のカギを握るシンガーソングライター「リリイ・シュシュ」として起用。そこからSalyuのアーティストとしての活動が始まった。同作は台湾にも熱心なファンを抱えており、それだけにSalyuと小林によるステージは待望されていたのだろう。Salyuが「私はリリイ・シュシュという歌手の役でデビューしました。ここからは『リリイ・シュシュのすべて』の楽曲を何曲か披露したいと思います」と語ると、大きな歓声が上がった。
そこでまず披露されたのは「エロティック」。原曲はサイケな雰囲気も感じるバンドサウンドとSalyuの儚げなボーカルが特徴だが、本公演ではSalyuの歌と小林武史のピアノだけのいわゆる“ミニマ編成”で、観客を楽曲の世界観に引き込んでいく。「飽和」「飛べない鳥」と続き、映画のラストシーンでも流れた「回復する傷」では、Salyuの突き抜けるようなボーカリゼーションと小林のドラマチックなピアノが際立ち、圧倒されたように耳を傾ける観客の姿があった。