小野島大の「この洋楽を聴け!」第11回:SUMMER SONIC 2014
今年のサマソニで注目すべきアクトは? 小野島大が35組の洋楽アーティストを解説
MIDNIGHT SONIC
ANTEMASQUE
ANTEMASQUE
ソニック・ステージ初日の深夜興行。元マーズ・ヴォルタのセドリックとオマー・ロドリゲス・ロペスが結成した新バンドです。なんとこれがワールド・プレミアとなる初お披露目ライヴです。
8月17日
MARINE STAGE
Queen + Adam Lambert
アダム・ランバートをヴォーカリストに迎えたクイーンがクイーンと言えるのか、という根本的な疑問はさておき、華やかで賑々しい娯楽性たっぷりのショウが楽しめることは間違いないでしょう。アダムさん、ポール・ロジャーズよりは向いてると思うんですけどね…
Avril Lavigne
いきなり日本のギャル文化に大接近したこの曲(とそのPV)が文字通りの賛否両論を呼んで「炎上」したアヴリル嬢。デビューから早10年。といっても彼女に月並みなアダルト・シンガーになられても困るわけで、サマソニではまだまだやんちゃに暴れまくる彼女が見られそうです。
Richie Sambora with Orianthi
ボン・ジョヴィのギタリストがソロで登場。この動画はオリアンティと共演したボン・ジョヴィの代表曲のセルフ・カバーです。
MOUNTAIN STAGE
Ellie Goulding
Ellie Goulding
UK出身のエレクトロニカ歌姫。近作ではEDMに大接近していますが、実はクラシカル&トラッドな持ち味の実力者で、サンディ・デニーやケイト・ブッシュやエンヤが今の時代の若者ならこんなことをやっていたかも、と馬鹿なことを考えるのも一興です。これが初来日。ライヴはたぶん相当に凄いと思います。
Robert Glasper Experiment
『ブラック・レディオ』でグラミー賞を獲得、ついに現代ジャズの頂点に立った鬼才、ロバート・グラスパーがR&Bに挑んだプロジェクト。ヒップホップ要素の導入も趣味が良く、抑制の効いたオトナのムードたっぷりの上質なジャジーR&Bは、今の時代にふさわしいと言えるでしょう。サマソニに登場するのはやや意外ではありますが(どちらかといえばフジロック向けという印象)、クソ暑い夏をクールダウンしてくれる演奏を期待しましょう。
AZEALIA BANKS
このデビュー曲が実に新鮮だったアジーリア嬢。トラックのカッティング・エッジな冴えといい、ラップ・スキルといい、パフォーマーとしてのキャラクターといい、超一級の素材であることは確かなのに、トラブル続きでリリースも思うに任せない状況が続きました。ですがこのサマソニ出演と前後してついにファースト・アルバム『Yung Rapunxel』がリリースされる予定。ライヴともども期待大です。
SONIC STAGE
Pixies
Pixies
23年ぶりの新作をリリース、ついに完全復活を遂げたピクシーズ。新作は昔と変わらぬ若々しく尖った彼らと、23年の歳月分成熟した表現者となった彼らが同居する佳作でした。もちろんライヴに定評のある人たちですから、絶対に外さないステージになるはずです。
The Horrors
大傑作の4作目『Luminous』で、完全に一皮むけた感のあるホラーズ。2年前のサマソニは深夜の「Midnight Sonic」での出演でしたが、今回は堂々トリ前の登場です。
Ben Watt with Bernard Butler
31年ぶりのソロアルバム『Hendra』が絶賛されたエヴリシング・バット・ザ・ガールのベン・ワットが、アルバムでもパートナーをつとめた元スウェードのバーナード・バトラーとともにサマソニに登場。フェスの騒然とした雰囲気を変えてしまうような静謐で味わい深い世界を期待しましょう。
Metronomy
ミッシェル・ゴンドリーが監督したこのPVがとにかく抜群に面白かったメトロノミー。アルバム全体としてもこの曲が傑出している印象でしたが、このノスタルジーと近未来が同居しているようなレトロ・フューチャーな世界観は彼らならでは。これまでの彼らの作品ではもっともライヴ向けのサウンドという印象で、期待しましょう。きゃりーぱみゅぱみゅとの並びはけっこう面白いかもしれません。
Circa Waves
キビキビとした若々しい演奏が楽しいリバプールの4人組。リバティーンズのデビュー時を思わせる疾走感とポップ・センスが魅力です。
The Orwells
アメリカはイリノイのガレージ・ロック5人組。いまどき珍しいぐらいストレートで衒いのないロックンロールはなかなかに爽快。アークティック・モンキーズに気に入られ彼らの全米ツアーのサポートに抜擢されています。
以上、駆け足ですがサマソニの洋楽アーティストを紹介しました。やはり若いアーティストに特徴のあるラインナップですね。ここで紹介しきれなかった中にも、面白い人たちはいます。公式HPをチェックしてみてください。
ではまた次回。
■小野島大
音楽評論家。 時々DJ。『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』などに執筆。著編書に『ロックがわかる超名盤100』(音楽之友社)、『NEWSWAVEと、その時代』(エイベックス)、『フィッシュマンズ全書』(小学館)『音楽配信はどこに向かう?』(インプレス)など。facebook/Twitter