荻野洋一の『ジャッキー』評:女性の一代記にせず、“倒錯の儀式”を描いた潔さ
ケネディ大統領暗殺事件(1963年)当時の状況、そしてジャクリーン夫人の動向をたどりつつ、にわかには納得しがたいような、とてつも…
荻野洋一の『エリザのために』評:クリスティアン・ムンジウの映画とは“負ける映画”である
生活が苦しい。仕事が苦しい。社会との駆け引きが、家族との絆が、妻(夫)との不仲が苦しい。人生は本当に厄介で、難しく、こんなはずで…
年末企画:荻野洋一の「2016年 年間ベスト映画TOP10」
リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2016年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマの三…
『ローグ・ワン』が描く、無名者たちの墓碑銘ーー原題に込められた意味を読む
『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』は、同シリーズ初の外伝だが、意外なほどにカノン(正伝)寄りの物語を持っている。「エ…
荻野洋一の『ヒッチコック/トリュフォー』評:作家主義への誇りを再確認させるドキュメンタリー
「映画は芸術ではなく、娯楽である」というのは、よく言われる主張だ。芸術愛好のいやみを否定し、映画が庶民のものであるという高らかな…
荻野洋一の『母の残像』評:“2016年路地裏の映画史”ラストを飾る、〈母の死〉から始まる物語
2016年の映画界は、〈母の死〉でいったん終わり、〈母の死〉から何かがまた始まそうとしている。 『シン・ゴジラ』や『君の名は。…
黒沢清はイメージの狂気の中を彷徨っている 荻野洋一の『ダゲレオタイプの女』評
黒沢清がフランス映画デビューした。この事実に驚く人間は、この世界中で誰ひとりとしていまい。もはや国際的名匠の仲間入りをしている黒…
『世界一キライなあなたに』がリアリティを持ち得た理由 荻野洋一が劇構造から読み解く
女性作家ジョジョ・モイーズのベストセラー小説「ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日」(邦訳 集英社文庫)を、彼女がみずから脚本…
『イット・フォローズ』監督、幻の青春映画『アメリカン・スリープオーバー』の放つ無償の輝き
「アメリカのお泊まりの神話」(The Myth of the American Sleepover)という、あまりにも美しい原題…
荻野洋一の『ゴーストバスターズ』評:ポール・フェイグ監督がリブート版で捧げたオマージュの数々
こんどのゴーストバスターズは中年女性たちによって結成される。この性別の転換こそ、新『ゴーストバスターズ』の中心テーマだ。しかも彼…
荻野洋一の『ロスト・バケーション』評:86分ワンシチュエーションに宿るアメリカ映画の粋
女とサメの一騎打ち。この一見して安直にも思える、なんとも大胆不敵なワンシチュエーションドラマを、よくも作ったものだ。主演はTVシ…
荻野洋一の『トランボ』評:まれに見る戦いの物語であり、映画そのものへの愛の物語
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』は、映画業界の内幕ものである。主人公はシナリオライター。そもそも座ってタイプライターを打…
荻野洋一の『シビル・ウォー』評:スーパーヒーローたちの華麗なる饗宴の影にあるもの
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は、アメコミヒーローの内輪揉めを描いている。たくさんのアメコミヒーローがたがいに対立し、…
荻野洋一の『ルーム』評:“感動させる”演出に見る、映画としての倫理の緩み
今年の米アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞でブリー・ラーソンに主演女優賞をもたらした『ルーム』は、すばらしい演技合戦だけで2時…