荻野洋一の『ワンダーウーマン』評

ガル・ガドットという“スター誕生”の瞬間 『ワンダーウーマン』が映し出す現代映像のありよう

『ワンダーウーマン』が世界的にブームとなり、女性スーパーヒーロー映画では歴史的な成功作となった。主人公ダイアナ/ワンダーウーマン…

荻野洋一の『スパイダーマン』評

“ユニバース系”が『スパイダーマン:ホームカミング』にもたらした光と影 

今年の初夏以降のアメコミ系映画の勢いが怖ろしいことになっている。6月に『X-MEN』の渋いスピンオフ『LOGAN/ローガン』が日…

荻野洋一の『ザ・マミー』評

“ユニバース”全盛時代となったハリウッド映画の行き先は? 荻野洋一の『ザ・マミー』評

よせばいいのに高校生のキャンプはたいてい、一組のカップルだけで乳繰り合うために夜の森へ消えていく。よせばいいのにコソ泥グループは…

荻野洋一の『甘き人生』評

荻野洋一の『甘き人生』評:巨匠マルコ・ベロッキオが描く“苦い”夢

イタリアの異才マルコ・ベロッキオの最新作『甘き人生』の原題は “Fai bei sogni(ファイ・ベイ・ソッニ)” で、イタリ…

荻野洋一の『LOGAN/ローガン』評

荻野洋一の『LOGAN/ローガン』評:スーパーヒーローが死滅した近未来のディストピア

ミュージカル映画のヒット作『レ・ミゼラブル』(2012)における主人公ジャン・バルジャン役の熱演を見た時、ヒュー・ジャックマンの…

荻野洋一の『夜空はいつでも〜』評

荻野洋一の『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』評 絶望の浄化の先にあるもの

“きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、誰も愛さないあいだ、きみはきっと世界を嫌いでいい。そしてだからこそ、この星に、恋愛な…

荻野洋一の『イップマン』評

荻野洋一の『イップ・マン 継承』評 ドニー・イェンの稽古場面には批評無効作用がある

『イップ・マン 継承』は甄子丹(ドニー・イェン)による、甄子丹のための映画である。つまり、この現代香港映画界最高のスターの動き、…

荻野洋一の『ジャッキー』評

荻野洋一の『ジャッキー』評:女性の一代記にせず、“倒錯の儀式”を描いた潔さ

ケネディ大統領暗殺事件(1963年)当時の状況、そしてジャクリーン夫人の動向をたどりつつ、にわかには納得しがたいような、とてつも…

荻野洋一の『バンコクナイツ』評

荻野洋一の『バンコクナイツ』評:空族が描いた“桃源郷”は、未知の体験へ観客を誘う

『バンコクナイツ』には、味わったことのないような香辛料が混入していて、私たち観客を未知の体験へと連れて行ってしまう。私はこの映画…

荻野洋一の『エリザのために』評

荻野洋一の『エリザのために』評:クリスティアン・ムンジウの映画とは“負ける映画”である

生活が苦しい。仕事が苦しい。社会との駆け引きが、家族との絆が、妻(夫)との不仲が苦しい。人生は本当に厄介で、難しく、こんなはずで…

荻野洋一の『ローグ・ワン』評

『ローグ・ワン』が描く、無名者たちの墓碑銘ーー原題に込められた意味を読む

『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』は、同シリーズ初の外伝だが、意外なほどにカノン(正伝)寄りの物語を持っている。「エ…

荻野洋一の『ヒッチコック/トリュフォー』評

荻野洋一の『ヒッチコック/トリュフォー』評:作家主義への誇りを再確認させるドキュメンタリー

「映画は芸術ではなく、娯楽である」というのは、よく言われる主張だ。芸術愛好のいやみを否定し、映画が庶民のものであるという高らかな…

荻野洋一の『母の残像』評

荻野洋一の『母の残像』評:“2016年路地裏の映画史”ラストを飾る、〈母の死〉から始まる物語

2016年の映画界は、〈母の死〉でいったん終わり、〈母の死〉から何かがまた始まそうとしている。  『シン・ゴジラ』や『君の名は。…

荻野洋一の『続・深夜食堂』評

荻野洋一の『続・深夜食堂』評:あまりにもさりげなく提示される食、生、そして死

まずは東京・中央区の築地という土地を歩いてみよう。江東区の豊洲新市場における「盛り土」問題、汚染物質検出によって、あいまいなうち…

荻野洋一の『ダゲレオタイプの女』評

黒沢清はイメージの狂気の中を彷徨っている 荻野洋一の『ダゲレオタイプの女』評

黒沢清がフランス映画デビューした。この事実に驚く人間は、この世界中で誰ひとりとしていまい。もはや国際的名匠の仲間入りをしている黒…

荻野洋一の『世界一キライなあなたに』評

『世界一キライなあなたに』がリアリティを持ち得た理由 荻野洋一が劇構造から読み解く

女性作家ジョジョ・モイーズのベストセラー小説「ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日」(邦訳 集英社文庫)を、彼女がみずから脚本…

荻野洋一の『怒り』評

荻野洋一の『怒り』評:森山未來、綾野剛、松山ケンイチらの熱演が作品にもたらしたもの

『悪人』(2010)の原作者・吉田修一、監督・李相日、撮影・笠松則通、プロデュース川村元気らが再び結集した新作『怒り』を見て、な…

荻野洋一の『ゴーストバスターズ』評

荻野洋一の『ゴーストバスターズ』評:ポール・フェイグ監督がリブート版で捧げたオマージュの数々

こんどのゴーストバスターズは中年女性たちによって結成される。この性別の転換こそ、新『ゴーストバスターズ』の中心テーマだ。しかも彼…

荻野洋一の『トランボ』評

荻野洋一の『トランボ』評:まれに見る戦いの物語であり、映画そのものへの愛の物語

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』は、映画業界の内幕ものである。主人公はシナリオライター。そもそも座ってタイプライターを打…

『シビル・ウォー』に隠されたにがい認識

荻野洋一の『シビル・ウォー』評:スーパーヒーローたちの華麗なる饗宴の影にあるもの

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は、アメコミヒーローの内輪揉めを描いている。たくさんのアメコミヒーローがたがいに対立し、…