荻野洋一の『イップマン』評

荻野洋一の『イップ・マン 継承』評 ドニー・イェンの稽古場面には批評無効作用がある

『イップ・マン 継承』は甄子丹(ドニー・イェン)による、甄子丹のための映画である。つまり、この現代香港映画界最高のスターの動き、…

荻野洋一の『ジャッキー』評

荻野洋一の『ジャッキー』評:女性の一代記にせず、“倒錯の儀式”を描いた潔さ

ケネディ大統領暗殺事件(1963年)当時の状況、そしてジャクリーン夫人の動向をたどりつつ、にわかには納得しがたいような、とてつも…

荻野洋一の『バンコクナイツ』評

荻野洋一の『バンコクナイツ』評:空族が描いた“桃源郷”は、未知の体験へ観客を誘う

『バンコクナイツ』には、味わったことのないような香辛料が混入していて、私たち観客を未知の体験へと連れて行ってしまう。私はこの映画…

荻野洋一の『エリザのために』評

荻野洋一の『エリザのために』評:クリスティアン・ムンジウの映画とは“負ける映画”である

生活が苦しい。仕事が苦しい。社会との駆け引きが、家族との絆が、妻(夫)との不仲が苦しい。人生は本当に厄介で、難しく、こんなはずで…

荻野洋一の『ローグ・ワン』評

『ローグ・ワン』が描く、無名者たちの墓碑銘ーー原題に込められた意味を読む

『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』は、同シリーズ初の外伝だが、意外なほどにカノン(正伝)寄りの物語を持っている。「エ…

荻野洋一の『ヒッチコック/トリュフォー』評

荻野洋一の『ヒッチコック/トリュフォー』評:作家主義への誇りを再確認させるドキュメンタリー

「映画は芸術ではなく、娯楽である」というのは、よく言われる主張だ。芸術愛好のいやみを否定し、映画が庶民のものであるという高らかな…

荻野洋一の『母の残像』評

荻野洋一の『母の残像』評:“2016年路地裏の映画史”ラストを飾る、〈母の死〉から始まる物語

2016年の映画界は、〈母の死〉でいったん終わり、〈母の死〉から何かがまた始まそうとしている。  『シン・ゴジラ』や『君の名は。…

荻野洋一の『続・深夜食堂』評

荻野洋一の『続・深夜食堂』評:あまりにもさりげなく提示される食、生、そして死

まずは東京・中央区の築地という土地を歩いてみよう。江東区の豊洲新市場における「盛り土」問題、汚染物質検出によって、あいまいなうち…

荻野洋一の『ダゲレオタイプの女』評

黒沢清はイメージの狂気の中を彷徨っている 荻野洋一の『ダゲレオタイプの女』評

黒沢清がフランス映画デビューした。この事実に驚く人間は、この世界中で誰ひとりとしていまい。もはや国際的名匠の仲間入りをしている黒…

荻野洋一の『世界一キライなあなたに』評

『世界一キライなあなたに』がリアリティを持ち得た理由 荻野洋一が劇構造から読み解く

女性作家ジョジョ・モイーズのベストセラー小説「ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日」(邦訳 集英社文庫)を、彼女がみずから脚本…

荻野洋一の『怒り』評

荻野洋一の『怒り』評:森山未來、綾野剛、松山ケンイチらの熱演が作品にもたらしたもの

『悪人』(2010)の原作者・吉田修一、監督・李相日、撮影・笠松則通、プロデュース川村元気らが再び結集した新作『怒り』を見て、な…

荻野洋一の『ゴーストバスターズ』評

荻野洋一の『ゴーストバスターズ』評:ポール・フェイグ監督がリブート版で捧げたオマージュの数々

こんどのゴーストバスターズは中年女性たちによって結成される。この性別の転換こそ、新『ゴーストバスターズ』の中心テーマだ。しかも彼…

荻野洋一の『トランボ』評

荻野洋一の『トランボ』評:まれに見る戦いの物語であり、映画そのものへの愛の物語

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』は、映画業界の内幕ものである。主人公はシナリオライター。そもそも座ってタイプライターを打…

『シビル・ウォー』に隠されたにがい認識

荻野洋一の『シビル・ウォー』評:スーパーヒーローたちの華麗なる饗宴の影にあるもの

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は、アメコミヒーローの内輪揉めを描いている。たくさんのアメコミヒーローがたがいに対立し、…