2025年の年間ベスト企画
長内那由多の「2025年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 不作の年を生き残ったテレビシリーズ

5.『アドレセンス』(Netflix)

Netflix2025年最大の話題作は“ワンエピソード・ワンショット”という曲芸的メソッドに目を奪われがちだが、演劇とテレビドラマを融合した手法はイスとテーブルを挟む第3話でこそ生きる。撮影当時14歳だったオーウェン・クーパーの演技は今後、語り草になるだろう。
4.『ザ・スタジオ』(Apple TV)

大衆性と芸術性の両立を目指す映画スタジオ重役の七転八倒にハリウッドは腹を抱え、セス・ローゲンに13ものエミー賞を与えた。2025年最もクリエイティブだったワーナー・ブラザースがNetflixに買収された今、同じように笑っていられるのだろうか?
3.『MO/モー』シーズン2(Netflix)
金なし、職なし、ビザなし。パレスチナ難民モー・アマーのアメリカンライフをオフビートに描いたコメディ。モーの実人生を元にしたこのシリーズは、2023年10月7日をきっかけに切実さを増し、笑いはより鋭利になった。ハリウッドがどれほど偽善を働いても、彼の真に迫ったFlowにはかなわないだろう。
2.『キャシアン・アンドー』シーズン2(ディズニープラス)

ジェダイもダース・ベイダーも登場させることなく、『スター・ウォーズ』フランチャイズにフォースのバランスが取り戻された。名もなき人々の闘争を描く最終シーズンは対立よりも合意形成にこそクライマックスが見出されている。「May the Force be with you」? いや、合言葉は「I Have Friends Everywhere」だ。
1.『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』(U-NEXT)
ピークTVの余波は手垢の付いた医療ドラマというジャンルを進化させた。医療崩壊したERを舞台に15時間をリアルタイムで描く本作は、アドレナリンが噴き出すようなスピード感。メロドラマなし、劇伴なし、俳優陣の誰もが引き算に徹したリアリズムで今年最高レベルのアンサンブルが実現している。機能不全に陥ったシステム下にあってもなおベストを尽くす医療従事者たちの姿に、人間の善性を見るはずだ。























