『サラ・キムという女』の凄まじい緊迫感 シン・ヘソン×イ・ジュニョクの演技にくぎ付け

『サラ・キムという女』緊迫感にくぎ付け

 Netflixで配信中の韓国ドラマ『サラ・キムという女』が、配信スタート以来注目を集めている。

 高級ブランド『プドゥア』のアジア支社長サラ・キム(シン・ヘソン)が、下水溝で死体となって発見された。しかし、その変死体が本当にサラ・キム本人なのか、疑問を持つ刑事パク・ムギョン(イ・ジュニョク)が真相を解明するために奔走する。

 『生まれ変わってもよろしく』『サムダルリへようこそ』などのヒット作に出演し活躍する演技派のシン・ヘソンと『わたしの完璧な秘書』で魅力的な大人の男性を演じたイ・ジュニョクの共演。緊迫感あふれる2人の演技にくぎ付けになる本作の魅力について述べたい。(以下、ネタバレを一部含みます)

サラ・キムは一体何者? 嘘で塗り固められた謎の女性

 「お金持ちになりたい!」とさまざまな方法を模索する人は多いだろう。本作の主人公サラ・キムもその一人だった。そのために他人になりすまし、超富裕層を利用しながら、高級ブランドを立ち上げ、のし上がろうとする。お金持ちになること、そしてブランド品に激しく執着するサラ・キムとは、どんな人物なのか?

 この物語は、死体となって発見されたサラ・キムが一体何者なのかを刑事のパク・ムギョンが追っていく展開となる。過去にサラ・キムと関わったさまざまな人物が彼女について語り、その証言からムギョンはサラ・キムの正体を暴こうとする。

 サラ・キムについて語るのは、サラに利用された化粧品会社の社長、臓器提供のために偽装結婚をしたサラの夫、サラの元部下、サラの恋人の元ホストらだ。彼らが語るサラ・キム像はどれも真実なのだろうが、知れば知るほど彼女に対する謎が深まっていく。視聴している私たちは、「サラ・キムという女性は本当に存在するのだろうか?」という極めて初歩的な疑問にたどり着く。

 もともと高級デパートサムウォルの店員だった彼女は、当時モク・ガヒと名乗っていたが、不幸なトラブルに巻き込まれ多額の借金を背負う。ここから彼女はどん底に突き落とされ、偽りを積み重ねていくことになる。彼女がトラブルに巻き込まれたのは運が悪かったとしか言いようがない。そのせいなのか、まるで自分を転落させた社会全体に復讐するかのように、彼女は他人を欺き利用するのだが、執拗なまでにブランドに執着する彼女を見ていると、切ない気持ちになる。

 結局、サラ・キムは何者なのか? 本当に存在しているのか? 嘘で塗り固められた彼女の正体を知るために、本作をノンストップで観る人は少なくないだろう。

演技派シン・ヘソンの真骨頂 「もう一人のサラ」との対峙

 主人公のサラ・キムを演じるのは、演技派として知られるシン・ヘソンだ。高級デパート勤務時代のモク・ガヒ、別人になりすまして偽装結婚するキム・ウンジェ、そして高級ブランド『プドゥア』を立ち上げ上流社会に登場するサラ・キム。名前や境遇が変わるだけで、人間はこんなに変わるものなのだ……という説得力のある演技を見せた。

 素朴だけれどブランド品に強い憧れを抱くモク・ガヒ、一発逆転を狙って偽装結婚をするしたたかなキム・ウンジェ、上流社会に君臨する品のあるサラ・キム。置かれている立場が違う女性をシン・ヘソンが丁寧な役作りで表現する。

 中でも筆者がドキドキして見守ったのが、物語の終盤に『プドゥア』の立ち上げで関わったキム・ミジョンとの絡みだ。ミジョンを演じているのは『恋の通訳、できますか?』で、キム・ソンホが心を寄せた女性を演じるなど、昨今ドラマで存在感をみせているイ・イダム。偽物を本物のように作り上げるバッグ職人としての腕を買われ、サラ・キムと組むことになる。

 当初はサラ・キムに憧れを抱き、言われるがまま従っていたミジョンだが、あることをきっかけにブランド物を身に付けて着飾れば、自分もサラのようになれることに気付く。そしていつしかミジョンはサラ・キムになりすますようになる。

 どちらのサラ・キムも偽物なのに、まるで本物のように振る舞い、挙句の果てにはキム・サラになりきるため、相手を消そうとする。サラとミジョンの中に眠る虚栄心と異常なまでのブランド品への執着が、2人の間に悲劇を生んでしまうのだ。

 シン・ヘソンとイ・イダムの対峙は、この物語の中で最も見応えのあるシーンといえるだろう。多くの人を裏切ってきたサラ・キムが、ブランドを一緒に立ち上げたミジョンの裏切りにあってしまう皮肉な結果は、因果応報ということなのだろうか。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる