『真夏のシンデレラ』には恋愛群像劇の魅力が盛りだくさん 恋リア要素が視聴者層を拡大?
令和の夏に、まぶしい恋を描く『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)が放送を開始した。久しぶりに王道の月9が復活するということでSNSでも注目を集めた本作。第1話では注目のキャスト陣に続々と恋の予感が訪れ、初回から“恋愛群像劇”ならではの魅力が作品を盛り上げた。
『真夏のシンデレラ』は、大手建築会社勤務の健人(間宮祥太朗)が、ひょんなことからサップのインストラクターである夏海(森七菜)と出会い、それぞれの友人を含めて交流をはじめる様子を描く。健人の友人には医師の修(萩原利久)と司法浪人生の守(白濱亜嵐)が、夏海の友人には美容師アシスタントの愛梨(吉川愛)、クリーニング店員の理沙(仁村紗和)がおり、パーティーを通して仲を深める。また、この恋には夏海の幼なじみの匠(神尾楓珠)や海で溺れていた理沙を助けた宗佑(水上恒司)、匠が想いをよせる佳奈(桜井ユキ)の存在も絡み、その恋の動向からは目が離せない。
印象的だったのは、本作が昨今の恋愛リアリティショーを想起させるキラキラ感に溢れていたことだ。例えば男性キャラクターの中には東大卒の大手建築会社勤務や医師もおり、まるで恋リア参加者のプロフィールのよう。他にも男女が複数人で恋をすることや、豪華な家でのパーティー、南国リゾートのような美しい海、サンダルがイベント的にプレゼントされていることなどにも、恋リアの要素を感じる。
正直なところ、現実の世界では豪華な家で偶然出会った男女がパーティーをして、その後たまたま再会して水族館デートを楽しみプレゼントをもらうなどという機会はない。令和の世に、これらを叶えるステージがあるとすれば、それは恋リアなのだ。ABEMAの人気番組『今日、好きになりました』シリーズや『オオカミ』シリーズでは、数人ずつの男女がイベントやデートを繰り返しながら恋に落ちる様子が放送されている。これまでは恋愛ドラマだけのファンタジーと思われた数々の設定も、ネット配信に恋リアが乱立する時代だからこそ受け入れやすいと感じる視聴者もいるだろう。『真夏のシンデレラ』は、日頃リアリティショーに慣れ親しんだ世代を取り込める可能性を秘めているのだ。普段なかなかドラマを観ないという層に、どこまで届いていくのかは興味深いところだ。