『ちむどんどん』の“船長”黒島結菜の未来を願う 最終回は勇気を届ける大団円に

『ちむどんどん』最終回は勇気を届ける大団円

 半年間に渡って放送してきた朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)が最終回を迎えた。

 最終回の前日から、『あさイチ』(NHK総合)の朝ドラ受け、そして当日の『おはよう日本』(NHK総合)の朝ドラ送りと、これほどまでにハッピーエンドを心配される朝ドラが近年あっただろうか。子供の頃から原因不明の病気を患っていた歌子(上白石萌歌)の体調がここにきて悪化。3日経っても熱が下がらず、医師の診断では「本人の気力と体力次第」という、あとは天に祈るのみの状態で物語は最終回へと突入していったからだ。

ちむどんどん

 だがそこは「大丈夫」の気持ちを胸に、どんな窮地も乗り越えてきた『ちむどんどん』。暢子(黒島結菜)、良子(川口春奈)、賢秀(竜星涼)が幼い頃のように海の向こうのニライカナイにいる父・賢三(大森南朋)に呼びかけることで、歌子は奇跡的に目を覚ますのだった。現実離れした展開のようにも思えるが、故人がヒロインに囁きかけたり目の前に姿を現すことは朝ドラにおいて、そこまで珍しくはない。もちろん演出の仕方で見え方はだいぶ変わってくるが、近作では『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)でも、『おちょやん』(NHK総合)でも、そういったシーンはあった。朝ドラとは視聴者の朝に笑顔と元気、そして勇気を届けるものーーそこに少々大味の『ちむどんどん』のスパイスを混ぜれば、難しいことは抜きにして歌子は息を吹き返すのだ。

 これまで筆者は『ちむどんどん』の記事を書く立場において、矢作(井之脇海)の「銃刀法違反」をはじめ、様々な見方でこの朝ドラに向き合ってきた(もちろん監修の立場が重要であることは変わらない)。ようやく最終週でもっと気楽にこの『ちむどんどん』を観ていてもよかったのではないかと気付かされた。どこまでも賑やかなドタバタ劇。令和の202X年、暢子たちは推定70代(「黒島ラヂオ week25」より)になっても孫の未来(稲垣来泉)たちと歌い踊り続ける。変わらずそこにあるのはやんばるのおいしい料理を囲んだ、家族の時間。未来が世界一のパティシエを目指すように、その記憶は将来の人生に勇気を与えてくれるはずだ。

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