『アンサング・シンデレラ』が描く薬剤師の成長 石原さとみ、田中圭、桜井ユキが追求するもの
新人薬剤師の相原くるみ(西野七瀬)の成長ぶりが目覚ましい。一方で、みどり(石原さとみ)は病院の外にも目を向けて患者に寄り添い、小野塚(成田凌)らと協力しながら地域ぐるみで患者をサポートしようとしていた。『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)の第6話では、“正しさを追求する”薬剤師の仕事と“安心”の届け方にフォーカスする。
みどりらが地域のお年寄りを集めて服薬指導をした日に、居合わせた早苗(高林由紀子)が倒れてしまう。萬津総合病院に運ばれた早苗は、なかなかみどりに心を開かず、必要な情報を伝えようとしなかった。早苗には抗生剤が効かず、クロストリジウム腸炎の疑いがあったために、みどりは小野塚に地域の薬局から、早苗に薬を出しているところがないかを聞いてもらうことに。すると早苗が無いと言い張っていた通院履歴と薬歴が見つかった。さらに容態が急変したことで、みどりは早苗に薬を出していた長崎医院に直接話を聞きに行く。
お年寄りにとって、病気を治すことや体調を整えて生活することと同じくらい大切なのが、心の充足感を得ながら一日一日を過ごすことだ。一人暮らしともなれば、地域社会から孤立してしまうことも多く、人知れず抱える孤独感から早苗のように薬を “心のお守り”のようにしてしまう人も少なくない。
第6話ではこうした社会的な問題に絡めて、刈谷(桜井ユキ)の過去も明らかになる。刈谷が副店長にまでなった調剤薬局を退職した理由は、正しくない処方を繰り返すことで患者を危険に晒してしまった経験からだったのだ。
早苗の病状や長崎医院の医師との向き合い方に悩んでいたみどりであったが、刈谷の「患者を喜ばせるために薬を与えても、患者は救われない」の言葉で、改めて薬剤師として早苗にどう接するべきかの決心がつく。みどりにとって、薬剤師が薬にまつわる“正しさ”と“安心”をセットで届けることは改めて重要だと感じることのできる経験だっただろう。