ポスターデザインから舞台のロケ地まで 中国とジブリ作品の歴史を紐解く
日本で映画館が約2カ月間の休館期間を経て6月から再開されたという話を聞き、中国にいる自分としては大変羨ましくなり、こっちは今年初めから今も映画館が再開してないんだと「コロナマウント」を取りたくなった。中国はこの辺りがまだ神経質で、これまで何度か映画館の条件付きの再開が発表されたが、正式な再開にはまだ至っていない。先日、感染予防対策を行うという前提の下で、感染低リスクエリアの映画館の営業を7月20日から再開するという発表があった。現時点で新作の上映は報じられておらず、主に国内の有名作品を再上映するらしい。
日本では、6月下旬から『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』の4作のジブリ作品が再上映されている。映画館で新作を上映する本格的な再開の前に、国民的映画で客足を回復させるという方法は正しいと思うし、中国の映画館再開の際のヒントになれば幸いだ。
ジブリ映画は中国でももちろん人気のはずだが、スタジオジブリの公式ホームページによると、スタジオジブリの作品が中国大陸で正式に上映されたのは、2018年12月に上映された『となりのトトロ』が初めてだという。そして上述の4作品のうち、『千と千尋の神隠し』がその2作目として2019年6月に上映された。面白いのは、『天空の城ラピュタ』や『風の谷のナウシカ』を1990年代に上海などの映画館で観た、というコメントがネットにあることだ。
調べてみると、80~90年代にトトロ、ナウシカ、ラピュタが中国で上映されたのは事実のようで、1992年には日中国交正常化20周年を記念して『となりのトトロ』が上映されている。このことがスタジオジブリに忘れられているのか、それとも異例扱いされているのかは不明だ。また上映がなくとも、中国ではDVDや配信などさまざまな形でジブリ作品は観られ続けてきた。だから日本人と同様に子どもの頃からジブリ映画に接してきた中国人にとって、2018年の『となりのトトロ』が中国大陸での初正式上映というニュースは意外に思っただろう。