『警視庁・捜査一課長2020』プロデューサーが明かす、ユニークなドラマを成立させる秘訣

『警視庁・捜査一課長』Pが語るドラマの秘訣

「メインのほうでない役にも、命を与えたい」

――女性刑事は「大福」「もなか」「チョコ」「おはぎ」「ようかん」など、甘味シリーズで、役名の遊びも多いですよね。

関:斉藤由貴さんのあだ名「大福」は、当時の警察監修の方に「隠語ないですか」と聞いたら、犯人逮捕のゲン担ぎで大福を食べることから大福は縁起がいいと言われそれをヒントにしました。また、安達祐実さんの役には、最初は普通の名前をつけたんですが、「大福がいるから、次は最中かな」と、あだ名でなく本名を「萌奈佳(もなか)」に。そこから迷走してきて、宮崎美子さんの「智代子」を「チョコ」と言い出すなど、どんどん止まらなくなってしまったんです(笑)。

――最近では、「餃子」の回で殺されたのが「堤太蔵(つつみたいぞう)」で、妻は「堤益代(つつみますよ)」で、三倉佳奈さん演じる“餃子の匂いを漂わせる謎の女”は「韮崎(にらさき)」だったり、第6話の殺人キャンプの話には「森野重人」が出てきたり。ダジャレも多いです(笑)。

関:初期はここまでじゃなかったと思うんですが、これも『土曜ワイド劇場』がエンターテインメント性の高い番組だったことがありますね。ただ、1話あたり10人くらい出てくる中で、名前まで呼ぶキャラは多くないので、テロップが最後に出たときに気づいていただくことが多いようです。メインのほうでない役にも、命を与えたいという思いはあって、それがダジャレになるのかもしれないですね。

――視聴者の中には「コント」のように楽しんでいらっしゃる方もいます。

関:いろいろな楽しみ方をしていただけるのはありがたいですが、スタッフ・キャストはいつでもみんな真剣に作っています。私自身、この作品のもととなった『土曜ワイド劇場』を手掛けていたんですが、『土曜ワイド劇場』は40年くらいの歴史があるので、最初は番組を作られた諸先輩方が何を喋っているのか、全然わからなかったんです。でも、出来上がった作品を観ると、深刻な内容の中にも強いインパクトを与えるような、とっかかりが必ずあって。「これはすごく勉強になるな」と感じたことから、夜8時の枠でもとっかかりになるものは大切にしています。

――関さんと内藤さんは、『科捜研の女』のタッグでもありますね。ただ、科捜研ではマリコという強烈なキャラクターが人気であるのに対し、一課長の大岩さんはごく普通の人ですよね。強烈なのは、周りの人たちのほうで。しかも、毎回、一課長の決めゼリフ「必ずホシをあげる!」の後に、全員が足を使ってしらみつぶしに広範囲を探して犯人を導き出す、地道で泥臭い展開があります。

関:視聴率がおかげさまで上がっているのも、そうした総力戦を評価していただいているところはあるかと思います。『捜査一課長』は刑事モノですが、作り手としては、ある種、学園モノの気持ちなんです。変わり者がいっぱいいるクラスの担任が、内藤さん演じる大岩で。大岩はスーパーマンではなく、普通の交番勤務のヒラから始まって、人望であそこまで来た人。表のコンセプトは「理想の上司」で、裏のコンセプトは「変わり者が揃ったクラスの先生」なんです。何が理想かというと、変わったヤツもみんな「お前のその変わったところが良い」と一人ひとりを評価し、認めてくれるところ。上の人って、めっちゃ否定してくることが多いじゃないですか。でも、こんな風に認めてくれ、受け入れてくれる上司がいたら、もっと頑張れるんじゃないかと。そして、全員で一緒に頑張って、全員で勝つんです。

――ほかの刑事ドラマとの一番の違いはやはりスーパーマンがいないこと、総力戦であることでしょうか?

関:そうですね。だからこそ、ネット上には「ノーヒントでこの犯人かい!?」という声もあるんですが、実は全部ヒントは出しているんですよ。2時間ドラマから始まったので、2時間分の要素を1時間でやっているんですが、たくさんの要素をわかりやすく進行していくためにとっているのが、バラバラに散った部下たちが、仕入れた情報を一課長室に持っていくという方法です。皆さんには一課長の目線にいていただければ、一緒に犯人捜しを解いて楽しめるものとなっているんですよ。



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