木村拓哉の“宝物”が増えた『グランメゾン東京』 “本物”であり続ける覚悟を明かす

木村拓哉の“宝物”が増えた『グランメゾン』

 「またあのチームに会える……!」。情報が発表されたとき、そう思った視聴者は多かったのではないだろうか。そう、続編が熱望されていた2019年放送のTBS系日曜劇場『グランメゾン東京』がスペシャルドラマ、そして劇場版として5年ぶりに帰ってくるのだ。

 スペシャルドラマで描かれるのは、劇場版の前日譚であり、『グランメゾン東京』の最終回から数年後の世界。現実では、2020年1月からコロナ禍が本格的にはじまり、外出自粛によって飲食業界も窮地に陥った。スペシャルドラマ『グランメゾン東京』では、現実世界と同じように「グランメゾン東京」がコロナ禍を経験してどう変化していったのかが描かれる。

 主人公・尾花夏樹を演じるのは、もちろん木村拓哉。多くの視聴者の心に刻まれるキャラクターを演じてきた木村は、尾花というキャラクター、そして『グランメゾン東京』とどう向き合っていたのか。放送を前に話を聞いた。

キャラクター全員がしっかり5年間生きていた

ーー待望の続編となりました。そして、台本を読んだとき、ここまでコロナ禍が反映されていることに驚きがありました。

木村拓哉(以下、木村):続編のお話をいただいたときはやっぱり嬉しかったです。パンデミックさえなければ、もっと早いタイミングで、このチームと再会できていたのではないかとも思いました。それも踏まえて、2024年に続編を皆様のもとへ届けることができるのであれば、コロナ禍の期間をなかったことにはできないだろうと。コロナ禍でも踏ん張ることができた飲食店もあれば、別の選択を取らざるを得なかったお店もあります。そういった苦渋の決断をされた方たちの存在をなかったことにして、本作を描くのは嫌だなと。プロデューサーの伊與田(英徳)さんともお話して、スペシャルドラマの脚本もコロナ禍を反映していただく形になりました。

ーーコロナ禍は絶対に無視はできないものだったと。

木村:そうですね。もちろん、本作はフィクションなので、これがまったく別のジャンルの作品ーー例えば警察学校が舞台で生徒が成長していくとかーーであれば、まったくコロナ禍がなかった世界でもいいと思うんです。でも、飲食を題材にしている以上は絶対に避けて通るものではないなと。料理人はお客様のため、料理を考えて提供して、食べていただく。これって究極のコミュニケーションだと思うんです。そんなコミュニケーションがある期間、完全に封じられてしまった。僕たち役者も作品を作りたくても作れない時間があった。その時間を反映することは本作を描く上ではとても大事なことだと思いました。

ーー約5年ぶりの尾花夏樹はいかがでしたか?

木村:尾花は相変わらずの人で。脚本を読んだとき、“そっち行くんだ”という思いはありましたけど、“そっちに行く”からこその尾花だなと。一方、倫子(鈴木京香)さんは倫子さんで、コロナ禍に直面してお店を守るために変化はしているんだけど、根っこにあるのは同じで。尾花だけではなく、キャラクター全員が、しっかり5年間生きていたんだなというのは感じました。現場に立ったときも、5年前のイメージを取り戻そうという意識はまったくなく、キャストのみんなが衣装を着て、あの現場に立った瞬間に、フッと尾花に戻った感覚がありました。

ーーキャスト陣が皆さん当たり前のように再集結しているのもすごいことだと思います。

木村:ものすごく大きいですね。そして、今回のスペシャルドラマでは、窪田(正孝)くんと北村(一輝)さんという新たな“素材”が加わった。それによってまた違う“料理”をご提供できるなという感覚です。

ーーキャスト陣の中でも若手組は大きくこの5年間で成長もあったと思います。

木村:成長がない状態だったらもう一度やる必要もないですし、この5年間、若手に限らず、みんな素晴らしい努力をして、行動に移していると思います。だからこそ、みんなが手を抜かずにやっている姿を見て、じゃあ自分は何ができるのか、というのは考えました。自分に対して、「ご一緒できてうれしい」といった特別な感情を抱いていただくこともあるのですが、実際に終わったときに「こいつ、つまらなかったな」と思われたらそれほど最悪なものはないわけで。一緒に作品を作ることに喜びを感じてもらえた以上、それに応えられるように、それ以上のことができるように自分も成長し続けないといけないと思っています。

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